〔平成20年度の主な新規・拡充施策を中心に記述〕
第1節 損害回復・経済的支援等への取組

1 損害賠償の請求についての援助等(基本法第12条関係)

○ 日本司法支援センターによる支援

日本司法支援センター(愛称:法テラス)において、経済的に余裕がない犯罪被害者等に対し、無料法律相談や裁判費用などの立替えを行う民事法律扶助制度を実施。損害賠償命令制度の利用に当たっても民事法律扶助制度の利用が可能。

○ 被害回復給付金制度の運用

財産犯などの犯罪行為による犯罪被害財産を没収・追徴し、被害回復給付金として犯罪被害者等に支給するための「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律」と「犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律」により、財産犯などの犯罪行為による犯罪被害財産を没収・追徴し、被害回復給付金として犯罪被害者等に支給することが可能となり、検察庁において、被害者に対する被害回復給付金を支給するための「外国譲与財産支給手続」(五菱会(ごりょうかい)ヤミ金融事件)や「犯罪被害財産支給手続」を開始。

○ 刑事手続の成果を利用する損害賠償命令制度の創設

「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律」により、「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律」が改正され、刑事裁判所が、刑事事件について有罪の言渡しをした後、犯罪被害者等の被告人に対する損害賠償請求について、審理・決定をすることができる「損害賠償命令制度」が創設(平成20年12月)。

2 給付金の支給に係る制度の充実等(基本法第13条関係)

○ 犯罪被害給付制度の拡充

「犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律の一部を改正する法律」により、休業による損害を考慮した額が重傷病給付金(又は遺族給付金)に加算されるほか、改正法に基づく政令により重度後遺障害者(障害等級1~3級)に対する障害給付金や生計維持関係のある遺族に対する遺族給付金の引き上げを行うなど給付水準を拡充(平成20年7月)。

▼犯罪被害者等給付金の申請・裁定・決定状況
区分 17年度 18年度 19年度 前年比
申請に係る被害者数(人) 465 491 448 -43
裁定に係る被害者数(人) 412 458 445 -13
  支給裁定に係る被害者数 394 435 407 -28
不支給裁定に係る被害者数 18 23 38 +15
仮給付決定に係る被害者数(人 30 20 15 -5
裁定金額(百万円) 1,133 1,272 932 -340
提供:警察庁
▼平成20年7月施行の制度改正の概要
平成20年7月施行の制度改正の概要の図
提供:警察庁

○ オウム真理教犯罪被害者等の救済

「オウム真理教犯罪被害者等を救済するための給付金の支給に関する法律」(議員立法)により、オウム真理教による犯罪行為である8事件の被害者や遺族を対象に給付金を支給(平成20年12月)。

3 居住の安定(基本法第16条関係)

○ 公営住宅への優先入居等

公営住宅について、犯罪被害者等の優先入居や目的外使用、配偶者からの暴力被害者の単身入居などを、事業主体と警察当局などが連携し、実施中。

4 雇用の安定(基本法第17条関係)

○ 事業主等の理解の増進

リーフレットやポスターを作成することにより、犯罪被害に遭った労働者が被害を回復するための休暇制度の必要性に関する周知啓発を、企業や労働者に対して引き続き実施。

▼被害回復の休暇制度に関するポスター
被害回復の休暇制度に関するポスターの写真
提供:厚生労働省

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