中央イベント:パネルディスカッション

「地域における犯罪被害者等支援」~自治体と関係機関・団体との連携によるきめ細やかな支援の実現を目指して~

コーディネーター:
大岡 由佳(武庫川女子大学准教授)

パネリスト:
青木 聰子(犯罪被害者御遺族、NPO法人犯罪被害当事者ネットワーク緒あしす代表)
北條 正崇(弁護士、日本弁護士連合会犯罪被害者支援委員会委員、公益社団法人なら犯罪被害者支援センター理事)
鶴田 信子(公益社団法人被害者支援都民センター 犯罪被害相談員 心理相談担当責任者)
木本 克己(横浜市市民局人権課専任職(社会福祉業務担当)、精神保健福祉士、公認心理師、臨床心理士)

大岡:今からパネルディスカッションの部に移らせていただきたいと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。

 今年のパネルディスカッションのテーマは、チラシにもありますように「地域における犯罪被害者等支援」~自治体と関係機関・団体との連携によるきめ細やかな支援の実現を目指して~となってございます。被害者はある日を境に日常の生活が奪われてしまいます。ごくごく当たり前にあった家族の姿がなくなり、また自分自身の身体を思うように動かすことができなくなる、そういう被害者もいらっしゃいます。その中で眠ることはおろか、食事、通勤・通学、保育や介護等、毎日の生活がままならなくなります。被害者である市民が再び平穏な生活を取り戻すには、その被害者の声に耳を傾け、寄り添い、直面している課題を一緒に解決していく人の存在が欠かせません。

 日本の被害者支援は警察の懸命な支援に加え、90年代から民間被害者支援団体による支援がスタートしております。「聴く」という支援がスタートでした。しかし、今はその「聴く」から直接的な支援が加わってきております。医療、福祉、住宅、雇用など生活全般にわたる実質的支援が求められてきています。それらの生活に関わる支援を行う機関の一つとして、身近な市区町村の関与が求められるようになって、今、各地方自治体において条例制定の動きなどが目立ってきております。その結果、全国の市区町村における条例の制定状況は29.1%、501カ所まで今年度実現しております。また、この4月、犯罪被害者等に対する総合的対応窓口の設置状況も全国で100%という、非常に誇らしき数値となりました。

 では、例えばですが、それらの自治体の窓口を市民は知り、利用活用しているのでしょうか。また、支援を行う機関は、機関同士で手を取り合って被害者に寄り添った支援が展開できているのでしょうか。

 今日は、被害者の被害回復及びそれらの生活、そしてその生活の再建に向けた支援のあり方、自治体や関係機関、団体に求められている役割、連携のあり方について話を深めていきたいと考えております。

 先ほど御紹介のありましたように、多方面で御活躍のパネリストの皆様もお迎えしております。まずは、パネリストの皆様のお話をお聞きいただきまして、その後、議論を展開していきたいと考えております。では、まず、青木様からお話を伺っていきたいと思います。なお、このディスカッションでは敬称は略していただき、皆、「さん」でお願いしておりますので、どうか御理解のほど、よろしくお願いいたします。

 では、青木様のほうからは被害の御経験及び緒あしすでの活動などについてお話をいただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

青木:改めまして、NPO法人犯罪被害当事者ネットワーク緒あしすの青木と申します。今日はこうした機会をちょうだいし、ありがとうございます。私からは皆様のお手元にこの「緒あしす」という題字があるプリント、裏には少し活動紹介もさせていただきました。そして、私が住んでおります名古屋市でできました犯罪被害者支援等の条例やその施策の紹介のためにつくっていただいたリーフレット、そして名古屋市主催の「犯罪被害を学ぶ会」のチラシも同封させていただきました。

 私は、こうして、今日、機会をいただきましたけれども、決して法律を学んだわけでもなく、そして専門知識があるわけでもなく、一名古屋市民、一国民です。ですので、正確な情報でないところもあるかも知れませんが、どうぞ御容赦をいただきたいと思います。そして、改めて犯罪被害者というのは特別な人ではない、ということを再認識していただきたいと思います。一市民がある日突然被害に遭う、いつ、どこで、誰が被害者になってもおかしくないという現実がすぐ隣にあるということを今日また知っていただきたいと思います。

 ここに見ていただいているのは、私が犯罪被害者遺族になったその事件、1996年ですけれども、私の父、横井博彦、そして母、横井孝子が当時、名古屋市中区に住んで写真店を経営しておりました。その自宅、実家に覚醒剤の常習者が覚醒剤を買うお金が欲しくて、窃盗目的で侵入し、その加害者と鉢合わせになった父と母が包丁で刺殺されました。その事件の地元紙の第一報です。

 お陰様で10日くらいして、加害者を逮捕していただくことができました。そして、やがて裁判が始まりました。正直、学生時代に、民事裁判と刑事裁判は違うのだ、と学んだ、それくらいの知識しか持っていなかったのですけれども、両親の事件の裁判に遺族として裁判所に行って、初めて、「あ、日本の法律ってこんなふうだったんだ」ということを実感しました。そんな中で、証人として証言台に立つ機会をいただいたわけです。

 次の新聞記事を見ていただきたいと思います。

 私は、ただ証言台に座っているだけで一方的に進行してしまう裁判にとても不安を覚えていました。このままでは加害者の言うことばかり聞かれて、判決が下りてしまう。せめてと思って、その証言台で「加害者のほうを向いて話をさせてほしい」と裁判長にお願いをした、そのときの記事がこれです。実はそのお願いも裁判長の裁量でかないました。翌日の新聞の「異例の配慮」という文字を見て、あ、これは特別なことだったのだ、ということも知ったわけです。こうした被害者の思いというのは、今、裁判員裁判の制度の前に始まった被害者参加制度という仕組みの中で活かされているのかと思います。

 当時はそういった制度がなかったので、「異例の配慮」で加害者に向かって話をすることができました。自分の思いを述べるということの大切さを実感するとともに、被害者のことをもっと知ってもらいたい思いが、このグループを立ち上げるきっかけになったということもございます。

 そして、裁判が進む中、第一審の判決が下りました。求刑は死刑でしたが、覚醒剤を打っての犯行でしたので、責任能力が問われて心神耗弱が認められました。結果、刑法第39条に則って求刑の死刑が減刑されて無期懲役になりました。現在、加害者は服役をしています。ですので、やがて社会復帰をするということを思いますと、とても私たちにとって事件が終わったとは感じられません。なぜ、自らの意思で違法の覚醒剤を打って、そこに窃盗、そして殺人が重なって、最後に罪が軽くなるのか。とても不思議な思いをし、39条の見直しを求める署名活動もしましたが、現行、39条はそのままです。そして、39条に対する疑問は今も持ち続けています。検察が控訴をしてくださいまして、控訴審も行われましたけれども、結果は一審を支持し、二審でも無期懲役ということで、その刑が確定しております。

 こうしたことをきっかけに、私は被害者の立場が裁判においても蚊帳の外に置かれているな、ということも実感しました。日々の生活では、いつもと同じように隣の御主人がゴミを出し、そして小学生、子供たちが昨日と同じように学校に行く声が響いている中、どうして私だけ違うのだろうか、なぜ私だけ昨日までの生活の続きができないのだろうかと、いわゆる社会の中で、とても孤立感を覚えました。そんな中で、同じような立場の方と巡り合うことができました。今日までの活動は、そういった同じ立場の方々からとても大きな力をいただいています。

 最初にお訪ねしたのは富山県での「小さな家」という自助グループでした。そして、全国犯罪被害者の会、「あすの会」にも参加させていただき、「いのちのミュージアム」や、最近では「被害者が創る条例研究会」、全国各地でのそういった被害者の皆様と出会いがあり、交流があり、その中で得た情報を地元に帰って活かしていく、そんな形でこの緒あしすの活動を進めてまいりました。

 お手元のこの緒あしすの資料を見ていただきながら。緒あしすは「殺人事件」そして「傷害致死事件」の方を中心に、今までおおよそ60名くらいの方に御参加をいただいています。親子、御夫婦の参加がありますので、件数としては約40件、中には容疑者が浮かびながら証拠不十分で不起訴になって、御遺体があがっていない、行方不明という方も遺族の集まりということを御理解いただいて御参加いただいています。

