犯罪の抑止や、犯罪被害者等に関する意識として、肯定意見(「そう思う」+「ややそう思う」)が特に高いのは「犯罪に巻き込まれないためには、日頃の自分の行動に十分注意することが必要」(79%)で、国民一般の犯罪に遭うことの自己責任意識の高さを示している。しかし、内訳として積極的に「そう思う」は31%で、48%は「ややそう思う」であり、その切実度は比較的軽いといえる。また、「犯罪の被害者にも過失や原因がある場合がある」では「そう思う」のは5%と僅かで、「ややそう思う」(27%)をあわせた肯定意見でも32%と少ない。
犯罪の抑止に関して、「刑罰をもっと重くすることが凶悪犯罪を減らす」を肯定する意見は国民一般の3分の2以上の68%と高く、否定する意見は1割に満たない。また、「犯罪を起こしそうな人を厳しく取り締まるべきだ」とする意見の肯定者も56%と半数を超え、否定意見も前項と同様に低い。さらに、「地域で行われている防犯の啓蒙や行動では凶悪な犯罪は防げない」を半数は肯定し、厳罰化や取締まり強化への賛同の傾向を示すものといえる。「犯罪者の再教育が犯罪を減らす」ことに対し半数が肯定意見であるが、否定する意見も、4人に1人の25%を占め、加害者に対する不信感も根強いことが窺える。
一方、「被害者支援に関心がある」は、「そう思う」は12%と低く、「ややそう思う」(34%)を含めても半数に満たない。また、はっきり関心を持たない人も併せて11.0%と低い。「被害者の意見を聞く機会を積極的に持ちたい」にも肯定意見はさらに低い。
国民一般の多くは「犯罪」と「被害者」は別の関心領域として意識しているといえる。
国民一般の多くは、自分が注意しているならば、犯罪被害者等になることは少なく、犯罪はセンセーショナルな報道の世界でのことで終わってしまうことが多いものと考えているようである。
想起した犯罪別に見ると、肯定意見は全体に「性犯罪」層が高く、「交通犯罪」層は低い。
犯罪の抑止や犯罪被害者等に関する意識を、性・年代別に≪重み付け平均値≫で見ると、性別では、女性の方が男性よりも、日頃の犯罪に遭遇しない注意や、識別できそうな危険への警戒感が強く、犯罪被害者等の過失や原因は少ないとする傾向がある。また、特に顕著なのは、女性は男性に比べて、犯罪者の再教育に犯罪抑止効果があると考える人が多い。また、厳罰化による犯罪抑止の意識では差がない。
年代別で見ると、≪重み付け平均値≫の得点において高齢層が若年層を上回る傾向が強い。
≪重み付け平均値≫