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4 生活上の問題

犯罪被害者等は,犯罪等に遭ったその時点で受ける損害だけでなく,働き手を失ったことによる収入の途絶や長期の療養や介護のための費用負担などにより,様々な経済的負担を負う。また,自宅が事件現場になるなどして,住居を移す必要が生じたり,犯罪被害後に被害者等が置かれている状況等についての無理解等から,雇用関係の維持に困難を来すことも少なくない。

ここでは,犯罪被害者等が再び平穏な生活を営むことができるようになる過程で生じる,生活上の様々な問題解決に資するものとして,主な相談先を紹介する。

(1) 社会福祉一般

○ 一般的な相談

福祉事務所又は町村の社会福祉担当課が,生活困窮者,児童,高齢者,身体・知的・精神障害者等の福祉に関する相談に応じている。

  • 福祉事務所(http://www.mhlw.go.jp/bunya/seikatsuhogo/fukusijimusyo-ichiran.html)
  • 町村の社会福祉担当課(福祉事務所が設置されていない場合)

(2) 障害者福祉

○ 障害者福祉に関する相談

市区町村の障害福祉担当課などが相談に応じており,障害者総合支援法に基づくサービス(居宅介護(ホームヘルプ),自立した日常生活・社会生活を送るための訓練,精神科医療や障害を回復・改善するために必要な医療,補装具,外出のための支援など)に関する情報提供などを行っている。

  • 市区町村の障害福祉担当課
障害者総合支援法の給付・事業

(3) 雇用に関する問題

○ 就職先に関する相談

公共職業安定所が相談に応じており,求職者の置かれた状況を踏まえた就労支援を行っている。また,母子家庭の母などが犯罪被害等により求職活動に困難を伴う場合に,当該者の早期就職の実現を目的としたトライアル雇用の紹介を行っている。

  • 公共職業安定所(http://www.mhlw.go.jp/kyujin/hwmap.html)

○ 職場でのトラブルに関する相談

総合労働相談コーナー(都道府県労働局や労働基準監督署内に設置)が相談に応じており,犯罪被害者等と事業主との間で生じた労働問題に関するあらゆる相談に対し,情報提供,相談等を行うワンストップサービスを実施している。

  • 総合労働相談コーナー(http://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html)

(4) 住居に関する問題

○ 公営住宅への入居に関する相談

都道府県又は市区町村の住宅担当課が相談に応じている。地方公共団体によっては,配偶者からの暴力被害者,犯罪被害者等を対象とした公営住宅への優先入居や目的外使用などに関する配慮が行われているところもある。

  • 都道府県・市区町村の住宅担当課

○ 犯罪被害直後の一時的な避難に関する相談

事件を担当する警察署が応じており,自宅が犯罪行為の現場となり,破壊されるなど居住が困難で,自ら居住する場所が確保できない場合などに,一時的な宿泊場所を公費により提供し,犯罪被害者等の経済的,精神的負担の軽減を図っている。

  • 事件を担当する警察署

(5) 経済的な問題

ア 加害者からの損害回復に関する支援

○ 弁護士費用に関する相談

日本司法支援センターが相談に応じており,経済的に余裕のない方に民事訴訟などにおける弁護士費用などを立て替える民事法律扶助業務を行っている。

  • 地方事務所(全国各都道府県50か所)
    (http://www.houterasu.or.jp/chihoujimusho/)
  • 犯罪被害者支援ダイヤル
    (0570-079714「なくことないよ」)

○ 損害賠償命令制度・刑事和解制度等の手続に関する相談

事件を担当している裁判所において,損害賠償命令制度や刑事和解制度の申立てを受け付けている。手続に関する相談は,検察庁の被害者ホットラインで応じている。

損害賠償請求に関し刑事手続の成果を利用する制度の概要
刑事和解制度
  • 事件を担当する裁判所(http://www.courts.go.jp/map.html)
  • 被害者ホットライン(http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji11-9.html)

イ 犯罪被害者等に対する給付・貸付制度

○ 犯罪被害給付制度に関する相談

都道府県警察の被害相談窓口や最寄りの警察署で相談に応じている。

  • 都道府県警察の被害相談窓口
    (http://www.npa.go.jp/higaisya/shien/prf/index.htm)
  • 最寄りの警察署
犯罪被害給付制度

○ 犯罪被害者等に対する見舞金や貸付金に関する相談

地方公共団体によっては,犯罪被害者等に対して,見舞金の給付や緊急に必要な資金の貸付等を行っているところがある。これらの制度の有無や利用手続などについて相談したいときは,都道府県又は市区町村の総合的対応窓口(総合的対応窓口が設置されていない市区町村では一般的な相談窓口)が相談に応じている。

  • 地方公共団体の総合的対応窓口
    (http://www8.cao.go.jp/hanzai/local/madoguchi/madoguchi.html)
    (http://www8.cao.go.jp/hanzai/local/bukyoku/bukyoku.html)

○ 生活福祉資金貸付制度に関する相談

生活福祉資金貸付制度は,低所得世帯等に対し,資金の貸付けと必要な援助指導を行うことにより,その経済的自立及び生活意欲の助長促進並びに在宅福祉及び社会参加の促進を図り,安定した生活を送れるようにすることを目的に,都道府県社会福祉協議会を実施主体として運営されている。本資金の貸付けに関する相談,申請手続は,市町村社会福祉協議会で行っている。

  • 市町村社会福祉協議会(http://www.shakyo.or.jp/links/sichouson.html)

○ 児童扶養手当・母子寡婦福祉資金貸付金に関する相談

市区町村の子ども・子育て支援担当課が,児童扶養手当(ひとり親家庭等(母子家庭,父子家庭,配偶者からの暴力で裁判所からの保護命令が出された場合等)に対して支給される手当)や,母子寡婦福祉資金貸付金(母子家庭の母やその扶養している児童などに対して児童の修学に必要な資金などのために貸し付けられる貸付金)に関する相談に応じており,申請手続を行っている。

なお,平成26年10月から,父子家庭を対象とした福祉資金貸付制度が開始される。

  • 市区町村の子ども・子育て支援担当課

ウ 医療費の負担軽減

○ 保険診療に関する相談

医療機関から「犯罪被害については医療保険が利用できない」と言われたときは,地方厚生(支)局が相談に応じている。地方厚生(支)局では,犯罪被害者であることをもって保険診療を拒むことは法律上認められていないため,仮に保険診療の実施を拒まれる事例があれば,当該医療機関に対して適切な指導を行っている。

  • 地方厚生(支)局(http://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shozaiannai/chihoukouseikyoku.html)

○ 高額な医療費に関する相談

公的医療保険の相談窓口(会社員等の方は健康保険組合や協会けんぽ支部等,自営業等の方は市区町村の国民健康保険担当課等)が相談に応じており,高額療養費制度の申請手続を行っている。また,高額療養費の貸付(立替)制度に関する相談対応や申請手続も行っている。

また,市区町村によっては,乳幼児医療費助成やひとり親家庭医療費助成などを行っているところがあり,これらの助成について相談したいときは,市区町村の子ども・子育て支援担当課が相談に応じている。

  • 市区町村の国民健康保険担当課,子ども・子育て支援担当課
  • 健康保険組合(http://www.kenporen.com/kumiai_list/kumiai_list.shtml)
  • 協会けんぽ支部(http://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat710/sb7130/sbb7131/1762-620)

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