我が国における犯罪被害者等施策の経緯等 -年次報告書の第1回の作成に当たって-

第1章 基本法制定以前の取組


第1節  犯罪被害者等給付金支給法制定(昭和55年)まで

 第二次世界大戦後の我が国における犯罪被害者等のための施策としては、昭和20年代後半から昭和30年代前半にかけての、

 ・いわゆる権利保釈の除外事由に、「被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる充分な理由があるとき」を加えた、刑事訴訟法の改正(昭和28年)

 ・自動車事故による被害者の保護のため、自動車損害賠償責任保険の契約締結を義務付けるとともに、政府による自動車損害賠償保障事業を規定した、自動車損害賠償保障法の制定(昭和30年)

 ・被害者を念頭に、証人、参考人又はこれらの親族に対する面会強請・強談威迫を処罰するとした証人威迫罪を新設した、刑法の改正(昭和33年)

 ・証人が尋問中に被告人によって圧迫される場合の被告人の退席・退廷規定を新設した、刑事訴訟法の改正(昭和33年)が挙げられる。

 これらの施策は、犯罪被害者等のための施策という側面もあったが、暴力団・愚連隊による犯罪の増加に対する治安対策や自動車運送の急激な発達に対する運輸施策という性格のものであった。



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