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第4 支援等のための体制整備への取組

〔犯罪被害者団体・犯罪被害者支援団体からの要望〕

犯罪被害者団体・犯罪被害者支援団体からは

① 犯罪被害者団体・犯罪被害者支援団体に対する財政的援助

② 市町村における総合的対応窓口の設置

③ 性犯罪被害者のためのワンストップセンターの整備

④ 海外における邦人の犯罪被害者に対する情報提供

等に関する要望が寄せられている。

〔今後講じていく施策〕

1 相談及び情報の提供等(基本法第11条関係)

(1) 地方公共団体における総合的対応窓口の設置の促進等

ア 内閣府において、都道府県犯罪被害者等施策主管課室長会議を開催し、地方公共団体に対し、犯罪被害者等に関する適切な情報提供等を行う総合的な対応窓口の設置や犯罪被害者等への支援を行う際の留意点や関係機関・団体等の支援内容や連絡先等をまとめた「犯罪被害者支援ハンドブック(仮称)」の作成・活用等について要請するとともに、先進的・意欲的な取組を実施している地方公共団体による事例紹介等を通じ、各地方公共団体の取組を促進する。【内閣府】

イ 内閣府において、市町村における犯罪被害者等施策の窓口となる部局の確定状況等について定期的に確認するとともに、市町村における犯罪被害者等に関する適切な情報提供を行う総合的な対応窓口の設置を促進するよう要請する。また、地方公共団体職員を対象とする研修会を開催し、犯罪被害者等施策への理解の促進や犯罪被害者等への対応のために必要となる基礎的な知識等の習得を支援するとともに、各地方公共団体の先進的・意欲的な取組事例等の情報をメールにより発信する「犯罪被害者等施策メールマガジン」により、地方公共団体間の情報の共有化を促進する。【内閣府】

(2) 地方公共団体における性犯罪被害者支援への取組の促進

内閣府において、男女共同参画センターにおける中長期的なカウンセリング等の性犯罪被害者支援の取組が促進されるよう、先進的な好事例の収集・提供に努める。【内閣府】

(3) 性犯罪被害者に対する緊急避妊に関する情報提供

厚生労働省において、性犯罪被害者を含め、緊急避妊を必要とする者が緊急避妊の方法等に関する情報を得られるよう、保健所や「女性健康支援センター」等による情報提供を図る。【厚生労働省】(再掲:第2,1.(13)

(4) 医療機関における性犯罪被害者への対応の体制の整備

厚生労働省において、内閣府、警察庁及び文部科学省の協力を得て、性犯罪被害者対応マニュアル等を活用するなどして、医療関係者を対象とした啓発等を実施し、医療機関における性犯罪被害者への対応体制の整備を図る。【厚生労働省】(再掲:第2,1.(14)

(5) 性犯罪被害者対応における看護師等の活用

厚生労働省において、内閣府、警察庁及び文部科学省の協力を得て、医療機関に対して、性犯罪に関する専門的知識・技能を備えた看護師、助産師等の活用について啓発を推進する。【厚生労働省】(再掲:第2,1.(15)

(6) 性犯罪被害に遭った児童生徒への対応の充実

性犯罪被害者である児童生徒及びその保護者の相談等に対し、学級担任、生徒指導担当教員、養護教諭、スクールカウンセラー等が連携し、適切な対応ができるよう、学校内の教育相談体制の充実を図るとともに、関係機関との積極的な連携を促進する。【文部科学省】

(7) ワンストップ支援センターの設置促進

性犯罪被害者のためのワンストップ支援センター(医師による心身の治療、医療従事者・民間支援員・弁護士・臨床心理士等による支援、警察官による事情聴取等の実施が可能なセンター。以下本項において「ワンストップ支援センター」という。)の設置を促進するため、以下の施策を推進する。(再掲:第2,1.(16)

