1 国民の理解の増進(基本法第20条関係)
トピックス 「生命(いのち)の安全教育 全国フォーラム」の開催について ~全国の学校関係者と「生命(いのち)の安全教育」の意義を共有~
文部科学省では、子供たちを性犯罪・性暴力の加害者・被害者・傍観者にさせないための「生命(いのち)の安全教育」を推進するため、幼児期・小学校・中学校・高校の各段階に応じて授業等で活用できる教材や指導の手引き、大学生・一般向けの啓発資料等を令和3年4月に公表しました。その後、モデル事業の実施や動画教材、教員向け研修動画、事例集の作成・公表等を通じ、各学校での実践を後押しする取組を行い、令和5年度からは「生命(いのち)の安全教育」の全国展開を進めています。
「生命(いのち)の安全教育」が全国の学校で実施されるためには、教育委員会や各学校関係者の理解が不可欠です。このため、同年11月、全国の教育委員会担当者や教職員向けに「生命(いのち)の安全教育」の基礎的情報や実践ノウハウを共有するとともに、関係者のネットワーキングを図る機会とするため、初めて「生命(いのち)の安全教育 全国フォーラム」を開催しました。
埼玉県嵐山町の(独)国立女性教育会館を会場とし、対面とオンラインのハイブリッド開催としたところ、全国より合計479名(対面37名、オンライン442名)の参加がありました。当日は、内閣府と文部科学省から子供の性被害・性暴力の現状と国の政策動向を説明した後、基調講演(葛飾区立柴又小学校校長 木間東平氏(全国学校安全教育研究会顧問))、実践事例紹介(東京都教育庁、千葉市教育委員会、大阪市教育委員会)、ワークショップ(希望者のみ、対面とオンラインで157名参加)を行いました。
基調講演においては、「生命(いのち)の安全教育」は子供を性被害から守る新たな予防教育であり、「自ら危険を予測し、自ら回避できる能力」を育成する教育であること等が紹介されました。
実践事例紹介においては、所管地域の全ての公立学校(小・中・高等学校等)での実施のため、教員向け指導資料である安全教育プログラムにおいて、「生命(いのち)の安全教育」を「必ず指導する基本的事項」として位置付けた事例や、全市立学校で毎年4月を「生命(いのち)の安全教育月間」として、例えば、小学校1年生ではプライベートゾーンを見たり、触ったりしてはいけないこと、いやな触られ方をした場合の対応、3年生では自分の心とからだを守るための予防方法、5年生ではSNSで見えない相手とつながる危険性や安全な意思決定、中学生や高校生では文部科学省が公開している生徒向け動画教材等を活用し、より発展させた内容を学習している事例を紹介しました。さらに、被害の早期発見に対する取組として「対応フロー」を作成したこと、性暴力事案が発生した際に、まずは学校が事案に気付くことができたことに着目することでプラスの意識が醸成され、安全・安心な学校運営につながったこと等の事例が紹介されました。
ワークショップにおいては、現場の教員目線による真摯な議論が行われ、課題共有をしながら、具体的な実践に関する様々な意見が交わされました。
参加者からは、「「生命(いのち)の安全教育」について熟知できていなかったが、ねらいや経緯、子供を取り巻く状況等がわかり、理解が深まった。」「性被害から自ら危険を予測し、自ら回避できる能力を育成する教育(防災教育と同じ、安全教育としての捉え方)ということが納得できた。」「他の自治体の実践事例を知る機会がなかったので、貴重な学びの機会となった。」といった声が寄せられました。
このように、今回の全国フォーラムでは、教育関係者の方々の理解促進と実践への学びを参加者相互に深める機会となりました。
性犯罪・性暴力は、被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為であり、断じて許されません。文部科学省では、全ての児童生徒等が性犯罪・性暴力に対して適切な行動をとることができる力を身に付けられるよう、引き続き、「生命(いのち)の安全教育」が、全国の学校現場で行われるよう、取組を進めてまいります。
※「生命(いのち)の安全教育」の教材・指導の手引き等も掲載していますので、ご活用ください。
(文部科学省ウェブサイトhttps://www.mext.go.jp/a_menu/danjo/anzen/index.html)
