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第2部 第4次犯罪被害者等基本計画に盛り込まれた具体的施策の進捗状況
第4章 支援等のための体制整備への取組

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1 相談及び情報の提供等(基本法第11条関係)

手記 連携した支援の重要性と支援制度の充実について

つがる市役所 防災危機管理課
課長補佐 成田 貴秋

つがる市においては、総合的対応窓口が設置された平成26年度以降、悪質な飲酒運転による交通死亡事故や殺人事件等悲惨な事件や事故が発生しました。

私が犯罪被害者等支援の業務を担当することとなった当初は、市役所に総合的対応窓口は設置されているものの、業務がしっかりとは整理されていない状況であり、事件等が発生した際は、被害に遭われた方や御遺族への対応を行うに当たり、市役所として犯罪被害者等への対応をどう行えばよいのか、事件等の詳細や個人情報はどの範囲まで話してよいものなのかなど、悩みながら庁内各部署を駆け回り調整を行ったり、警察や地区民生委員との話し合いを重ねたりする中で、犯罪被害者等をどのように支援していけばよいのか検討を行い、苦慮しながら対応を行っていた記憶が鮮明に残っています。

対応方法を試行錯誤する中で、犯罪被害者等に対し、市としての支援をワンストップで提供するために、犯罪被害者等が置かれた状況や抱えられている問題を把握し、関係部署との調整や提供できる可能性がある支援内容の確認を行った上で、関係部署の担当者が同一機会に犯罪被害者等と面談し、要望に沿った支援の提供や、要望されている他にも提供できる制度やサービスがあることについての説明をするなど、犯罪被害者等が少しでも不安を解消できるよう、また負担が軽減できるよう心掛けて対応を行ってきました。

また、市役所だけでは犯罪被害者等の要望に応えることが難しい場合は、警察署や、市内の団体・企業から構成されているつがる市犯罪被害者ネットワークにおいて、各団体で何か支援ができないかという支援検討会議を行い、市を挙げて支援の検討を行うこともありました。

できるだけ犯罪被害者等の心情に寄り添うように努めてきたつもりではありましたが、実際の犯罪被害者等への対応を通じて、犯罪被害者や残された御遺族のプライバシーの保護や相談体制を整える重要性をひしひしと感じるとともに、犯罪被害者等支援の在り方について改めて検討する必要性を感じさせられました。

そのため、総合的対応窓口の業務を改めて整理するとともに、経済的な支援や精神的な支援はどこの部署で対応できるのか、また、各部署でどのような支援が考えられるのかを把握するために、庁内で提供している制度やサービスの調査を行うこととしました。

調査の結果を踏まえて、初期対応職員が提供可能な支援や関係機関を把握でき、犯罪被害者等に適切な情報を提供できるよう、市役所内の各部署や関係機関が行っている支援の内容やその連絡先等が一覧的に記載された冊子である犯罪被害者等支援業務窓口対応シートを作成するとともに、庁内のどの部署の職員が犯罪被害者等から相談を受けても、連携して必要な制度やサービスをスムーズに提供できるよう、改めて各部署への周知を行いました。

さらに、犯罪被害者等の支援に必要な施策を総合的に推進するため、犯罪被害者等の支援に関し、基本理念を定め、犯罪被害者等に対する市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、犯罪被害者等へ見舞金、転居に係る助成金、心理相談料助成金の支給など、経済的負担の軽減や日常生活の支援の充実を図り、犯罪被害者等が平穏な日常生活を営むことができるよう、つがる市犯罪被害者等支援条例の制定に向けて作業を行い、令和6年4月から施行することができました。

引き続き、広く市民等へ条例の周知を図り、今後も関係機関と連携しながら、安全で安心して暮らせる地域社会の実現を目指していきたいと思います。

つがる市役所
つがる市役所

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