警察庁 National Police Agency

犯罪被害者等施策  >  犯罪被害者白書  >  令和6年版 犯罪被害者白書  >  手記 被害者支援~寄り添い学び続けること~

第2部 第4次犯罪被害者等基本計画に盛り込まれた具体的施策の進捗状況
第4章 支援等のための体制整備への取組

目次]  [戻る]  [次へ

3 民間の団体に対する援助(基本法第22条関係)

手記 被害者支援~寄り添い学び続けること~

公益社団法人なら犯罪被害者支援センター
犯罪被害者直接支援員 浦岡 瑠美

私は大学生のとき、京都で防犯ボランティアの活動をしていた経験から、社会人になっても、働きながら少しでも人助けになる活動が出来ないかと思っていました。そんなある日、奈良県の広報誌に「なら犯罪被害者支援センターのボランティア募集」の欄を見つけ、チャレンジしてみようと思って応募しました。

まず、養成講座で被害に遭われた直後やその後の心身の変化、どのような被害者支援の制度があるのか、刑事手続の流れや法的側面、ロールプレイによる電話相談や直接支援の疑似体験など多方面の講座を修了し、さらに、最初は先輩の支援員に付いて電話当番に入りました。

電話相談では、コールが鳴ったら落ち着いて受話器を取り、しっかり丁寧に聴こうと頭では理解できるのですが、緊張してドキドキし、途中メモを取る手が震えることもありました。会話に集中するとメモの手が止まり、逆にメモに気を取られてしまうときちんと心に寄り添えていないような感じがしました。実際に当番に入ると、被害者の方の思いをお聴きしながら、同時にメモを分かりやすく取り、かつ、確認する必要があること、被害に遭われたときの状況、今はどのような状況にあるのかなどを聞いて、次の支援に繋げることが大切だと感じました。電話室の隣で事務局の方が控えてくださり、対応が難しいとき、より専門的な対応が必要なときなどはすぐにアドバイスいただいたり、交代してくださるので、ボランティア支援員として出来る範囲の中でしっかり学んでいけることはとても有り難く思います。特に電話当番では、被害者の顔が見えないため、沈黙されたときにその辛く苦しい気持ちが私自身にもズッシリと伝わって、どのような言葉をかければ良いかも見つからず、被害者の方とともにしばらく沈黙することもありました。被害者の方にとって辛く苦しいことは言葉に出来ないくらい重く、その沈黙の中に深く深く刻み込まれているのだと思いました。

私は今、ボランティアをはじめて5年ほどになり、少しずつ直接支援で法律相談など付き添うことがあります。用語や制度を理解し、わかりやすく伝えることは難しく、今は側で寄り添うことしかできないけれど、被害者の意志や要望、自らの選択を尊重しながら、どの方法が良いのかを一緒に考えながら丁寧な対応が出来るようにと思います。そして、先輩や事務局の皆さんからの温かいお言葉や、助けていただいてここまで継続できました。これからも被害者の方一人ひとりの思いにしっかり寄り添い、学んでいけたらと思います。

被害者支援~寄り添い学び続けること~

目次]  [戻る]  [次へ

警察庁 National Police Agency〒100-8974 東京都千代田区霞が関2丁目1番2号
電話番号 03-3581-0141(代表)