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第3章 刑事手続への関与拡充への取組

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1 刑事に関する手続への参加の機会を拡充するための制度の整備等(基本法第18条関係)

トピックス 被害者の心情等を踏まえた加害者処遇の充実について

1 はじめに

令和4年6月に刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律、少年院法及び更生保護法が改正され、被害者の心情等を踏まえて、刑事施設(刑務所、少年刑務所、拘置所)や少年院といった施設内で行う処遇や、社会内で行う処遇の充実化が図られた(令和5年12月までに施行)。これによって、被害者等の思いに応える施設内処遇及び社会内処遇を実現させるとともに、受刑者等や保護観察対象者の改善更生にも資することが期待される。以下、具体的に内容を説明する。

2 矯正施設における被害者等の心情等聴取・伝達制度

刑事施設や少年院において、受刑者や少年院の在院者が、自分の犯罪・非行に向き合って心から反省するためには、被害者やその親族等の被害に関する心情やその人たちの置かれている状況等について正しく理解することが重要である。本改正以前から、刑事施設や少年院においては、被害者やその支援団体等による講話や、被害者の命を奪った者等に対して「被害者の視点を取り入れた教育」を行うなどの必要な処遇を行っている。

もっとも、受刑者等の処遇を行うに当たって、その内容に被害者の心情等を反映し、被害者等への配慮を一層充実させ、受刑者等の改善更生を効果的に図るためには、受刑者等に対して、自分が犯した罪の被害者の心情等に、より直接的な形で触れさせることが重要と考えられる。そこで、本改正により、刑事施設や少年院において被害者の心情等を聴き取り、それを受刑者等に伝達する制度が導入されることとなった。具体的には、刑事施設や少年院の長は、<1>被害者等から被害に関する心情や置かれている状況等を述べたいという申出があったときは、その心情等を聴取すること、<2>受刑者の処遇要領又は在院者の個人別矯正教育計画を策定するときは、被害者の心情等を考慮すること、<3>被害者から聴取した心情等を受刑者等に伝達することを希望するという申出があったときは、指導を行うに当たり、その心情等を受刑者等に伝達すること等が制度(心情等聴取・伝達制度)として定められた。

3 被害者等の視点に立った保護観察処遇の充実

上記の刑事施設や少年院における処遇だけではなく、社会内で行う処遇においては、本改正以前から、<1>保護観察を受けている加害者(以下「保護観察対象者」という。)に対して、起こした事件の責任や影響等を理解させ、誠意をもって被害弁償や謝罪を行っていくことができるように、事案に応じて、しょく罪指導を実施するとともに、<2>地方更生保護委員会が受刑者等の仮釈放等を許すか否か審理するに当たり、被害者等の意見や被害についての心情を聴取する制度(意見等聴取制度)、<3>保護観察所が、被害者等から被害に関する心情や、保護観察対象者の生活・行動に対する意見を聴取して、保護観察対象者に伝える制度(心情等伝達制度)等を実施してきた。

もっとも、被害者の心情等を理解することが犯罪をした者や非行のある少年の再犯防止及び改善更生にとって重要であること等に鑑み、本改正により、<1>保護観察を行う場合等に際し、被害者の心情や置かれている状況等を十分に考慮することとされた。また、<2>地方更生保護委員会が行う被害者からの意見等の聴取事項として、加害者の生活環境の調整(釈放後の住居や仕事の確保、家族・福祉・医療の各関係者から必要な協力等が得られるようにするための調整)や仮釈放中の保護観察に関する意見を加えることや、<3>保護観察所は、被害者等から被害に関する心情等を述べたい旨の申出があったときは、保護観察対象者に伝達する場合に限らず、社会内で行う処遇にいかすため当該心情等を聴取すること(心情等伝達制度を心情等聴取・伝達制度とすること)、<4>被害者等の被害の回復又は軽減に誠実に努めるよう必要な指示等をすることを指導監督の方法に追加すること等とされた。

被害者等の心情等を踏まえた処遇の充実の概要

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