11月1日から12月1日までは「犯罪被害者月間」です。
平成16年に犯罪被害者基本法が成立してから間もなく21年が経過します。その間、国は、犯罪被害者等支援のための様々な取組を重ねてまいりました。今後も引き続き、関係機関・団体との緊密な連携・協力の下、各種施策の一層の充実強化に取り組んでまいります。
そして、これらを実効性のあるものとするためには、国民お一人お一人のお力がとても大切です。犯罪の被害に遭われた方、その御家族や御遺族は、ある日突然、生命を奪われ、家族を失い、傷害を負わされ、財産を奪われるといった痛ましい被害に遭われています。また、被害の影響で住居や仕事を失わざるを得ないこともあります。精神的にも大変に辛い思いをされるなど、その境遇は本当に痛ましいものがあります。国民の皆様には、まず、こうした方々がいらっしゃることを、よく知っていただきたいと思います。
その上で、どんなに小さなことからでもかまいません。犯罪被害者等のために皆様ができる支援を始めていただきたいと思います。いたわりの心を持って見守る、静かに話を聞く、更に進んで手を差し伸べるなど、皆様の支援の一つ一つが、犯罪被害者等の身体や心を、少しずつ癒やしていくものとなります。
今回、福岡県の高校生が
「わたしにも できる支援が ここにある」
との標語を考えてくださいました。まさに、支援とは、このようなものであると思います。誰もが犯罪の被害に遭う可能性があります。身の回りに、不幸にして犯罪の被害に遭われてしまった方がいらした場合には、その方のお気持ちを自分のことに置き換えて受け止めていただき、できることから支援の手を差し伸べていただきたいと思います。
私は、犯罪被害者等の方々を支援する気運を、これまで以上に盛り上げてまいりたいと考えています。これまで、「犯罪被害者週間」としていたものは、期間を延ばして「月間」とし、広報啓発を一層強化してまいります。また、「言葉にせずともぎゅっと包み込む」そんな思いを込めて、シンボルマーク「ギュっとちゃん」の浸透を図り、国民の皆様方の理解と支援の輪を広げてまいりたいと思います。犯罪被害者等の方々を支援する取組を、官民一体となって推進し、深めてまいりましょう。
最後に、間違っても、犯罪被害者等を誹謗中傷することは、決してあってはなりません。そのようなことのない明るい社会を造ることが、犯罪被害者等の支援のために大変に重要なことだと考えています。
国民の皆様には、これら犯罪被害者等支援への一層の御理解と御協力を、心よりお願い申し上げます。
令和7年11月28日
内閣総理大臣 高市 早苗