ア 内閣府において、ワンストップ支援センターを運営している民間団体及び厚生労働省、警察庁、法務省、文部科学省等の協力を得て、「ワンストップ支援センターの開設・運営の手引(仮称)」を作成し、犯罪被害者支援団体、医療機関、地方公共団体、警察等に配布する。【内閣府】

イ 警察庁において、平成22年度に実施した性犯罪被害者対応拠点モデル事業の検証を行い、その結果を関係省庁及び犯罪被害者支援団体に提供する。【警察庁】

ウ 厚生労働省において、医療機関に対してワンストップ支援センターについての啓発を行うほか、犯罪被害者支援団体、地方公共団体、医師等医療関係者等から、ワンストップ支援センター開設に向けた相談があった場合には、協力が可能な医療機関の情報を収集し、当該犯罪被害者支援団体等に提供する。【厚生労働省】

エ 厚生労働省において、医療機能情報提供制度における登録内容にワンストップ支援センターが施設内に設置されているかどうかを加える。【厚生労働省】

(8) コーディネーターとしての役割を果たせる民間支援員の養成への支援

内閣府及び警察庁において、犯罪被害者支援団体に対し、犯罪被害者等支援のための諸制度を所管する省庁の協力を得て、研修内容への助言や研修に対する講師派遣等の協力を行い、性犯罪被害者を含めた犯罪被害者等に対する支援全般(必要な支援についての相談・情報提供、適切な機関・団体への橋渡し等)をマネジメントするコーディネーターとしての役割を果たせる人材の育成を支援する。【内閣府】【警察庁】(再掲:第4,2.(6)

(9) 警察と関係機関・団体等との連携・協力の充実・強化及び情報提供の充実

警察において、他の犯罪被害者等支援に係る諸機関・団体等との連携・協力を充実・強化し、それらの諸機関・団体等の犯罪被害者等支援のための制度等を説明できるよう努めていくとともに、さらに、犯罪被害者等支援のための諸制度を所掌する府省庁の協力を得て、当該制度に関する案内書、申込書等を常備し、提供等する。【警察庁】

(10) 被害者支援連絡協議会及び被害者支援地域ネットワークにおける連携の推進

警察において、法務省、文部科学省、厚生労働省及び国土交通省の協力を得て、各都道府県警察・警察署レベルで設置している知事部局、地方検察庁、弁護士会、医師会、臨床心理士会、犯罪被害者等の援助を行う民間の団体等をメンバーとする被害者支援連絡協議会及び被害者支援地域ネットワークについて、メンバー間の連携を図るとともに、相互の協力を強化し、生活、医療、裁判等多岐にわたる分野について、具体的な事案に応じた対応力の向上を図る。【警察庁】

(11) 警察における相談体制の充実等

警察において、全国統一の相談専用電話「#9110番」や性犯罪相談、少年相談等の個別の相談窓口において、犯罪被害者等の住所地等にかかわらず、また、匿名であっても相談に応じるとともに、犯罪被害者等の要望により、当該都道府県又は警察署の被害者支援連絡協議会等ネットワークに参画する機関・団体等の情報提供等や、他都道府県又は他警察署のネットワークの活用にも配慮する。

また、被害者本人からの申告が期待しにくく潜在化しやすい犯罪を早期に認知して検挙に結び付けるため、一定の少年福祉犯罪、児童虐待事案及び人身取引事犯等に関する通報を匿名で受け付け、事件検挙への貢献度に応じて情報料を支払う「匿名通報ダイヤル」の適切な運用に努める。【警察庁】

(12) 「指定被害者支援要員制度」の活用

警察において、指定された警察職員(指定被害者支援要員)が、事件発生直後から犯罪被害者等に付き添い、必要な助言、指導、情報提供等を行ったり、被害者支援連絡協議会等のネットワークを活用しつつ、部外のカウンセラー、弁護士会、関係機関又は犯罪被害者等の援助を行う民間の団体等の紹介・引継ぎを実施するなどする「指定被害者支援要員制度」について、法務省、文部科学省、厚生労働省及び国土交通省の協力を得て、その積極的活用を図るとともに、それらの警察職員に対し、犯罪被害者等に対する支援に必要となる知識等についての研修、教育等の充実に努める。【警察庁】

