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第4章 支援等のための体制整備への取組

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1 相談及び情報の提供等(基本法第11条関係)

トピックス 犯罪被害者等施策の総合的推進に関する事業

警察庁では、基本法及び第4次基本計画に基づき、地方公共団体における犯罪被害者等支援体制の整備促進を図っているところ、同体制の更なる底上げを図るとともに、多機関連携及び地域間連携を促進し、地域における犯罪被害者等施策を総合的に推進するため、「犯罪被害者等施策の総合的推進に関する事業」を実施している。

令和4年度は、埼玉県、長野県、福岡県及び鹿児島県において同事業を実施したところ、このうち、埼玉県における事業については、次のとおりである。

【埼玉県】

埼玉県では、「誰一人取り残さない『途切れのない支援』の実現に向けて」を主題として、市町村の犯罪被害者等支援を目的とした条例制定に向けた施策研修会と、市町村や県警察、民間支援団体との連携支援体制強化に向けた支援体制研修会をそれぞれ開催した。

研修会には、市町村のほか、県警察(犯罪被害者支援室、地元警察署の犯罪被害者支援担当)、民間支援団体、犯罪被害者等支援に関する県庁関係課の担当者が出席した。

(施策研修会)

施策研修会では、市町村における犯罪被害者等支援を目的とした条例制定の必要性に重点を置いたプログラムとして、有識者からの講演と関係機関担当者によるパネルディスカッションを実施した。

講演の様子
講演の様子
パネルディスカッションの様子
パネルディスカッションの様子

有識者である寺輪悟氏(犯罪被害者遺族)からは、「犯罪被害者遺族から見た、市町村における犯罪被害者等支援を目的とした条例制定の必要性」をテーマに、遺族としての立場から、犯罪被害者等が置かれている状況や、これまで自治体に条例制定の重要性を訴える活動を実施されてきた経験について講演いただいた。

次に、仲律子氏(みえ犯罪被害者総合支援センター副理事長・三重県公認心理師会会長)からは、「市町村における犯罪被害者等支援を目的とした条例制定及び見舞金制度導入の必要性」をテーマに、専門家の視点による市町村における条例制定の重要性や、三重県や市町における取組事項等について講演いただいた。

そして、パネルディスカッションでは、埼玉県、条例を制定している久喜市と朝霞市、県警察及び民間支援団体の担当職員が「全市町村における犯罪被害者等支援を目的とした条例の制定に向けて」をテーマに、それぞれの立場から、条例制定の必要性や制定後の変化、今後の課題と展望等について討論を行い、市町村における条例制定の重要性についての理解を深めた。

(支援体制研修会)

支援体制研修会では、犯罪被害者等に最も身近な行政機関である市町村に求められている支援や他機関との連携支援を行う重要性について重点を置いたプログラムとして、有識者からの講演と実際に支援を行う担当者による模擬事例形式の検討会を実施した。

講演の様子
講演の様子
検討会の様子
検討会の様子

有識者である伊藤冨士江氏(上智大学客員研究員・元教授)からは、「今、被害者支援において自治体に求められることー社会福祉的視点からー」をテーマに、自治体の支援はどうあるべきかなどについて社会福祉の視点から講演いただいた。

また、林良子氏(さいたま市市民局市民生活部市民生活安全課主査)からは、県内の先進自治体として、主に市の支援体制や取組状況に関し、「さいたま市における犯罪被害者等支援の取組について」をテーマに講演いただいた。

そして、検討会では、埼玉県、東松山市、熊谷市、県警察及び民間支援団体の担当職員が「犯罪被害者やその家族を地域で支え続けるために」をテーマに、「40歳代男性が妻の勤務先の上司に包丁で腹部を刺された。被害者は妻、中学生の息子、保育園に通う娘、半身麻痺がある母と同居している」という模擬事例に基づき、それぞれの立場で行い得る支援について事例検討を行った。

県、県警察、民間支援団体で構成される彩の国犯罪被害者ワンストップ支援センターでは、被害者等家族の滞在先の確保、捜査機関や裁判所への付添い等について、必要により三者間で協議しながら支援していくこと等が説明された。

東松山市、熊谷市では、被害者等家族が市役所を訪問する場合には、県警察等から必要な情報共有を受けるとともに、あらかじめ会議室を用意しておき、庁内各担当者が会議室に赴いて一度に要望等を聴取することにより、被害者等家族の負担軽減やプライバシーに配慮しつつ、被害者等家族のニーズを聞き取り、犯罪被害者等のための支援のほか、収入減少に伴う生活・こどもの修学・保育に関する各種支援等の支援方策を検討していくこと等が説明された。

各機関において、それぞれの立場や対応方法を知ることで、他機関との連携支援を行う重要性について理解を深めた。

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