 活動としては、およそ月に1回、グリーフワーク、いわゆる苦しみ、悲しみを分かち合うという自助活動を中心に行ってきました。時には弁護士さんだったり、関係機関の方々と意見交換をさせていただく、そんなような時間も持ってまいりました。そして、1年くらい経ったときに、やはりこの声を社会の皆さんに知ってもらおう、関係者の方にももっと知ってもらわなければというような声が上がったことをきっかけに、「いのちかなでる」というタイトルで緒あしす主催の集会も開いてまいりました。そういった活動を続ける中で、音楽や歌で元気をもらえるということもあるよね、加害者には慰問はあるけれど被害者は慰問してもらえないね、じゃ、自分たちでコンサートをしようということで、音楽で犯罪被害者を応援するプロジェクトとして「いのち奏でる」、まさに奏でる、その字ですけれども、コンサート等も開いて参りました。

 もう一つは「ねがい」というタイトルでパネル展も行わせていただいています。こういったところが緒あしすの活動です。ひとまず、私からはここまでです。

大岡:青木様、ありがとうございました。御自身の被害体験、そして緒あしすの活動について御紹介いただきました。次は、弁護士の御立場として北條様から御自身の活動、また日弁連ならではの取組ということでお話をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

北條:奈良から参りました北條正崇と申します。私は高校生、大学生のときに被害者のことについて考える経験がありまして、被害者を守る仕事に就きたいと思いました。平成11年に司法修習生になりまして、被疑者、被告人の弁護活動を中心にしてきた日本弁護士連合会でも犯罪被害者支援の委員会ができました。平成12年には、いわゆる被害者保護関連二法ができまして、これから被害者に関する法整備が進んでいくという、そういう時期に弁護士になりました。

 これまで約20年間、犯罪被害者支援の活動を中心にしてきました。皆さん、今日は各地から来られているかと思うのですけれども、皆さんがお住まいの地域ではどうでしょう。被害者支援の活動に力を入れている弁護士というのはどのくらいおられるでしょうか。奈良は、まだまだ被害者支援の活動をする弁護士が少ないです。それは良くないことなのですけれども、そのお蔭もありまして、お蔭と言ったら言い方は悪いですけれども、被害者支援に関する活動をいろいろさせていただいています。本日のプログラムにも書いていますように、いろいろな委員の活動とかさせていただいていまして、まだあと3つくらいあるのですけれども、書き切れませんでしたので、とりあえずこれだけ書かせていただきました。

 この20年間で様々な事件を担当してきたのですけれども、ここ数年はやはり他の地域と同じく性犯罪の被害に遭われた方の相談や御依頼を受けることが非常に多いです。この20年間を振り返りますと、当初は自分一人で支援をすることが多かったです。実は弁護士になって間もないころに御家族を殺害された方から御依頼を受けまして、愛知県の裁判所で裁判をするという経験をしておりました。そのときに、もう15年以上前なのですけれども、横におられる青木さんが御遺族の付き添いに来てくださるということがありました。そのとき、私は御遺族のためにこういう活動をしておられる方がいるのだと、とても感動したことが今も記憶に残っております。

 今では私自身、日常的に支援センターや警察、臨床心理士さん、公認心理師さん、検察官と連携しながら支援するという形ができておりまして、一人で支援していたころと比べますと支援の質は、自分で言うのもなんですけれども大きく向上したと思っております。例えば、昔は弁護士が被害者の方につながるには一体どうしたらいいのだろうと。弁護士の方から被害者の方に接触するというのはあまりイメージが良くないですけれども、どうやったら被害者の方に早くつながれるだろうという、そういうことが議論されていましたけれども、今、奈良では県警本部の被害者支援室が、奈良県内の事件を把握しておりまして、「この事件は被害者の支援が必要じゃないか」という、事件を把握しましたら、県警本部の方から被害者の方へアプローチをして、そして、センターへの情報提供や弁護士への法律相談につなげていくという形がとられています。これによって弁護士も早く被害者の方とつながることができるようになって、早期に支援を開始できるようになっております。

 また、支援にあたっては、どれだけ情報を得られるかというのがすごく大事です。特に捜査段階ですとあまり情報が入りませんので、そういうときに警察やセンターと連携して活動するということによって必要な情報が早くたくさん入るということになりました。また、被害者の方が抱えている問題を相互に情報交換しまして、やはり弁護士が話していて弁護士しか分からない被害者の問題、センターしか分からない問題、警察しか分からない問題、いろいろありますので、みんなで連携し合って、情報共有し合って、一緒に考えることもできるようになりました。

 また、センターの支援の方は法律相談や裁判の付き添いに来てくださいます。これは被害者の方にとってだけではなくて、弁護士にとってもすごく心強いことです。私の経験ですが、交通犯罪で息子さんを失ったお父さんが被害者参加されました。被疑者、被告人のほうは犯行を否認していまして、被害者の息子さんがあたかも当たり屋のように、自分から車に突っ込んできたかのような不合理な弁解をして、お父さんを苦しめていました。そういうときに支援センターの方、警察の方、検察庁の方、たくさんの方が傍聴席をいっぱいにして、そのお父さんを応援してくださるという感動的なこともありました。

 今や、もう一人では十分な支援をすることはできないと思っておりまして、関係機関が連携して支援する必要性が高いというふうに実感しております。

 次に、日本弁護士連合会、日弁連での活動を御紹介させていただこうと思います。

 前のスライドで4つ、活動を書きました。時間の関係で全部御紹介することはできないのですけれども、このうちの2つ目、「公費による被害者支援弁護士制度の導入」。これなのですけれども、今や、どうでしょう、支援機関、関係機関の皆様にとって被害者支援において弁護士が占める、弁護士の支援が重要である、必要不可欠であるということは共通認識になっているのではないかなと思います。被害者の方が弁護士を頼むことに関しての援助制度としましては、平成19年に国選被害者参加弁護士制度ができました。国選被害者参加弁護士制度は年間概ね約600名前後の被害者の方が利用されているという統計があります。

 ただ、これは被害者参加裁判だけのことでして、皆さん、御承知のように、それ以外の場面、捜査段階であったり、被害者参加事件以外の事件であったり、そういう場面では使えませんので、今ある制度としましてはこの日弁連が犯罪被害者法律援助事業、いわゆる“委託援助”という名前でよく言われますけれども、日弁連が費用を出して行っておる制度があります。この制度が、年間、相談と援助、合計しまして約1,600件、つまり国選の被害者参加よりも約2倍以上、3倍近くの被害者の方が利用されています。この利用件数もこの10年間で約4倍になっておりまして、年々利用されております。

 しかし、やはり民間による費用の援助という点では限界があります。被疑者、被告人には弁護士が付くためにかなりの国費が投入されていますが、被害者が費用の負担なく、弁護士による支援を受ける必要性というのは極めて高いですので、同様に被害者にも国費で弁護士が支援できる制度が設けられるべきであると考えております。

 つい1週間前も日弁連のほうでは国費による被害者支援弁護士制度の導入を求める意見書を出しました。日ごろ、支援に関わっておられる皆様にも是非御賛同いただきたいと思います。

 最後に、奈良での取組について御紹介させていただきます。

 奈良では、平成28年まで犯罪被害者支援条例を設けている地方公共団体はありませんでした。平成27年に、今日も階段を上がったところで「生命のメッセージ展」をされていましたけれども、NPO法人KENTOの児島早苗さんと一緒に、大和郡山市といいまして奈良県の北部にある自治体なのですが、金魚で有名な町です。大和郡山市の市長に「条例をつくってほしい」というふうに児島早苗さんと私とで要望に行きました。そうしますと、大変理解のある市長でして、学校で教師をされていた方で、子供たちの、本郷さんのお話にもありました、安全、命の大切さを学ぶ教育なんかも熱心にされている市長ではあるのですけれども、市長の方から「行政が犯罪の被害に遭った人を守るというのは当たり前のことや。よし、じゃ、すぐ条例をつくりましょう」ということですぐ担当課のほうに必要な作業を指示されまして、児島さんと私が要望してから約4カ月後に被害者支援条例が奈良で初めてできました。