(13) 交通事故相談活動の促進

内閣府において、相談内容の多様化・複雑化に対処するため、交通事故相談活動に携わる交通事故相談所等の相談員に対して、研修等を通じてその資質の向上を図るなど、地域における交通事故相談活動を推進する。【内閣府】

(14) 警察における被害少年が相談しやすい環境の整備

警察において、少年サポートセンターや各警察署の少年係等、少年からの悩みごと、困りごとの相談を受け付けるための窓口が、関係機関への十分な引継ぎを含め、相談者の立場に立った対応をするよう努めていくとともに、「ヤング・テレホン・コーナー」等の名称での電話による相談窓口の設置や、フリーダイヤル、電子メールによる相談の導入等により、被害少年が相談しやすい環境の整備を図る。【警察庁】

(15) ストーカー事案への適切な対応

警察において、ストーカー事案の担当者に対し、ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号)の運用のみならず、被害者からの相談を受ける際に必要な能力を修得させることを含む専門教育を実施していくとともに、関係機関との連携を強化し、ストーカー事案への適切な対応に努める。【警察庁】

(16) 人身取引被害者の保護の推進

人身取引対策については、関係省庁において「人身取引対策行動計画2009」(平成21年12月22日犯罪対策閣僚会議決定)に基づき、被害者保護のための各種施策を推進する。【内閣官房】

(17) 検察庁の犯罪被害者等支援活動における福祉・心理関係の専門機関等との連携の充実

法務省において、検察庁における犯罪被害者等支援活動に際し、刑事手続に関する専門的な法的知識、捜査・公判の実務経験に基づき、犯罪被害者等の立場を理解し適切に対応するとともに、福祉・心理関係の専門機関等との連携の充実を図る。【法務省】

(18) 検察庁における被害者支援員と関係機関・団体等との連携・協力の充実・強化及び情報提供の充実

法務省において、被害者支援員と犯罪被害者等支援に係る諸機関・団体等との連携・協力を充実・強化することにより、検察庁に相談窓口を求める犯罪被害者等に対し、被害者支援員の連絡先等の必要な情報をより分かりやすく提供することや、上記諸機関・団体等における犯罪被害者等支援のための制度等について被害者支援員が説明できるよう努め、さらに、犯罪被害者等支援のための諸制度を所掌する府省庁の協力を得て、当該制度に関する案内書等を備え付けて提供するなど、より多くの情報を提供できるよう努める。【法務省】

(19) 地方公共団体に対する子ども・若者育成支援についての計画に関する周知

内閣府において、地方公共団体に対し、子ども・若者育成支援推進法(平成21年法律第71号)に基づく子ども・若者育成支援についての計画を作成又は変更する場合には、「子ども・若者ビジョン」(平成22年7月23日子ども・若者育成支援推進本部決定)に盛り込まれた「犯罪被害に遭った子ども・若者とその家族等への対応」に関する記述も勘案するよう、周知する。【内閣府】

(20) 「子どもの人権110番」及び人権擁護委員の活用・充実

法務省において、法務局・地方法務局に設置されている専用相談電話「子どもの人権110番」及び人権擁護委員の活用・充実を図る。【法務省】

(21) 教育委員会と関係機関・団体等との連携・協力の充実・強化及び学校における相談窓口機能の充実

文部科学省において、学校で児童生徒が犯罪被害者となる重大事件が発生した場合に、当該児童生徒の相談等の窓口として学校が有効に機能することを支援するため、教育委員会が、警察署、児童相談所、保健所、弁護士会、医師会等の関係機関と連携・協力を充実・強化し、犯罪被害者等支援に係る諸機関・団体等の犯罪被害者等支援のための制度等を説明できるよう努め、さらに、犯罪被害者等支援のための諸制度を所掌する府省庁の協力を得て、当該制度に関する案内書、申込書等を常備し、提供等していくことを含め、当該児童生徒及びその保護者等への対応等を行うことを促進する。この場合において、加害者が教員・生徒等当該学校内部の者であった場合は、犯罪被害者となった児童生徒の状況に鑑み、適切な者が相談等の窓口になるよう十分配慮する。【文部科学省】

