第1節 関係機関・団体の総合的な連携による支援
コラム2 全国被害者支援ネットワークとは
○ 全国被害者支援ネットワーク
全国被害者支援ネットワークは,犯罪被害者等早期援助団体及び犯罪被害者等早期援助団体の指定を目指す全国の民間被害者支援団体が加盟する認定特定非営利活動法人です。同ネットワークは,平成10年に8団体をもって設立されました。加盟団体は年々増加し,21年には全都道府県に設置されるに至り,この間,18年には特定非営利活動法人の認証を受け,22年には認定特定非営利活動法人となりました。
また,平成11年には,「犯罪被害者の権利宣言」を公表しました。
「犯罪被害者の権利宣言」
我が国の犯罪被害者は,生命身体等に重大な侵害を受けた事件の重要な当事者でありながら,長い間刑事司法制度からも社会からも「忘れられた存在」であった。多くの犯罪被害者は,我が国の犯罪被害者支援の充実を願いながらも,声をあげることさえ出来ず,苦しんできた。犯罪は社会の規範に反し,人間の基本的な権利を侵害するものであり,また誰もが犯罪被害者となりうる。それゆえに,犯罪被害者を理解と配慮をもって支援し,その回復を助けることは,本来,社会の当然の責務である。犯罪被害者が大きな打撃から立ち直り,人間としての幸福を求めて再び歩み始められるように,犯罪被害者の権利を確立することは,単に福祉の増進にとって必要であるばかりでなく,国民の刑事司法に対する信頼を高め,社会全体の利益につながるものである。
国,地方公共団体は,被害者支援のための総合的な施策を講ずる責務を担うべきである。また,国民は,犯罪被害者のおかれている状況を理解し,支援に協力することが求められる。
全国被害者支援ネットワークは,このような認識に立ち,ここに以下の犯罪被害者の権利を宣言する。
(公正な処遇を受ける権利)
犯罪被害者(犯罪によって害を被った者及びその家族をいう。以下同じ。)は,公正で,かつ個人の尊厳に配慮した処遇を受けるべきである。
(情報を提供される権利)
犯罪被害者は,被害を受けた事件の刑事司法手続きおよび保護手続きに関する情報,ならびに被害の回復のために利用できる諸制度に関する情報の提供を受けることができる。
(被害回復の権利)
犯罪被害者は,受けた被害について迅速かつ適切な回復を求めることができる。
(意見を述べる権利)
犯罪被害者は,刑事司法手続きおよび保護手続きの中で,意見を述べることができる。
(支援を受ける権利)
犯罪被害者は,医療的,経済的,精神的及びその他の社会生活上の支援を受けることができる。
(再被害からまもられる権利)
犯罪被害者は,再被害の脅威からまもられるべきである。
(平穏かつ安全に生活する権利)
犯罪被害者は被害を受けたことからおこるプライバシーの侵害からまもられ,平穏かつ安全な生活を保障されるべきである。
全国被害者支援ネットワークでは,犯罪被害者等の支援活動を行う団体等の連携と相互協力を通じて,犯罪被害者等に対する支援事業を効果的に推進するため,加盟団体の被害者支援員の研修等を行うほか,毎年,全国犯罪被害者支援フォーラムを開催し,社会全体で犯罪被害者等を支援する意識の高揚を図っています。
また,全国被害者支援ネットワークでは,中古本のリユースにより寄付を受ける「ホンデリング・プロジェクト」や寄付型自動販売機の設置事業等を行い,寄付を募っています(詳しくは…URL http://www.nnvs.org/)。
全国被害者支援ネットワークは,平成22年11月に認定特定非営利活動法人の認定を受けており,寄付者に対する税制上の優遇措置があります。
○ 加盟団体
全国被害者支援ネットワークの加盟団体数は,平成27年4月1日現在,47都道府県48団体となっており,そのうち46団体が犯罪被害者等早期援助団体の指定を受けています(加盟団体については,資料11参照)。
各団体が,地域の実情に応じて,犯罪被害者支援のための取組を進めています。