 その後、奈良では警察やセンターが中心になって市町村に働きかけをしておりまして、毎年、複数の市町村が条例を制定しています。現在、39市町村中21市町村が条例制定しておりまして、約133万人の県民のうち、71%の住民が市町村条例による支援を受けられるということになっています。逆に言うと約30%の方は市町村条例による支援を受けられていないということで、速やかに全市町村に条例が制定される必要があると考えております。

 また、条例をつくるだけで具体的に被害者の方の支援に結びつかなかったら意味がありませんので、奈良では条例をつくるときには必ず、市町村とその管轄の警察署と支援センターが三者で連携協定を締結することにしていまして、実際に被害者支援をする際の備えをしております。

 また、支援センターの財政基盤の充実のために、市町村がセンターの賛助会員になりまして、人口一人当たり2円の賛助会費を払うという形をとってもらっています。人口数掛ける2円で計算するのは、被害者支援は住民全体の問題であるという、そういうことによります。また、条例ができてもきちんと施策が実施されなければ意味がありませんので、私も委員長を務めさせていただいているのですけれども、奈良県の協議会において毎年条例や計画の運用状況の報告を受け、当事者の方であったり、我々支援者のほうが意見を述べるということをしております。とりあえず以上です。

大岡:北條様、ありがとうございました。北條様からは御自身の弁護士としての御活動、日弁連、そして奈良での取組について御紹介をいただきました。
では、次は鶴田様のほうから都民センターの活動、都民センターでの支援につきまして自己紹介も含めてお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

鶴田:私は民間の被害者支援団体の臨床心理士という立場から「被害者支援都民センターの支援と地方自治体に対する期待と課題」についてお話をさせていただきたいと思います。

 私は被害者支援との関わりというのは、世界的にPTSDではとても効果のある治療法が日本人においても有効かどうかという治療研究がありまして、そちらのほうに犯罪被害者の方に御協力いただきまして、その治療実践等をやってまいりました。犯罪被害という、とても苦しい思いをなさって、なおかつPTSDにも苦しめられていた方がPTSDから回復することによって力強く前に進んでいけるという姿を見て、PTSDによって苦しめられている人たちを受けられないのはおかしいんじゃないか、という思いがありまして、現在の職場で、PTSDの治療や被害者の方のケアに携わっております。

 都民センターの紹介ですが、現在、犯罪被害者を支援する団体というのは全国で48カ所ありまして、その中で東京都に存在している支援団体ということになります。

 全ての支援団体との電話相談や面接相談に加えて、裁判所や警察等への付き添い支援を行う直接支援を行っています。また、各関連機関の外部機関との連携を行っております。

 私どもの団体のほうですが、全体の相談件数が3万3,000件であるのに対して6,000件とかなり多くの相談件数を扱っております。また東京都と協働事業を行っておりまして、犯罪被害の「総合相談窓口」を設置しております。被害者の方を支援する職員がおりまして、中でも臨床心理士や社会福祉士という専門的な資格を持った者を多く有する団体でもあります。

 その中での二大柱なのですけれども、刑事手続支援と、トラウマケアや専門的なプログラムを提供する心理的なケアの二大柱で行っております。被害者の心情や対人援助のスキル、被害者に関わる法律や制度の知識に関して専門的なトレーニングを受けている犯罪被害相談員と、心理的なケアに当たる臨床心理士というのは明確に役割分担をしております。被害者の方のお話をお聞きしたり、被害後に起こってくる心の問題についての説明をしたり、今差し当たって何に困っているかというような問題についてお話を伺ったり、それについてのアドバイスを行ったりすることは共通しているのですが、相談員は、直後の相談から関わり、それこそ裁判の間、場合によっては加害者が出所するまで長きにわたっての支援の計画を立てたり今回のシンポジウムのテーマでもある生活に関わる支援、こちらは特に行政機関にいかにつなげていくかというような支援を担っております。

 それに対して臨床心理士は、「心理的な見立て」と申しますけれども、被害後にどのような心理的な問題が起こってくるか、被害前にどのような精神的な健康を持っておられたか、医療機関につなげるようなご病気はないかどうかと、家族関係はどうなっているだろうかというようなことをお伺いしながらカウンセリングの方針を立てていく。その中で心理面接、特に「心理教育」と呼ばれていますが、被害後に様々な心の変化が訪れます。例えばフラッシュバックというのは、ほとんどの方が経験もないことです。
そういった症状に自分自身がおかしくなってしまったのじゃないかというふうに戸惑われる方も少なくありません。そんなときに心の専門家が「このような出来事を体験した後にこのような反応が起こってくるのは当たり前なんですよ」というような説明を行ったり、PTSD等になっているような場合には専門的なプログラムを提供したり、あと御家族の方もやはり大変な苦しみを負ったりだとか、被害者の方をサポートする上で困難を感じたりすることもありますので、御家族の方の面接なども実施しております。

 そして、どのような機関と連携を行っているかということですが、例えば、警察であるとか検察庁、こういったところから支援の要請や、依頼を受けたりします。被害者の方が警察や検察に行くというのは日常の生活にはあまりないことです。ですから、そういったところに行くだけでも非常に強い緊張を覚えられますし付き添ったりだとか、「こんなことを言ってもいいのだろうか」とか「専門用語をいっぱい言われたのだけれども、何言われているか分からない」というようなこともあります。そういったときに、双方のコミュニケーションを円滑にいくように少し翻訳作業を行ったりだとか、あとは専門家との面談の後に「分からなかったことはなかったか」とか「今のお気持ちはどうだろうか」とクールダウンをしたりすることも行っております。

 また、裁判となったときに、裁判所に出向くということは加害者と同じ空気を吸うということでもあります。お手洗いであったり、エレベーターの中で加害者やその関係者と遭遇するといったこともあります。そういったときにも相談員がそばに必ず付き添って、周りに目を配ったりすることも行っております。

 または、先ほど北條先生の話にもありましたけれども、実際に弁護士の方全てが被害者支援に精通しているわけではありません。ですから、被害者支援に精通している弁護士の方におつなぎしたり、また更に面接に同席しながら、分からなかったことはなかったかとか、被害者の方は、示談を受けるかとか、被害届を出すか、あと被害者参加という様々な制度ができたことによって、多くの重大な意思決定を、まだ混乱した時期に行わなければならない。被害者の意思が最大限反映されて、後悔しない意思決定ができるようにお手伝いをするというのも大切な刑事手続の支援となっております。

 臨床心理士においては、やはり精神医療の必要性はないかどうかということを判断したり、被害者支援に慣れておられる先生方を御紹介したり、被害者の方が被害について、また一から話さなければいけない、症状について話さなければいけないというのはとても苦痛なものです。ですから、あらかじめ聞き取った問題を書面にしたためて、それをお渡ししたり、病院へのハードルを下げるために付き添い支援なども行っております。

 また、一方、行政の中では被害に遭って仕事を休まなければいけない、辞めなければいけない、もう自宅に住むことができない。じゃ、健康保険はどうしよう、年金はどうしよう、たくさんの問題が起こってきます。そのときに、被害者の方が混乱した状態で自分がそもそも何に困っているのか、何をしなければならないかすら分からないことも少なくありません。そういったときに一緒に窓口に付き添ったりとか、今は総合支援窓口ができておりますので、その方に行政の内部の取りまとめをお願いして、一緒に問題を整理したり、ニーズをお渡しするというようなこともやっております。

 東京都の連携なのですけれども、東京都の職員と一緒に市区町村窓口を訪問したり助言を行ったりもしておりますし、市区町村の方のほうから「被害者支援について学びたい」ということで研修の受け入れもしております。また、市区町村を対象とした研修会も定期的に開催しておりまして、相談窓口に対する支援の充実・強化を行っております。

 また、東京都市区町村犯罪被害者等支援連絡会というものがありまして、市区町村の施策担当窓口との情報の共有、連携の強化というのも図っております。その他として個別のケースに応じてどのようなニーズがあるか、それを市区町村の窓口に伝えて、市区町村の中からできる提案をしていただいたりというようなことも日々行っております。