(22) 学校内における連携及び相談体制の充実

文部科学省において、犯罪被害者等である児童生徒及びその保護者の相談等に対し、学校で、学級担任、生徒指導担当教員、教育相談担当教員、保健主事、養護教諭、スクールカウンセラー等が連携し、適切な対応ができるよう、必要に応じ、教員加配を行うとともに、被害者に二次的被害を与えることなく心のケアを行うことができるスクールカウンセラーを全ての中学校に配置することに加え、小学校への配置を推進するなど学校内の相談体制の充実を図る。【文部科学省】

(23) 学校における相談対応能力の向上等

文部科学省において、学校の教職員が犯罪被害者等である児童生徒の相談等に的確に対応できるよう、犯罪等の被害に関する研修等を通じ教職員の指導力の向上に努めるとともに、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の配置など教育相談体制の充実等に取り組む。【文部科学省】(再掲:第4,2.(11)及び第5,1.(15)ア

(24) 相談及び情報提供のための教育委員会による取組の促進

文部科学省において、犯罪被害者等である児童生徒を含む児童生徒に対し、教育委員会が、心理学、教育学等に関する知識を有する専門職員や臨床心理の専門家等を教育センターや教育相談所等に配置し、相談窓口を設けるとともに、少年サポートセンター、児童相談所、福祉事務所、保健所等の地域の関係機関についての情報を当該児童生徒及びその保護者に提供することを促進する。【文部科学省】

(25) 各都道府県警察に対する犯罪被害者等への情報提供等の支援に関する指導・督励及び好事例の勧奨

警察庁において、情報提供を始めとする基本的な犯罪被害者等支援策が確実に実施されるよう、各都道府県警察を指導・督励するとともに、好事例を勧奨する。【警察庁】

(26) 「被害者の手引」の内容の充実等

ア 警察において、刑事手続の概要、犯罪被害者等に役立つ制度、犯罪被害者等支援に係る諸機関・団体の連絡先等を記載したパンフレット「被害者の手引」について、関係機関による犯罪被害者等支援策の紹介を含め、その内容の充実、見直しを図りつつ、その確実な配付を更に徹底するとともに、それらの情報をウェブサイトにおいても紹介する。【警察庁】

イ 警察において、都道府県における外国人犯罪被害者等の多寡等の実情を踏まえて作成・配付している外国語版の「被害者の手引」について、適切に作成・配付されるよう努める。【警察庁】(再掲:第3,1.(13)イ

(27) 犯罪被害者等の保護・支援のための制度の周知

損害賠償請求制度の概要その他犯罪被害者等の保護・支援のための制度について紹介した冊子・パンフレット等について、警察庁及び法務省において連携し、一層の内容の充実を図るとともに、十分に周知させる。【警察庁】【法務省】(再掲:第1,1.(3)

(28) 刑事の手続等に関する情報提供の充実

ア 警察庁及び法務省において連携し、犯罪被害者等の意見・要望を踏まえ、刑事に関する手続及び少年保護事件の手続並びに犯罪被害者等のための制度等を分かりやすく解説したパンフレット等の内容を充実させ、パンフレットの配布等の工夫も含め、犯罪被害者等への早期の提供に努める。【警察庁】【法務省】(再掲:第3,1.(13)ア

