2.国民一般の中の「被害者像」

2-4.犯罪被害者等を取りまく環境と犯罪被害者等に必要なこと

(2)被害遭遇後の周囲の言動・態度による精神的被害

問19 犯罪被害者やその家族は、犯罪による直接的な被害にとどまらず、犯罪被害を受けたことを原因として、他者の言動・態度によって精神的な傷を受けることがあります。あなたは、犯罪被害者やその家族がどのような人の言動・態度から精神的な傷を受けると思いますか。以下のそれぞれについてお答えください。

 ここでは二次的被害を尋ねた。誰からの言動・態度に犯罪被害者等が最も精神的な傷を受けると国民は考えているかというと、「加害者の言動・態度」、「報道関係者の言動・態度」がそれぞれ7割と高いことがわかる。加害者だけでなく「加害者側の弁護士」さらには「加害者の家族」が6割近くある。これを平成18年度と比較してみると、興味深い点が指摘できる。精神的な被害を「受けると思う」と積極的に答えたものが、ほとんどの項目において減少しているということである。つまりこの2年間において、国民の目からすると、犯罪被害者等が受ける傷が軽減されたと考えることができる。一方で「場合によっては受けると思う」と消極的に肯定した者は逆に増えていることから、犯罪被害者等の置かれている状況についての国民の認識は微妙に変化していることを読み取ることができる。多くが減少している中で増加している(犯罪被害者等が強く傷ついている)とする唯一の項目は「世間一般の言動・態度から」である。

 以上のことから、加害者関係者や刑事司法過程での状況、近所の人や職場関係者といった犯罪被害者等が直接に関わる人たちや機関からの二次的被害は多少軽減されたものの、世間といった非特定の対象者からの被害は逆に増えているという状況が存在し、それがこの結果にあらわれているとも考えられる。

 性別で違いを見ると、全般に女性の方が精神的被害について強く受け止める傾向がある。

 年齢別ではそれほどの変化は見られない。

問19 被害遭遇後の周囲の言動・態度による精神的被害

図2-37:問19 被害遭遇後の周囲の言動・態度による精神的被害

問19 被害遭遇後の周囲の言動・態度による精神的被害

≪重み付け平均値≫

図2-38:問19 被害遭遇後の周囲の言動・態度による精神的被害

問19 被害遭遇後の周囲の言動・態度による精神的被害 <想定罪種別> 【平成20年度】

≪重み付け平均値≫

図2-39:問19 被害遭遇後の周囲の言動・態度による精神的被害 <想定罪種別> 【平成20年度】

問19 被害遭遇後の周囲の言動・態度による精神的被害 <時系列比較>

≪重み付け平均値≫

図2-40:問19 被害遭遇後の周囲の言動・態度による精神的被害 <時系列比較>