 最後に期待と課題ということになりますけれども、行政の窓口というのは立ったまま、周りに声が聞かれてしまうような環境での相談ということになります。ですから、プライバシーが保たれていなかったり、複数の窓口に、問題ごとに行かなければならないというようなこともあります。また、行政、福祉の支援を利用するためには、そもそも自分が何に困ってどのようなサービスがあってということが分からなければ、たとえサービスがあったとしても利用することはできません。先方のほうから「このようなサービスがありますけど、どうですか」というふうに提案してもらえるものではありません。ですから、実際には市区町村の窓口に必ず少なくとも1回は訪れていたとしても、そのときに利用できる支援サービスの案内がなければたどり着くことができない、ということでもあります。非常に熱心な担当者のときがあったかと思うと、担当者が代わってしまうと途端に温度差が出てきてしまうこともあります。担当者が交代してしまうと引き継がれないようなことも多々あります。「利用したい」と考えても、実際の利用までには非常に時間がかかってしまうこともあります。

 そこで期待なのですけれども、やはり被害者にとって身近な場所、近隣で相談ができることのメリットは大変大きなものです。総合対応窓口ができたことによって手続の一元化ができれば何よりも望ましいと思います。

 また、自ら相談に訪れるということはとても困難なものなのですけれども、アウトリーチといって向こうから来てくれる。それこそ、例えば死亡するような事件が発生したときは、その行政の窓口で把握ができているはずです。ですから、そちらから警察に「こんな支援ができるんだけれども被害者の方に伝えていただけないか」というふうに伝えていただいたり、そして「私たちのほうから出向いていきますよ」というようなアウトリーチをしていただけたら非常にありがたいなと思います。

 また、被害者支援団体などの場合には、扱える事案、対象犯罪が限られておりますが、詐欺であったりとか、幅広い犯罪の罪種に対応していただけると非常に良いなと思います。

 そして、やはりプライバシーの保てる場所を確保していただきたいということ、そして「何に困っていますか」と言うだけではなくて、「私たち、被害者の方がお困りになることはこんなことが多いとお聞きしているのですけれども、こんな支援がありますけど如何でしょうか」という具体的な提案をしていただきたいこと、それから生活の支援やすぐに利用できる生活資金や住宅の提供、相談支援に専門職をぜひ配置していただきたいというようなことを考えております。私の発表は以上になります。

大岡:ありがとうございました。鶴田様からは民間団体臨床心理士の立場として都民センターの支援に加え、地方自治体の課題や期待まで言及をいただきました。このあとディスカッションでもこの点についても触れていきたいと思っております。

 では、最後は、地方自治体精神保健福祉士のお立場として木本様から横浜市における取組、体制整備等についてお話をいただきたいと思います。自己紹介を含めてどうぞよろしくお願いいたします。

木本:横浜市の総合的対応窓口であります、名称が「犯罪被害者相談室」という窓口なのですが、そちらで直接相談を受けておりまして、また事業全般を担っております木本と申します。

 私の職種は、ソーシャルワーカーです。ただ、大学、大学院で学んだのは心理と臨床心理学なのでそちらのほうの資格も持っている関係で、ケースワークをやりながら、時にはカウンセリングをするという形で支援をしております。
今日は、横浜市の取組をお話しさせていただこうと思うのですが、横浜市の取組をお話しするに当たっては、まず神奈川県の被害者支援について少し知っておいていただく必要があるかなと思いましたので、神奈川県の支援についての一枚のスライドを用意しております。

 神奈川は横浜に先立ちまして、第1次犯罪被害者等基本計画に基づいて、まず被害者支援条例をつくっております。その条例に基づきまして「かながわ犯罪被害者サポートステーション」というものを開設しております。私は着任してから直ぐに神奈川県と連携して仕事をしていたので、全国もこんなものかなと思っていたら、どうもそうではないと。神奈川のこのサポートステーションというのは、非常に全国でも類を見ないものだというふうに聞きまして、ああ、そうなのかと後で知ったのですけれども、神奈川県の所管課と県警の被害者支援室とNPOの被害者支援センターの三者が一体となって窓口を構成しているということで、大変すばらしい取組だと言われております。警察が関与しておりますので、当然、事件の初期からの介入を中心としてカウンセリングですとか弁護士相談ですとか付き添い支援、それから県が行っている生活資金の貸付とかそういったことを行っています。

 対象になっているのは、原則として、殺人、傷害、強盗、性犯罪等の心身に被害を受けられた方ということで、いわゆる身体犯と言われている方ですね。被害者支援センターはNPOということなので、それ以外の御相談もお受けはしているのですけれども、総合的な支援としてはここに書かれたような方が対象になっているそうです。

 そして、少し遅れまして平成24年に、このときは第2次の基本計画の中で「市町村に窓口をつくりなさい」という要請があったものですから、横浜市でも私が今所属している市民局人権課に「横浜市犯罪被害者相談室」を開設いたしました。私はこの開設の前は、いわゆる精神保健福祉センターというところに籍を置いて仕事をしていたのですが、この「相談室ができるよ」という話を上司から聞きまして、是非やらせていただきたいということで手を挙げて異動させていただいて、もう、今,8年目になります。

 当時は、まだ横浜市条例ができていなかったものですから、要綱というものを制定いたしまして、この要綱というのは行政内部の決まり事のようなものなのですけれども、それに基づいて支援しておりました。相談員は2名で、二人とも社会福祉職で、私ともう一人は女性の相談員です。何か決まりがあるわけではないのですが、やはり女性の性被害の方がお話ししやすいというところで、女性の相談員は1名置きましょうという形になっております。

 そして、私どもの横浜市の支援事業の4本柱としては、個別相談支援の実施、市の職員等への研修の実施、市民等への啓発事業、そして被害者等支援ネットワーク形成のための取組というように位置付けております。本日は時間の関係もありますので、個別相談支援を中心にお話ししたいと思っております。

 専用の電話相談の番号がございますので、そちらからの電話相談もお受けしていますし、予約制になっていますが、私ども相談員による面接相談、それから先ほど鶴田さんのお話にもありましたが、例えば被害に遭われた方や御家族、御遺族が高齢者であったり、小さいお子さんがいらっしゃったり、そもそも心身に被害があってなかなか家から出られないという方も多いので、できるだけ積極的に御自宅に伺うようにしております。でも、自宅に来ていただくのは少し抵抗があるなという方の場合には、こちらから提案して、「ではお近くの区役所でお部屋をお借りするので、そちらに来ていただけますか」と言うと、「だったら行きます」ということで区役所にお部屋を借りて相談を受けるということも最近はかなり増えてきております。

 横浜市の相談支援の特徴ですが、まずは先行する神奈川県にサポートステーションというのがございますので、そこの支援を補完しましょうというのが第一にございます。具体的に言うと、サポートステーションは総合的な支援に関しては、原則としては被害届を受理されている方というのが、主な対象になっているのですが、私どもは被害届の有無は問わずに、御相談があればお受けします。また、詐欺被害等の財産犯罪、あるいは親族間の犯罪、こういったものも相談支援の対象になっています。

 ただ、後ほどお話しいたしますが、昨年できました条例に基づく新たな支援制度というのがあるのですが、そちらの支援制度の対象としては、一部対象外になることもございます。それと何よりも、やはり地方自治体の支援ですから、生活上の困り事や要望、これをまとめて、よく“ニーズ”というふうに言うのですけれども、こうしたことへの支援というものを中心に考えていくと。従来は既存の福祉保健サービス、例えば障害を負った方であれば障害者総合支援法、高齢の方であれば介護保険、あるいはひとり親になった方であればひとり親家庭の福祉制度、そういったことをどう活用するかといったことが中心でしたが、今年の4月からその条例に基づく新たな支援制度が導入されていて、そういった要件に合わなくても、被害に遭ったということで使える支援サービスも始めております。

 そして、関係機関との連携支援。多くの関係機関がございますが、それぞれの機関ができることというのはやはり限られておりますので、みんなで連携して支援していくというスタンス、これはすごく大事なことかなと思っております。そのベースになるのは、支援実務者の顔の見える関係が大切だということを実感しています。これは後ほどお話しいたします。

 そして、中長期的な視点による支援ということですね。被害に遭われた方や御家族、御遺族のニーズというのは時間の経過と共にどんどん変わっていきますので、そういった多様なニーズを拾い上げて、その都度支援していくというスタンスがすごく大事だと思っております。