イ 法務省において、犯罪被害者等に対し、犯罪被害者等の保護と支援のための制度の更なる情報の提供を行うため、外国語によるパンフレットやホームページの作成等による情報の提供を行う。【法務省】(再掲:第3,1.(13)ウ

(29) 医療機関等と関係機関・団体等との連携・協力の充実・強化及び医療機関における情報提供等の充実

ア 厚生労働省において、医療機関が犯罪被害者等支援に係る諸機関・団体等と連携・協力し、犯罪被害者等の支援等に関する情報提供を適切に行うことを促進する。【厚生労働省】

イ 厚生労働省において、精神保健福祉センター、保健所等が犯罪被害者等支援に係る諸機関・団体等との連携・協力を充実・強化し、犯罪被害者等支援に係る諸機関・団体等の犯罪被害者等支援のための諸制度に関する案内書、申込書等を常備し、提供等していくことを含め、犯罪被害者等の支援等に関する情報提供、相談等を適切に行うことを推進する。【厚生労働省】

(30) 性犯罪被害者による情報入手の利便性の拡大

警察において、現行の「性犯罪110番」の相談電話及び相談室の設置、これらの相談窓口に関する広報、性犯罪被害者用の「被害者の手引」の交付等に加え、性犯罪被害者の要望を踏まえ、性犯罪被害者が情報を入手する利便性の拡大に努める。また、事件化を望まない性犯罪被害者に対しても、当該被害者の同意を得て当該被害者の連絡先や相談内容等を犯罪被害者等早期援助団体に提供し、当該被害者が早期に犯罪被害者支援団体による支援を受けやすくなるように一層努める。【警察庁】

(31) 地域包括支援センターによる支援

地域包括支援センターにおいて、高齢者に対する虐待への対応を含む権利擁護業務の実施を推進する。【厚生労働省】

(32) 日本司法支援センターによる支援

ア 日本司法支援センターにおいて、犯罪被害者等のために、その支援に精通した弁護士の紹介を行うとともに、犯罪被害者支援のための研修について、弁護士会や犯罪被害者支援団体等と連携するなどして、犯罪被害者等の支援に携わる弁護士によるサービスの質の向上を目指す。【法務省】(再掲:第1,1.(1)イ

イ 日本司法支援センターの機能及び犯罪被害者等支援に関する具体的情報を十分に周知させる。【法務省】(再掲:第3,1.(12)

ウ 日本司法支援センターにおいて、国(捜査機関、裁判所を含む)、警察、地方公共団体、弁護士会、犯罪被害者支援団体等の種々の専門機関・団体と連携・協力してネットワークを構築し、犯罪被害者等の相談内容に応じた最適の専門機関・団体等を紹介するコーディネーターとしての役割を果たすよう努める。【法務省】

(33) 自助グループの紹介等

警察において、犯罪被害者等の援助を行う民間の団体との連携を図りつつ、犯罪被害者等の要望を踏まえ、犯罪被害者等に対し、自助グループの紹介等を行う。【警察庁】

(34) 犯罪被害者等施策のホームページの充実

内閣府において、犯罪被害者等施策のホームページについて、関係法令の整備、相談機関等に関する情報その他必要な情報の更新や英文による情報提供等を行い、充実を図る。【内閣府】

(35) インターネット以外の媒体を用いた情報提供

犯罪被害者等に対して情報提供を行う際、各府省庁において、インターネット以外の媒体を用いて必要な情報が提供されることを通じて、インターネット等で情報を得ることができる者とそうでない者との間に不公平が生じないよう配慮するとともに、積極的な情報提供に努める。【内閣府】【警察庁】【総務省】【法務省】【文部科学省】【厚生労働省】【国土交通省】

(36) 更生保護官署と保護司との協働による刑事裁判終了後の支援の充実

保護観察所の被害者担当の保護観察官及び保護司による協働態勢の下で、被害に係る刑事裁判が終了した後の犯罪被害者等の支援について、関係機関・団体等との連携・協力を深めるなどし、一層適切な支援の実施に努める。【法務省】

