2 調査研究の推進等(基本法第21条関係)
トピックス 令和5年度犯罪被害類型別等調査
警察庁では、第4次基本計画に基づき、関係府省庁等と連携し、犯罪被害類型に応じて犯罪被害者等が置かれている状況等、犯罪被害者等が同一の加害者から再被害を受けている実態やそのおそれ等、犯罪被害者等が損害賠償を受けることができない状況の実態について調査を実施した。
調査対象は、20歳以上の方であり、犯罪等被害に遭った時期については制限を加えていない(被害に遭った時期の回答としては、10年以前が70.6%、3~10年以内が17.5%、3年以内が12.0%となっている。)。
調査結果の概要については、以下のとおりである(詳細については、警察庁ウェブサイト「令和5年度犯罪被害類型別等調査」(https://www.npa.go.jp/hanzaihigai/report/higaisha/r05/top.html)参照)。
1 被害に遭った際の相談状況等
犯罪被害者等全体の約4割が被害に遭った際にどこにも(誰にも)相談していないと回答しており、その割合は特に児童虐待(84.4%)、性的な被害(51.3%)、配偶者暴力(50.9%)で高い。
また、警察を含む関係機関に通報・相談しやすくなるための対応・取組について、ストーカー、配偶者暴力、性的な被害、児童虐待では周りの人に知られずに相談できること、プライバシーが守られることという守秘性を重視する回答が多い。
2 同一の加害者から再被害を受けている実態やそのおそれ
警察や行政に通報・相談した後に再被害を受ける不安を感じたとの回答は、配偶者暴力(95.5%)、ストーカー(85.7%)ともに非常に多く、再被害を受けたとの回答も、配偶者暴力(63.6%)、ストーカー(40.5%)ともに一定程度みられた。
3 犯罪被害者等が損害賠償を受けることができない状況等
事件に関連して受領した給付・支給・賠償について、犯罪被害者等全体の約8割がいずれも受けていないと回答しており、加害者からの賠償(加害者側加入の保険による支払は除く)(3.1%)との回答は少ない。
犯罪被害者等全体の約9割が加害者側との損害賠償に関する訴訟・交渉等を行っていないと回答しており、その理由としては、手続が分からなかったから(32.5%)、加害者側と関わりたくなかったから(27.6%)との回答が多い。
4 支援・制度の利用状況及びニーズ
犯罪被害者等全体の約7割がいずれの支援・制度も利用していないと回答しているところ、利用している割合は近年の方が高くなっており(いずれの支援・制度も利用していないとの回答割合が10年以前が82.0%、3~10年以内が58.7%、3年以内が56.1%と近年の方が低くなっている。)、利用した機関・団体としては、警察(16.6%)、医療機関(3.3%)の順に多い。
被害直後の支援ニーズとしては、事件・被害に関する話を聞いてもらう(20.1%)、警察・検察との応対の手助け・付添い(12.5%)との回答が多い。一方、どのような支援・配慮が必要か分からなかった(46.0%)との回答も多い。


警察庁では、本調査の結果も踏まえ、引き続き、関係府省庁や地方公共団体等と連携・協力しながら、犯罪被害者等施策の一層の推進に努めることとしている。