 これはどういうことかと言いますと、個別相談支援を行うときの私どものスタンスなのですが、やはり「生活者」としての支援だろうということで、当たり前のことなのですが、皆様、被害に遭う前は普通に生活をしていらっしゃった方なのですね、生活者なわけです。それが被害に遭ったことによって、いわゆる「被害者等」としての側面が大きく生活を覆ってしまうわけなのですね。それをここに書いてありますように、被害者等に寄り添う支援者が存在していることや、被害後の時間の経過によって変化する、先ほど申し上げたとおりですが、多様なニーズに包括的な支援を行っていくこと、そして何よりも生活者としての側面を支援者が意識しておくこと。これは当然、被害者等の側面への支援というものがあってこそなんですけれども、もともと生活者だったという視点を支援者が忘れてしまうと、どうしても生活者としての回復というものに繋がらないということで、こういった支援が行われることによって、いずれはまた再び生活者としての側面が中心になっていくと。
ただ、基調講演の本郷様のお話にもありましたけれども、どんなに時間が経っても被害のことを忘れることはもちろんできません。悲しみや苦しみというのは一生続くというのは被害に遭われた方、皆さん、おっしゃいます。ですから、ここにも書いてあるのですけれども、決して被害者の側面が無くなるわけではないということ、これは逆にまた支援者側が常に意識しておかないといけないことかなと思っております。

 そして、これは個別相談支援以外の支援をちょっとまとめたものなのですけれども、まず何よりも究極的な目標としては、やはり被害者等が安心して生活できる地域社会の実現だろうと。これには当然ながら、先ほど本郷様がお話しなさったような「二度と被害が起きないような社会の実現」というのが入るとは思います。そのために、まず、私どもができることとしては「包括的な支援」と書かせていただきましたけれども、福祉的な視点から言えば、ケアマネジメントの導入ということも含まれるかなと。そして、国や地方自治体における法律、条例もそうなのですけれども、そういった制度の整備というものがあります。そして、更に地域における相互支援、つまり地域における助け合いですね、そういったものが普通にできるようになるような社会ということのためには、やはり啓発活動も必要だろうと。そして、被害者等に関わる市職員への研修。やはり自治体の窓口に折角お越しくださったのに、その言動によって非常に傷つけられたと。よく“二次被害”と言いますが、こういった二次被害を防止するという意味では、市の職員への研修というものも重要な事業というふうに位置付けております。

 そして、「地域における途切れない連携支援を可能とする体制整備」ということで、これに関しては横浜市では平成27年度から3カ年にわたって警察庁との共催で総合的推進事業という事業を行いましたが、その中では横浜市内のいろいろな関係機関が一堂に集まりまして、特に実務者レベルでいろいろな活動をすることによって、それぞれの関係機関が何をやっているのかということをお互いにまず理解するという相互理解ですね。そして、支援に当たっては重層的であり、つまり幾層にも重なっていて、全体的に支援ができるような、そういったことの視点が必要だという理解が必要だろうということで、そのためには実際やってみて感じたことなのですが、実務者レベルで仮の事例を使った事例検討ですとか、支援のロールプレイとか、こういったことが非常に相互理解や支援の理解ということで有効だったなと感じております。

 そして、最後になりますが、横浜市では昨年度条例を制定いたしました。そして、今年4月1日に施行しております。横浜市の条例の特徴といたしましては、先ほど申し上げた二次被害とか、それから再被害の防止というものを基本理念で言及しております。また、日常生活支援や経済的支援というものに言及しておりまして、具体的には例えば被害に遭って家事ができなくなった場合のホームヘルパーの利用とか、一時保育を利用した場合の費用の助成、それからどうしても転居しなければいけない場合というのがございます。再被害の防止のためだったり、それから近隣の噂とかマスコミによる二次被害から逃れるための転居という場合もございますが、そういった場合の転居費用の助成、それと見舞金、法律相談、カウンセリング。カウンセリングは以前からやっていたのですが、こういったものを新たな支援制度として今年4月1日から導入しております。また、市内で被害に遭った市民以外の被害者等がいらっしゃった場合には、その住所地の自治体と連携して支援するということも条例の中でうたっております。

 横浜市の方では、こういった条例制定を機に、今まで以上に啓発、周知に努めて、様々な支援機関との連携の強化を推し進めていきたいなと思っております。まずは私の説明は以上とさせていただきます。

大岡:ありがとうございました。木本様からは横浜市における取組体制整備に加えて、被害者支援のスタンスについても触れていただきました。申し遅れましたが、総合司会であります大岡の自己紹介も簡単に口頭でさせていただきます。

 私はソーシャルワーカーが木本様と同じように私のアイデンティティでございまして、病院のソーシャルワーカーを経て、現在は大学で犯罪被害者支援について研究をしております。また、当事者団体のバックアップでありますとか、そういった活動にも一緒に参加をして、学びを深めております。警察庁の交通事故被害者サポート事業検討委員でありますとか、また、内閣府の性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター相談体制強化に向けた調査検討委員等も務めさせていただいています。

 今からディスカッションということになるのですけれども、私のほうの研究の結果も少々載せております簡単な補足資料をお手元に配布させていただいております。全国の犯罪被害者またその支援の状況を集めたものになりますので、御活用いただきながら、ディスカッションに耳を傾けていただきたいというふうに思ってございます。

 今、各パネリストのほうから自己紹介を含めて各活動についてご紹介をいただきました。では、このディスカッションにおきましては、幾つかポイントを絞って私のほうからパネリストの皆様に振っていきたいと思いますので、活発に議論を進めていきたい、それに御協力いただきたいと思いますのでお願いいたします。

 まずは、私ども、第1部で本郷さんの基調講演をいただきました。いろいろなメッセージを私たちは受け止めたのではないかと思います。安全な社会づくりの必要性、また二度と同じような事件を起こさないで、という思いはあっても、次々と起こってくる事件の存在。しかし、そこでも尊い命の大切さがあること、いろいろなメッセージを、それぞれが受け取ったのかなと思っております。

 では、ここでまずパネリストの皆様方から「基調講演を聞いて思ったこと」というところから少し話を広げていきたいと思います。それぞれの御立場で発言をいただける方からお願いしたいと思います。いかがでしょうか。では、青木様、お願いいたします。

青木:やはり本郷さんのお話を伺って、同じ立場として本当に重なるところが多くて、私も今胸の中に大きな風船が胸一杯膨らんだような状況でいます。実は、この会が始まる前にお昼を御一緒させていただいたときに少しお話も伺ったわけですけれども、その中で心の傷にかさぶたがはってきて、そして社会生活を営むためにも時には笑いながら、そうしたコントロールをしながら自分の心も少し誤魔化しながら生活を送っているというようなお話も伺い、そういったところもまさに一緒だなということを思いました。

 そして、印象に残っているのが、「二度と同じことを起こさない、繰り返さないそのことが支えになる」というお話でした。先ほど私どもの活動紹介で犯罪被害者支援パネル展がありますというお話をしたのですけれども、タイトルを「ねがい」と付けております。この「ねがい」の意味は、亡くなった大切な人を忘れないでほしい、その亡くなった命を教訓にし、その命を活かしてほしい、その願い。そして、2つ目には、私どものグループの中には未解決の事件の方々もいらっしゃいますので、事件を風化させないでほしい、そうした願い。そして、3つ目には、本来、私たちの願いというのは元どおりにしてもらうことだと思います。でも、残念ながら、それは現実、叶うことではありません。せめて、という思いであると思いますが、これ以上、私たちと同じような思いをする被害者を出さないように、これ以上犯罪が起きないように、そういったみんなの願いを込めて、この3つをサブタイトルとして「ねがい」というパネル展をさせていただいています。本郷さんのお話とまさに一緒だなと感じました。ありがとうございます。

大岡:ありがとうございます。他、いかがでしょうか。お願いいたします。

北條:平成13年6月8日なのですけども、私はある御遺族の依頼を受けて、犯罪被害の事件でしたけれども、先ほど言いました愛知県の裁判所に行っていました。お昼に着きまして、まだ裁判が始まる前でしたので、喫茶店でお昼を食べていましたら、ちょうどテレビでニュース速報が出てきまして、ヘリコプターが上空から校庭の様子を映す映像が流れました。私はそのとき、本当にすごい事件が起こったと思いまして、大切な命が奪われた事件、絶対に忘れないというふうに思いました。

 今、非常勤ですけれども、大学で犯罪被害者支援の授業を担当していまして、この平成13年、ちょうど生まれたすぐ後くらいの学生を今教えています。その授業の中で子供の安全を守るということ、学校の安全ということについても若い子に伝えるようにしております。

