第3章 刑事手続への関与拡充への取組
1 刑事に関する手続への参加の機会を拡充するための制度の整備等(基本法第18条関係)
トピックス 謝罪・被害弁償等の具体的行動を促す改善指導・矯正教育
刑事施設においては、刑を言い渡される理由となった犯罪について、被害者等の心情等を踏まえた矯正処遇を実施している。
受刑者に対する矯正処遇は、矯正処遇の目標並びにその基本的な内容及び方法を受刑者ごとに定める「処遇要領」に基づいて実施している。この処遇要領は、判決書の謄本の閲覧その他の方法により調査した被害者等の被害に関する心情、被害者等の置かれている状況のほか、被害者等の心情等の聴取・伝達制度※において被害者等からお伺いした心情等を考慮して策定又は変更している。具体的には、「被害者等の心情等の理解」及び「被害弁償への動機付け」に関する内容を矯正処遇の目標に定めるとともに、当該内容に応じた改善指導の内容及び方法を定めることとしている。
また、一般改善指導として「被害者心情理解指導」を行っており、被害者等の心情等を理解させ、罪障感を養う指導を実施している。また、特に必要がある者に対しては、在所期間を通して継続的に特別改善指導として「被害者の視点を取り入れた教育」を実施し、自ら犯した罪と向き合い、その大きさや被害者等の心情等を認識させ、必要に応じて民間協力者等への相談を促すことを通じて被害者等に誠意を持って対応するとともに、被害者等に対する謝罪や被害弁償に向けた具体的な行動を考えさせている。
少年院においても、矯正教育及び社会復帰支援の実施に当たって、被害者等の心情等を考慮している。例えば、在院者ごとに、その抱える課題に応じて矯正教育の目標や内容、実施方法、期間等を定める「個人別矯正教育計画」を策定する際には、被害者等がいる場合、個人別矯正教育目標、段階別教育目標及び教育内容のいずれにも被害に関する事項を含めることとしている。少年院における矯正教育においては、全在院者に対し、自らの責任を自覚させ、罪障感及び慰謝の気持ちを深めさせることを目的として「被害者心情理解指導」を実施している。また、特に必要がある者に対しては、特定生活指導として「被害者の視点を取り入れた教育」を実施し、自己の犯罪・非行が与えた被害を直視し、その重大性や被害者等の置かれている状況を認識するとともに、被害者等に対する謝罪の意思を高め、誠意を持って対応していくための方策について考えさせている。
また、被害者等の方々から、その実情等について御講演いただくゲストスピーカー講演を実施するとともに、特定非営利活動法人いのちのミュージアムに御協力いただき、平成25年度から全国の刑事施設及び少年院において、「生命のメッセージ展」を開催するなどし、受刑者等が自身の責任を自覚し、被害者等に対する慰謝の念を深めるよう働き掛けている。
※ 「被害者等の心情等の聴取・伝達制度」は、令和4年6月に成立した刑法等の一部を改正する法律により新たに導入された制度であり、令和5年12月1日からその運用を開始したものである。本制度は、矯正施設の職員が、申出のあった被害者等の心情等を聴取し、その心情等を受刑者等に伝達するとともに、矯正処遇等に生かしていくものである。
宮崎刑務所における「生命のメッセージ展」