(37) 保護司に対する研修等の充実

刑事裁判終了後の相談対応の充実のため、保護観察所に配置されている被害者担当保護司を対象とする研修における犯罪被害者等支援の実務家による講義及び犯罪被害者等支援の実践的技能を修得させるためのロールプレイ方式による演習の実施など、被害者担当保護司の犯罪被害者等への適切な対応を確実にするための研修等の充実を図る。また、被害者担当保護司以外の保護司を対象とした研修においても、更生保護における犯罪被害者等施策を取り上げ、研修内容の充実を図る。【法務省】

(38) 犯罪被害者等である児童生徒が不登校になった場合における継続的支援の促進

文部科学省において、犯罪被害者等である児童生徒が不登校になった場合、当該児童生徒に対し、教育委員会が設置する教育支援センター(適応指導教室)が行うカウンセリングや学習指導等による学校復帰等のための継続的な支援を促進する。【文部科学省】

(39) 犯罪被害者等である児童生徒が問題を抱えるに至った場合における継続的支援の促進

文部科学省において、犯罪被害者等である児童生徒が問題を抱えるに至った場合、当該児童生徒に対し、学校、教育委員会、警察署、児童相談所、保健所等の関係機関の実務担当者がサポートチームを形成するなど連携して継続的に行う対応を促進する。

また、スクールカウンセラーを全ての中学校に配置するとともに、小学校への配置を拡充するほか、教育分野に関する知識に加えて、社会福祉等の専門的な知識・技術を用いて支援するスクールソーシャルワーカーを配置し、教育相談体制の整備を推進する。【文部科学省】

(40) 日本司法支援センターによる長期的支援

日本司法支援センターにおいて、被害を受けたときからの時間経過の長短を問わず、情報等の提供を通じた支援を行う。【法務省】

(41) 海外における邦人の犯罪被害者等に対する情報提供等

外務省において、海外で邦人が犯罪等による被害に遭った場合、当該犯罪被害者等の要請に応じて、在外公館(大使館、総領事館)を通じ、現地の弁護士や通訳・翻訳者等に関する情報の提供を行うとともに、その他関連情報についても、当該犯罪被害者等からの要請に応じ、可能な範囲で提供するよう努める。

また、警察において外務省と連携し、海外における犯罪の被害者に関する情報の収集に努めるとともに、日本国内の遺族等や帰国する被害者等に対し、適切な支援を行うよう努める。【外務省】【警察庁】

2 調査研究の推進等(基本法第21条関係)

(1) 犯罪被害者等の精神健康の状況とその回復に資する研究

厚生労働省において、犯罪被害者等の精神健康についての実態とニーズの調査、医療場面における犯罪被害者等の実態の調査、重度PTSDなど持続的な精神的後遺症を持つものの治療法の研究、地域における犯罪被害者等に対する支援のモデルの研究などを継続的に行い、その研究成果を得て、高度な犯罪被害者等支援が行える専門家育成や地域での対応の向上に活用する。【厚生労働省】

(2) 犯罪被害者等の状況把握等のための継続的調査の実施

内閣府において、平成19年度から平成21年度に「犯罪被害類型別継続調査」を実施していることを踏まえ、一定の期間を経過後に、警察庁、法務省及び厚生労働省並びに犯罪被害者団体等の協力を得て、犯罪被害類型別、被害者との関係別に、犯罪被害者等の置かれた状況等を把握するため、犯罪被害類型等ごとの調査を実施する。【内閣府】

(3) 交際相手からの暴力に関する調査の実施

内閣府において、女性に対する暴力の被害実態に関する調査「男女間における暴力に関する調査」の中で、交際相手からの暴力について調査を実施する。【内閣府】

(4) 性犯罪被害者に関する調査の実施

内閣府において、女性に対する暴力の被害実態に関する調査「男女間における暴力に関する調査」の中で、被害の申告がなされずに潜在化している性犯罪被害の実態について調査を実施する。【内閣府】