 また、「二度と同じ被害者を生まない」というお話なのですけれども、交通犯罪は年間1万以上の死者があった交通戦争と言われた時代がありまして、それが今3,000人台。3,000人でもだめです、それでも多いんですけれども、やはり飲酒運転を厳しく取り締まろうってみんなが本気で、国も国民もみんなが思って、そういうふうに減らしたというのがありますので、本当に命が大切だというのだったら、みんな、真剣に取り組んだらそういう犯罪は減らしていける、防いでいけるのではないかというふうに、今日、本郷さんのお話をお聞きして改めて思いまして、パワーもいただきました。ありがとうございました。

大岡:では、鶴田さん、お願いいたします。

鶴田:私の仕事というのは、常にクライアント、被害者の方からお話をお伺いして、「あ、そのような苦しみがあるのか」「それを糧に生きておられるのか」ということを常に教えられて、そして教えていただいたことを私の中に蓄積して、次の被害者、御遺族の方の支援に当たるときに私の背中をいつも押してくれています。今日、本郷さんのお話をお聞きしまして、また改めて背中を押していただけている思いがしております。ありがとうございました。

 先ほど、私の中でとても印象に残ったのが、「最初はモンスターではなかったのではないか」というふうにおっしゃいました。犯罪というのは自然災害と違って、それを「成す」という行為者がいなければ起こらないものなのです。犯罪の背景には生きづらさが必ずあると思います。私は小さなお子さんで性犯罪に遭ったお子さん、苛酷な刑事手続を踏むのに「どうして警察に届けようと思ったの?」というふうに聞いたら、「私と同じ目に友達を遭わせたくない。」こんな小さな子供が、自分がこんなに辛い思いをしても、他の人を思いやる心を持つのだというようなこと、自分が大人としてとても恥ずかしく思いましたし、自分の目の前にいる人に何か優しくできたりだとか、私たち一人一人が、それができたら、もしかすると次の犯罪を防ぐことができるんじゃないか、そんな思いがしております。また、その思いを日々、仕事の中でも活かしたり、できれば日常生活の中でそういうふうにしてみたいなと思いました。ありがとうございます。

大岡:木本様、お願いいたします。

木本:私も青木さんと同じところなのですけれども、「二度と同様な悲劇を起こさせないことが自分にとって何よりも支援になる」というお話を聞かせていただいて、すごく感じたのは、「じゃ、支援って何だろう」という話なのですね。多分、被害者支援というのがまだ本当に始まったばかりのときにはそういったこともなかったと思うのですけど、だんだん、こうやっていろいろな制度とか支援というものが整ってくると、「支援」という何かイメージというか、言ってしまうとパッケージみたいなものを支援者側がイメージしてしまうと思うのです、「これが支援だろう」という。でも、それは支援者側が思う支援であって、本当に被害に遭った方が望んでいるものではない場合もありますね。

 だから、まず、今、目の前にいる人が何を望んでいるのか。これも本郷さんのお言葉だったのですけれども、「大切なのは目の前にいる方の思いに耳を傾けることだ」とおっしゃっていました。それがまず支援の基本だろうなということです。それをすごく今日お話を伺っていて、一番原則的なところを改めて認識させていただいたなというふうに感じています。

大岡:ありがとうございました。この度、テーマにも「被害者支援」と付いているのですけれども、先ほど木本さんのお話もありましたように、やはり支援というのは被害者がいて初めて支援が来るものであると思っています。
今、ちょうど被害者週間でございますけれども、この犯罪被害者の週間ができる前に、実は「犯罪被害者の日か犯罪被害者支援の日か」ということで議論がなされたことがありました。結局、今、「犯罪被害者週間」ということにそれはつながってきているわけですが、まず被害者がいて、そしてそこに何か私たちができることがあるのであれば、それは支援になっていく、というようなことなのかなというふうに思えるわけです。

 では、ここでそういった支援、または生活の再建に向けた支援の必要性や重要性というところに視点を移してお話をパネリストの方々に聞いていきたいなというふうに思っております。果たしてどのような支援が被害者に求められているのか、また生活の再建について、支援者に何かできることがあるとすれば、何ができるのか、そういったことについて、どなたからでも結構ですのでお願いしたいと思います。

青木:もう少し私自身の体験をお伝えしたいなと思います。最初に聞いていただいたように、事件現場というのは両親が住んでいた実家、自宅でした。現場検証には3か月くらい時間がかかりました。私たち遺族も自由に出入りすることができなかった時間が続いたわけですが、そんな中で犯人が逮捕されて、「もう現場にも入っていただいていいです」と言われて、入ってみると、血の海のようになっていた畳やフローリングの床は黒ずんで、バリバリに乾いていました。

 そして、もう一つ予想しなかったのが、いわゆる指紋検査薬です。家具から食器から、母親の化粧品の瓶の蓋までその検査薬が付着しておりました。私も刑事ドラマでしか見たことがなかったので、ただの白い粉かなと思っていたのですが、実際には特殊な化学薬品で、もう家の中じゅう、銀色に光っていました。そして、とても市販の洗剤では拭き取ることができませんでした。今、拭き取ることができなかったとお話ししたのは、当時は、現場のいわゆる清掃、血糊の拭き取りも指紋検査薬の拭き取りも私たち遺族がしました。こんなときにクリーニング業者を頼まれるでしょうか。もし頼んだら費用が発生します。その費用はまた被害者負担でしょうか、ということです。

 「当時」と申し上げたのは、愛知県警では平成28年にこういった事件現場が自宅であったような場合、クリーニング費用が発生した場合にそれを公費で負担しましょうという仕組みをつくってくださっているわけです。他の県警さんではもっと早くに取り組んでいただいているところもあれば、まだこの仕組みがない警察もある、ということも伺いましたので、この時点でも地域差があるなということも感じるわけです。そして、犯罪被害に遭うということは、その日の暮らしが一変してしまう。その場からの生活の続きができなくなるということだなということを思いました。

 少し、緒あしすにお越しいただいている方々のこともお伝えしますと、私の場合は両親を殺害されておりますけれども、例えば一家の大黒柱、お父さんを殺害されて、残された子供たち4人、そしてお母様。実はお店をやっておられて、その切り盛り、子育てに本当に大変でした、と話された方もいらっしゃいますし、逆に奥様を亡くされたという方もお見えでした。お父さんと小さな子供さんが残された。そうしたら、もうその日の夕食から御飯をつくってくださる奥様はいらっしゃらないわけです。あるいは御長女が殺害されて、そしてお父さん、お母さんと小さな弟さんが残されたという御家族もありました。もちろん、御長女が亡くなったことだけでもお父さん、お母さん、精いっぱいなのだけれども、残された弟さんとどう向き合っていくか、そんなような大変さも伺ったこともあります。あるいはリンチ殺人で息子さんを亡くされた御家庭では、加害者が出所した後、同じ地域で暮らしているので、近くのスーパーに買い物に行くと加害者少年たちと会うということで、被害者側がつらくて引っ越しをしたというようなお話も伺っています。

 ただ家族を亡くすというだけではなくて、今までの当たり前の生活の続きができなくなるということが犯罪被害に遭うということなのだなということを実感しております。どんな立場の方が亡くなったか、そしてどんな立場の者が残されたかによって、支援の必要性も多岐にわたるということも感じていただけると思います。そして、冒頭で私も新聞記事で事件のことを紹介させていただきましたけれども、普段の報道、いわゆる事件報道というのは逮捕、起訴、裁判、判決といったような、いわゆる刑事手続に則った報道がほとんどです。でも、報道されていない今のような日常生活の部分、そういったところも一般の方々にも知っていただきたいし、関係者の皆さんにも御理解をいただき、より支援を充実させていただきたい。

 繰り返しになりますけれども、犯罪被害に遭うということは、今までの当たり前の生活の続きができなくなるということだと思います。心のケアも含めて、長期的に生活の再建に向けた支援が必要ということを改めて知っていただければと思います。

