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第4章 支援等のための体制整備への取組

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3 民間の団体に対する援助(基本法第22条関係)

手記 被害者支援で思うこと

公益社団法人 北海道家庭生活総合カウンセリングセンター北海道被害者相談室 
犯罪被害相談員 渡辺 謠子
「北海道被害者相談室」は平成9年に開設され、私は平成10年から被害者相談員として活動に関わっています。
これまでの支援を振り返ってみたときに今も思い出すのは、初めて殺人事件の御遺族宅を訪問した時の緊張と不安さです。
最初に感じたのは家の中の様子です。人を迎え入れるという感じは全くなく、ある日突然犯罪被害者遺族となり、以前は出来ていたはずの整理整頓された部屋の印象とはほど遠い有様を目の当たりにして、戸惑う自分がいましたが、それだけの影響を与えた出来事だという事を改めて実感しました。
そして、御遺族からの「捕まったら税金で食べている。自分の払った税金の一部が犯人に流れていると思うとやり切れない」と犯人に対する過激とも思われる強い怒りの感情をぶつけるように話されたことに、少なからず衝撃を受けながらも、どこにも持って行き場のない理不尽な想いを分かって欲しいゆえの発言と受け止めました。
被害者の気持ちを思うとき、事件の瞬間から物理時間(時計による共通時間)は日々過ぎても歴史時間(個人にとって特別な意味を持つ時間)は事件のあったその時のまま、いつまでも止まっていて、行きつ戻りつの歴史時間の中を生きていると、当センターの前理事長の言葉を思い出し本当にそうだと実感します。
被害者との対話は、この歴史時間の共有と考え、何気ない言葉が被害者の方を傷つけていないかなど言葉の持つ重みに気を付けています。
被害者支援は、言うまでもありませんが「被害に遭われた方がいるという現実がある事で展開される活動であること」を忘れてはいけないと考えます。そして被害者の方お一人、お一人に何が必要か被害者の声に耳を傾け、決して「支援員がしたい支援」をしないことも大切と考えます。
被害者御自身の持つ「心の復元力・回復力」を信じて、支援を求めている人がいたなら「そっと寄り添い」その方と一緒に考え、必要な支援を行う。本当に小さな力かも知れませんが被害者の意思を尊重し、丁寧な心の込もった支援をこれからも続けていきたいと思っています。
私が被害者支援に関わって気がつくと 25 年余りが経っていました。こんなにも長く関わってこられたのは、室長をはじめ、これまで支えてくれた仲間のお陰と感謝しています。
被害者支援に携わる一人として被害に遭われた方々の一日も早い回復を願い、これからも研さんを積んでいきたいと考えています。

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