第1部 犯罪被害者等のための施策と進捗状況

第2章 犯罪被害者等のための具体的施策



(5) 産婦人科医師会とのネットワーク構築

 全国の都道府県警察において、事件発生時における迅速かつ適切な診断・治療及び証拠採取や女性医師による診断等を行うため、産婦人科医師会とのネットワークを構築し、具体的支援を受けるための連携体制の強化等を図り、適正かつ円滑な性犯罪捜査を推進している。

 平成18年7月に全国性犯罪捜査指導官等会議を開催し、産婦人科医師会との連携体制の強化等を指示する等、引き続き、本施策の推進について指導するとともに、連携状況について把握する。

(6) 診断書料、検案書料、初診料等の支給

 警察において、身体犯被害者の刑事手続における負担の軽減に要する経費として、被害に係る診断書料、死体検案書料、初診料の費用について予算措置をしている。

 (身体犯被害者の刑事手続における負担の軽減に要する経費(国庫補助金):平成17年度 -、平成18年度 43百万円)。

(7) 犯罪被害者支援活動用携帯電話の整備

 警察において、指定された警察職員が事件発生直後から大きな精神的被害を受けている被害者との支援担当者が円滑かつ緊急に連絡することができるよう、被害者支援活動用の携帯電話を整備することにより、被害者の要望に応えている。

(8) 警察のカウンセリングアドバイザー委嘱

 警察において、精神的打撃を受けた被害者の回復を支援するため、被害者からの相談を担当する職員を配置し、電話又は面接によるカウンセリングを実施している。

 また、46都道府県警察においては、部外の精神科医、臨床心理士等にカウンセリングの委嘱を行っている。

(9) 被害類型別教養ビデオの制作

 警察庁では、平成13年度から平成16年度までの間に年1本ずつ、被害者の心情に十分配意した警察活動の一層の徹底を図るため、職員教育用ビデオを制作し、各都道府県警察に配布している。

 平成17年12月、「犯罪被害者等基本計画」が策定され、同計画の趣旨・内容等を周知するため、平成17年度には「確かな支援のために~犯罪被害者等基本計画~警察の取組」を制作している。

 平成18年度も、被害者の心情に十分配意した警察活動の一層の徹底を図るため、新たな職員教育用ビデオを制作し、各都道府県警察に配布することとしている。

(10) 公判手続の優先傍聴

 犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律(平成12年法律第75号)に基づき、裁判長は、被害者又は被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹又は当該被害者の法定代理人から申出があるときは、申出をした者が刑事事件の公判手続を傍聴できるよう配慮しなければならないとする、被害者等が優先的に裁判を傍聴できる制度が平成12年11月1日から実施されている。

 本施策はパンフレット(「犯罪被害者の方々へ」)や法務省ホームページ、検察庁ホームページ及び裁判所ホームページ上で確認することができる(法務省ホームページ:http://www.moj.go.jp/、検察庁ホームページ:http://www.kensatsu.go.jp/、裁判所ホームページ:http://www.courts.go.jp/)。

(11) 児童相談所及び婦人相談所等の職員への研修実施

 児童相談所については、都道府県等の児童福祉主管課と連携しながら、職員に対する研修を実施しており、職種別の研修や実務経験に応じた研修等、様々な研修体系が確立されている。職員は内部研修のほか、各種研修会・研究会・学会等へも積極的に参加し、新しい援助技法の獲得等に努めている。

 婦人相談所、婦人保護施設、母子生活支援施設、福祉事務所等には、直接被害者からの相談を受ける職員が配置されているが、配偶者からの暴力被害者等と対応職員の間において、「二次的被害」といわれるように、対応職員から重ねて精神的被害を受ける場合もあると指摘されており、こうした点も含め、専門研修を実施している。

(12) 海上保安官に対する人権に関する研修の実施

 新規採用職員に対し、海上保安大学校及び海上保安学校において、憲法等の授業により、犯罪被害者の人格の尊重を含め、人権に関する知識を教授しており、海上保安官に対する各種階層別研修においても各種講義により、海上保安業務に関する行政と法と人権のかかわりを教授し、犯罪被害者への配慮を推進している。



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