大岡:ありがとうございます。当たり前の生活の続きができなくなる、そのための支援が必要だというようなお話だったかと思います。他、いかがでしょうか。

木本:自治体の立場としては、まさにそういったところをこれからきちんと支援していかないといけないのだろうなと思います。それで、今、青木さんは多分振り返って、それから、いろいろな方のお話を聞いていく中ですごく丁寧にまとめてくださったと思うのですけれども、青木さん自身もそうだったかも知れないのですが、実際には被害に遭った、特に直後なんかですと、もう何に困っているかも分からない。さっき、鶴田さんからもお話がありましたけれども、そういう状況の方っていらっしゃいますよね。

 そういったときに、ただ、「こういう支援がありますよ」というような提示をしても、多分、耳から入って耳に抜けてしまうような場合があろうかと思うのです。だから、やはりもっと丁寧に「今こういうことで困っていませんか。もしかしてこういうことって大丈夫ですか」というような聞き取りをしていく中で必要な支援の優先順位を付けて、それをうまくつなげていくことはすごく大事なことかなと思っています。

 これは逆にそこの部分は誰がやってもいいと思うのです、できる方であれば警察の支援員の方でもいいし、被害者支援センターの方でもいいし、弁護士の先生でもいいし、どなたでも、やってくださるのが理想かなと思っています。その中で、この支援はこの窓口じゃないとできないとなったときに、つなげていただくのが「連携」ということかなと思います。

 それともう一歩進んで言わせていただくと、そういった支援って今少しずつ少しずつ増えていると思うのです、いろいろなサービスが。でも、どのサービスを使うのかというのは、やはり最終的に決めるのは被害に遭われた方、その御家族、御遺族だと思うのですね。特に、私が仕事で知り合った被害者の方が自分の実体験としてお話しくださったのが、被害直後、本当に家事も手につかないし、お腹が空いていることすら忘れていたときにすごく助かったのは、近所の方が何も言わないでお惣菜とかお弁当を作って、レジのスーパーの袋に入れて、そっと玄関のところに掛けておいてくれた。それ、何日か続けてくださったという話で、それがすごく助けになったとおっしゃったのですね。

 だから、支援というのは単純に行政がやるとか、公的なサービスを使うというものだけではなくて、そういったものも含めて支援だと思うのです。ただ、それも、その中でどれが自分にとって一番使い勝手がいいか、あるいは負担がなく使えるのかというのはそれぞれやはり違うと思うので、そういった様々な支援を選択できるということが実はすごく大事なことかなと考えております。

大岡:ありがとうございました。フォーマルな制度やサービスだけではなくて、インフォーマルなものも非常に重要な支援であり、いろいろなサービスや制度、そして人のつながり、そういったものを選択していただけるようにつなげていくということが大切だというお話だったというふうに思います。

 他、いかがでしょうか。お願いいたします。

鶴田:当たり前の生活を取り戻すということがいかに困難かということを、日々、被害者の方と接していると思わされるところです。心理士の中でも、実は被害者支援ってかなりマイナー領域で、心のケアの専門家というふうに言われてはいても、実際に被害者の方がどのような状態になったり、どのようなことに困っていたりするかということが知らなかったり、実際に目の前に来たときに適切な支援ができないということも実はよく起こっていることでもあります。

 でも、被害者支援というのは専門家がやることではなくて、先ほど木本さんがおっしゃったみたいにお惣菜を届けるであったり、親御さんが裁判で手一杯だったりすると他の兄弟にとても手が回らないときに代わりにどこかに連れて行ってあげたりだとか、習い事の送迎をしてくれたりだとかというふうに、日々、当たり前の市民としてできることというのがたくさんある。どんなことに困っているのか、自分はどんなことができるのかということを考えたり想像したりすることで、支援の層は手厚くしていけるのではないかなというふうに思うので、行政だったり専門家のものにするべきものではないと思います。

大岡:ありがとうございます。では北條様、他に支援についてお願いいたします。

北條:弁護士の場合は、刑事裁判とか民事裁判が終われば被害者との関わりも終わりとなってしまうことが多いのかも知れないのですけれども、ただ、やっぱり例えば事件から3年くらい、命日に御遺族にお花を贈ったりとか、当然、御遺族の方が受けてくれる場合ですけれども、裁判が終わった後も加害者が刑務所に行った受刑状況というのを法律事務所に送ってもらうようにしているのですけれども、それをまた被害者の方のお家に転送するときにちょっとメッセージを書いたりとか、そういうふうにして、できる限り中長期になっても被害者のことを忘れていないというメッセージは送りたいと思っています。

 そうしますと、被害者の方が突然挨拶に来ていただいたりとか、何より嬉しいのは、こういう被害者週間の県民の集いとかイベントで、被害者や御遺族の方が席に座っておられたりとか、そういう、すごくうれしい姿を見かけることがあります。そういう意味でいくと、ちょっと抽象的ですけれども、中長期の支援というのもすごく必要なのかな、大事なのかなというふうに日々思っております。

大岡:ありがとうございました。“中長期の支援”という言葉が先ほど出ましたけれども、中長期の支援をしていくためには、やはり一つの機関、一つの団体だけでは支援ができないということは周知の事実であります。そこで、今、犯罪被害者支援の分野においては、よく「多機関連携」でありますとか、「連携」「関係者会議」、いろいろな多機関がつながる仕組みというものが検討され、進められております。

 では、次に、そういった関係機関に求められる支援のあり方ということでお感じのことなど、意見がありましたらお願いしたいと思います。

木本:先ほど横浜市の取組の中で少しお話をさせていただいたのですが、支援体制整備事業というのを警察庁との共催でやらせていただきました。やってみてすごく感じたのは、意外と他の機関がやっていることってきちんと把握できていないのだな、という思いがあります。だから、何となく「多分、あそこはあんな風にやっているのだろう」ではなくて、こういうことをこんなふうにやっていて、こういう人を対象にしているのだ、ということをまず関係機関全体で共通理解をするということが、関係機関連携の一歩かなというのを実際やってみて感じました。

 おそらく、そういったことが、具体的な一つ一つの支援の積み重ねの中で自然発生的に連携ができているのであればいいのですけれども、はっきり申し上げると、多分、特に自治体の窓口などではあまり具体的に被害者の方たちと接する機会がないという自治体も結構あると伺っていますので、そういったところであれば、やはりもうちょっと意図的にそういった連携をどうやってつくっていくのかということをきちんと考えていかないと、待っていては連携支援というのはできないのかなと思っております。

 あともう一つ言わせていただきたいのが、今日、自治体の方が何人くらいいらっしゃっているのか分からないのですけど、時々聞くのですが、「県と市町村の両方に支援があるのはどうなのか。二重行政ではないのか」というようなことをよく批判的にお聞きすることがあるのですが、もしかしたら言い過ぎかも知れませんけど、被害に遭われた方や御遺族にとっては、そういったことは多分どうでもいいことなのですね。それよりはとにかく支援が途切れないでちゃんと提供できること、それから先ほど申し上げたように、重層的に複数の支援が同時に届いて、しかもできればそれを選択できることが大事かなというふうに思いますので、そういう意味では自治体の支援というのはまだまだこれから考えていかないといけないことがいっぱいあって、その一つの大事なキーワードが“連携支援”なのかなと思っています。

大岡:ありがとうございます。他、いかがでしょうか。

青木:もう一つ、私の体験からなのですけれども、直後、両親の死亡届を役所に出しに行くというのがとても不安だった覚えがあります。というのは、葬式をしなければなりません、埋葬許可証をというか、火葬許可証をもらうわけですけれども、死体検案書には「何者かによる包丁による刺殺」と書いてあるわけです。それを持って死亡届を出しに行くときに、もし、この死体検案書を見て窓口の方から興味本位にいろいろ聞かれたらどうしようかな、そんな不安な思いを抱えて届け出をした覚えがあります。

 ですので、窓口の役目というのはとても重要な位置にあって、被害者を別室に案内して、そして手続が1回で済むような配慮をしていただくといったことは既に実施はしていただいているかなと思います。被害者が最初に出会うのは警察の方というようなことも言われますが、届け出を出すという、いわゆる早い段階で自治体の窓口の方との出会いがあるかなと思います。そうした場合に、先ほど木本さんがおっしゃった、多分、こんな機関ではこんな支援を行っているのではないかな、くらいではなくて、どこの機関がどんな支援ができるのかということを正確に窓口の方が知っておいていただいて、知識として持っていていただいて、その被害者にきちんと情報提供ができるということはとても重要なことになってくるのではないかと思います。その情報提供が支援につながる第一歩であるということと、そしてその窓口が早期の段階で被害者に出会うということであれば、早期の支援の連携がその窓口を通じてワンストップの形で、していただけるということではないかと思いますので、その届け出を出す窓口の役割、自治体の役割というのは、改めて、重要ではないかと思います。