(5) 法務省における「犯罪被害実態調査」の調査に関する検討

法務省において、これまで行った「犯罪被害実態調査」と同種の調査を継続する方向で検討を行う。【法務省】

(6) コーディネーターとしての役割を果たせる民間支援員の養成への支援

内閣府及び警察庁において、犯罪被害者支援団体に対し、犯罪被害者等支援のための諸制度を所管する省庁の協力を得て、研修内容への助言や研修に対する講師派遣等の協力を行い、性犯罪被害者を含めた犯罪被害者等に対する支援全般(必要な支援についての相談・情報提供、適切な機関・団体への橋渡し等)をマネジメントするコーディネーターとしての役割を果たせる人材の育成を支援する。【内閣府】【警察庁】(再掲:第4,1.(8)

(7) 警察における犯罪被害者等支援に携わる職員等への研修の充実

警察において、1採用時及び上位の階級又は職に昇任した際に行われる犯罪被害者等支援に関する基礎的な研修、2被害者支援担当部署に配置された職員に対する犯罪被害者等支援の実践的技能を修得させるための臨床心理士によるロールプレイ方式による演習等を含む専門的な研修、3カウンセリング業務に従事する職員等に対する基礎的な教育及び実践的・専門的な教育等の充実を図る。【警察庁】

(8) 犯罪等による被害を受けた児童の継続的な支援を行う警察職員の技能修得

警察において、犯罪等による被害を受けた児童の継続的な支援を行う少年補導職員、少年相談専門職員について、講習・研修等により、カウンセリングの技法等必要な専門技術等を修得できるよう努めるとともに、専門的能力を備えた者の配置に努める。【警察庁】

(9) 法務省における犯罪被害者等支援に関する職員研修の充実等

ア 法務省において、検察官に対する研修の中で、児童や女性の犯罪被害者等と接する上での留意点等を熟知した専門家等による講義を実施し、児童及び女性に対する配慮に関する科目の内容の一層の充実を図る。【法務省】(再掲:第2,3.(1)エ及び第3,1.(20)

イ 法務省において、検察官、検察事務官に対する各種研修の機会における「犯罪被害者支援」等のテーマによる講義の実施、犯罪被害者等早期援助団体への検察官の派遣、矯正施設職員に対する犯罪被害者団体等の関係者を招へいしての講義等の実施、更生保護官署職員に対する犯罪被害者等支援の実務家による講義等の実施、検察庁に配置されている被害者支援員を対象とする研修における犯罪被害者等に関する諸問題についての講義等の実施など、職員の犯罪被害者等への適切な対応を確実にするための教育・研修等の充実を図り、職員の対応の改善に努める。【法務省】(再掲:第2,3.(1)イ

(10) 日本司法支援センターが蓄積した情報やノウハウの提供

日本司法支援センターにおいて、犯罪被害者等支援業務の実施を通じて同センターが蓄積した情報やノウハウについて、研修や講習を通じて犯罪被害者等支援に携わる関係者に提供する。【法務省】

(11) 学校における相談対応能力の向上等

文部科学省において、学校の教職員が犯罪被害者等である児童生徒の相談等に的確に対応できるよう、犯罪等の被害に関する研修等を通じ教職員の指導力の向上に努めるとともに、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の配置など教育相談体制の充実等に取り組む。【文部科学省】(再掲:第4,1.(23)及び第5,1.(15)ア

(12) 虐待を受けた子どもの保護等に携わる者の研修の充実

厚生労働省において、虐待を受けた子どもの保護及び自立の支援を専門的知識に基づき適切に行うことができるよう、児童相談所及び児童福祉施設等関係機関の職員、市町村職員及び保健機関等の職員の資質の向上等を図るための研修の充実を図る。【厚生労働省】

