第1部 | 犯罪被害者等のための施策と進捗状況 |
第2章 犯罪被害者等のための具体的施策
東京医科歯科大学難治疾患研究所 PTCU
(Psychological Trauma Care Unit) 「心的外傷ケアユニット」の開設(平成17年9月) 性犯罪などの事件の被害者やその家族らが負った重症の心的外傷後ストレス障害(PTSD)を治療する専門外来である「心的外傷ケアユニット」が、平成17年9月、東京医科歯科大学難治疾患研究所に開設された。 本ユニットは、深刻な暴力犯罪、性暴力や重度の事故による被害者のPTSDや、被害者遺族の心的外傷性悲嘆を対象に、有効性の実証された適切なケアを提供する専門ユニットである。「全国被害者支援ネットワーク」加盟団体等と連携した総合的支援を目指しており、申込みには被害者支援センター等の専門相談機関からの紹介が必要である。 ここでは、海外の多くのPTSD臨床研究において有効性を実証され、米国・英国の専門学会等のガイドラインで推奨されている、以下のプログラムが提供されている。 ・PTSDのための認知行動療法プログラム(週1回10週間) ・急性ストレス障害のための短期間認知行動療法プログラム(週1回5週間) ・遺族の心的外傷性悲嘆(半年以上)のための認知行動療法プログラム(週1回16週間) 上記プログラムでは、危険のない安全な環境の下で、時間をかけ、系統的で丁寧な方法を用い、外傷記憶やそれにまつわる状況に繰り返し向き合い、それによって次のような変化を促すことを目指している。 ・心的外傷体験にまつわる感情の処理と意味の理解が大きく進む。また心的外傷体験について、考えたり感じたりすること自体は、決して危険ではないことが分かる。 ・これまで避けてきた事物や状況に対する恐怖と不快感が徐々に薄らぎ、症状による生活上の支障を改善し、自信を取り戻すことができる。 ・PTSD症状だけでなく、PTSDに伴う抑うつ症状の改善や認知の修正が得られる。 対象となるのは以下のような方(プログラム期間中は週1回の面接が可能な方)である。 深刻な犯罪・事故の被害者及び遺族の方で次のような症状が続いている方 ・恐怖や不安がなかなか治まらない。 ・事件・事故に関連した光景が繰り返し浮かんできて気分が悪くなる。 ・事件・事故に関連した不安な夢を繰り返し見る。 ・思い出すと気分が悪くなるので、避け続けている物や場所が少なくない。 ・以前は平気であったことにも心身が過敏に反応してしまう。 ・何も手につかず、感情が麻痺したままである。 ▼PTCU(Psychological Trauma Care Unit) 面接室
ミーティングルーム 提供:東京医科歯科大学 |
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