(13) 民間の団体の研修に対する支援

警察、法務省、文部科学省、厚生労働省及び国土交通省において犯罪被害者等の援助を行う民間の団体に対し、それらの団体が実施するボランティア等の養成・研修への講師の派遣等の支援に努める。【警察庁】【法務省】【文部科学省】【厚生労働省】【国土交通省】

3 民間の団体に対する援助(基本法第22条関係)

(1) 民間の団体への支援の充実

ア 内閣府において、犯罪被害者団体、犯罪被害者支援団体の財政的基盤の充実に資するよう、警察庁、総務省、法務省、文部科学省、厚生労働省、国土交通省等の協力を得て、民間の団体による犯罪被害者支援募金(仮称)の創設、当該募金に寄せられた寄附金等を活用した基金の創設等についての検討に協力を行う。【内閣府】

イ 警察及び厚生労働省において、犯罪被害者等の援助を行う民間の団体への財政的援助の充実に努めるとともに、それらの団体の活動に関する広報、犯罪被害者等の援助に携わる民間の者の研修に関する講師の手配・派遣、会場借上げ等の協力等の支援を行う。【警察庁】【厚生労働省】

ウ 法務省、文部科学省及び国土交通省において、犯罪被害者等の援助を行う民間の団体の活動に関する広報、犯罪被害者等の援助に携わる民間の者の研修に関する講師の手配・派遣、会場借上げ等の協力等の支援を行う。【法務省】【文部科学省】【国土交通省】

(2) 研修カリキュラム・モデル案の内容の充実

内閣府において、平成21年3月に作成し、7月に犯罪被害者支援団体等に配布した「民間被害者支援団体における研修カリキュラム・モデル案」について、一定の期間を経過後に、犯罪被害者支援団体等における活用の実態、利用した犯罪被害者支援団体等からの意見等についての調査を実施し、内容の充実を図る。【内閣府】

(3) 地方公共団体と民間の団体との連携の促進

内閣府において、地方公共団体に対し、把握している犯罪被害者支援団体に関する情報を提供するとともに、自らも犯罪被害者支援団体の実態を把握し連携の強化を図るよう要請する。また、犯罪被害者支援団体が地方公共団体に対して連携を申し出やすいよう、地方公共団体における犯罪被害者等施策担当窓口部局をホームページに掲載する。【内閣府】

(4) 民間の団体等に関する広報等

内閣府及び警察庁において、総務省、法務省、文部科学省、厚生労働省及び国土交通省の協力を得て、政府広報等とも連携し、様々な広報媒体を通じて、犯罪被害者等の置かれた状況やそれを踏まえた施策実施の重要性、犯罪被害者等の援助を行う団体の意義・活動等について広報する。【内閣府】【警察庁】(再掲:第5,1.(11)ア

(5) 特定非営利活動法人促進法(NPO法)の適切な運用

内閣府において、特定非営利活動法人促進法(平成10年法律第7号。NPO法)に基づく犯罪被害者等の援助を行う団体等を含む民間非営利団体からの法人格の取得申請に対し、同法の適切な運用に努める。【内閣府】

(6) 警察における民間の団体との連携・協力の強化

警察において、内閣府、総務省、法務省、文部科学省、厚生労働省及び国土交通省並びに地方公共団体の主体的な協力を得て、特定非営利活動法人全国被害者支援ネットワークを始めとする犯罪被害者等の援助を行う民間の団体との連携を一層強化し、支援及び指導・助言を行い、犯罪被害者等早期援助団体制度の適切な運用を図る。【警察庁】

(7) 犯罪被害者等早期援助団体に対する指導

都道府県公安委員会において、必要に応じ、犯罪被害者等早期援助団体に対して改善命令を始め、適切な指導を行う。その他の民間被害者支援団体に対しても、適切な支援活動が行われるよう、その運営及び活動に協力する。【警察庁】

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