大岡:ありがとうございます。では、どうぞ、お願いいたします。

鶴田:各自治体というのは様々な支援、お子さまから老人、障害を持っていたりだとか、様々な支援サービスがあります。ただ、自治体の方、やはり被害者支援をやったことがないということで、「とてもできない、できない」というような感じで引かれてしまうこともあるのでが、実際にいろいろな支援サービスを持っています。こちらのほうから「こんなことに困っているのですけど、そちらで何かできることはないでしょうか」というふうに投げたときに、自分たちの自治体の中でできることを探し出していただく。ただ、それを多少応用していただかないと活用できないような制度になっていたりもするので、次の条例のところには係ってくるかも知れないですけれども、やはりそれが被害者にとって活用しやすいような形にしていただきたいなと考えています。

 「ワンストップの窓口で対応していただきたい」というのは東京都の方で支援計画が始まってきたときに、窓口というのが課されて、そうすると、その窓口の方に相談をしたところ、その窓口の方が気を利かせて幾つかの窓口の方を一つの部屋に呼び出す形をとってくださいました。その担当者の方がとても機転の利く方だったということではあるのですけれども、でも気の利く担当者と気の利かない担当者で、受けられるサービスが違うというのはやはり問題ではあると思いますので、それがどの被害者であっても希望するものが得られるようになっていくことが行政に期待していきたいなということではあります。

大岡:どうぞ、お願いいたします。

北條:この20年間で、支援のレベルは上がってきたと思うのですが、確かに杓子定規ではだめなのですけれども、ある程度、計画的に急性期・中長期の支援をしていく必要があると思っていまして、私が今考えていますのは、やはりコーディネーターと言われますけれども、これは被害者支援センターが適任だと思っているのですが、コーディネーターが関係機関を集めて支援会議を開きまして、まずこの方の問題は一体何なのか、必要な支援は何なのか。更に、そのためにどの機関が加わる必要があるのか、各機関の役割分担等を明確にした上で、ちゃんと支援計画というのを立てて、その計画に基づいて支援をしていく必要があるのではないかなと思っていまして、その上で被害者の方が同意してくださるのだったら、その被害者の方が住んでいる市町村の総合窓口の被害者担当の方も会議に一緒に参加してくださいよ、ということで実際の支援を経験してもらう、それで信頼関係をつくっていくという、そういうことを考えております。

大岡:ありがとうございます。今、支援のための計画が必要なんじゃないか、という話がございました。実際、ここの部分なのですけれども、犯罪被害者支援では非常に遅れている部分です。ここにいらっしゃる皆様方、“ケアマネジメント”という言葉をお聞きになったことのある方もいらっしゃるかと思いますけれども、例えば高齢者分野や障害者分野では、地域で生活していくに当たって、その方たちの支援計画というものを立てることが、通常行われております。支援の計画に基づいて、より効率的にいろいろなサービス、制度を入れ込みながら、インフォーマルなものも含めて計画に盛り込み、その方のお手伝い、そしてその人の生活を安定させていくというようなことをしております。実はこういったことが被害者支援分野はほとんど進んでおりませんし、決まった書式も当然ない、という状況にあるわけです。その結果、行政の中で計画もなければ、サービス等をきちんと付けていくこともできない、全国的にそういった一律の制度がないという状況がございます。この後のお話にもつなげていきたいと思いますけれども、条例を制定して、それぞれの地方自治体で独自にそういった支援を充実させていこうという流れがございます。

 では、次に、先ほど、私がお話ししました条例制定の意義や効果というところで少し話をお聞きしていきたいなと思っております。

 今、そういったいろいろな支援を進めていく際に、なかなかまだまだ窓口の周知がされていなかったりとか、サービスを使いたいと思っても、それがなかなか行き届かないという、そういった被害者の思いが「条例制定をしていきたい」というような流れで全国的に動いております。その結果、今、29.1%、501カ所まで条例が制定されまして、各地でその条例に基づいていろいろな支援も行われるようになっているということなのですけれども、条例ができたのはいいが、その後、どのように支援がなっているのか。また、隣の市がつくったから、自分の市はどうするのか、というあたりでいろいろな思いをお持ちだと思います。その辺についてぜひパネリストの皆様、御意見いただけるとありがたいなと思います。お願いいたします。

青木:私から資料として入れさせていただいたのが、私が住んでおります名古屋市さんに平成30年4月に被害者支援に特化した条例をつくっていただいた、その施策に関するリーフレットなのですけれども、実はこの条例を制定するに当たり、私自身も検討懇談会の委員として参加させていただくことができました。とてもありがたかったなと思っているわけですが、そこで先ほど皆様にも聞いていただいたそれぞれの御遺族の中でどんな問題が起きているかというところを聞いていただきました。そしてこのリーフレットを広げていただきますと「経済的支援」「日常生活支援」、そして「居住・その他の支援」を3本柱として具体的な施策をとっていただきました。

 詳しいところはまた名古屋市さんのホームページも見ていただきたいと思うわけですが、やはり私としては被害者の声をちゃんと受け止めていただいて、実現をしてもらえたのはとてもありがたかったと思っております。緒あしすメンバーの中でも民事訴訟を起こしながら、回収がされていない方がたくさんいらっしゃいます。そんなところにも見舞金という形で対応していただきましたし、ホームヘルパーサービスは、奥様が亡くなられた場合、こういったサービスをしていただいたら助かる、あるいは、実際、食べるのも忘れてしまうくらいなのですけれども、コンビニに買い物に行こうかと扉を開けたら周りは報道関係者がいっぱいでしたという現実もたくさんあるわけです。そんなときのために配食サービスをしていただければとても助かります。先ほど障害者の分野、高齢者の分野というようなお言葉もありましたけれども、実際、介護食を届けていただくようなサービスは多くの自治体で実施されていると思いますので、こういった配食サービスを被害者のためにも、と強く要望して実現をしていただいていると思います。

 そして、居住についても、私は、3か月間、両親の住んでいた家に入れなかったんですけど、当時、私自身は夫と別の家に暮らしていたのでよかったのですが、これが、同居だったら、私も3か月間、寝るところがなかったことになります。そんなとき、仮住まいに公共住宅の空いているところをどうだろうか、という提案をしていただけたら助かっただろうなと、居住に関する思いもお話ししました。そして、中長期のところでは、精神的なケアが必要という現状に、こんなふうに具体策をとっていただいています。

 条例を制定していただいたことで、最初のほうに鶴田さんからのお話もあったのですけれども、やはり自治体の皆さんには異動があるものですから、担当者が代わってしまうという不安が大きくあったところに、相談員の専門職の方も置いていただきました。本当は、名古屋市16区あるものですから、各区で死亡届を出しますので、各区に配備をして欲しいということをお願いしましたが、予算の関係もあるかもしれませんけれども、まず、名古屋市の市役所本庁の中に2名の専門相談員を配備していただきました。異動に関係せずに、きちんと継続して相談に乗っていただけるということは、被害者にとってとても心強いことかなということを感じています。

 そして何よりは、数年、名古屋市の職員の皆様への研修で被害者の声ということで話をさせていただいている中、条例ができたことによって職員の皆様の聞いていただく姿勢が大きく変わったと思いました。やはりこれはしなければいけないという法的根拠に基づいたというところで、職員の皆さんが大きく意識が変わったなということを実感しております。そうした、職員の皆様の意識が変わることによって、地域の被害者支援をリードしていただくことが可能になるのではないかなと思います。

大岡:ありがとうございます。他、いかがでしょうか。お願いいたします。

北條:先ほど日弁連の取組でもお示ししたのですけれども、日弁連のほうでは「全ての地方公共団体に犯罪被害者等支援条例の制定を」という活動をしていまして、今日、お配りいただいたのですけれども、皆さんが活動していただくに当たって分かり易いように、こういう裏表のポンチ絵というものを作りました。条例の制定状況というところで、日弁連が求めている犯罪被害者等支援条例に特化した条例については、今、市町村は1721分の272ということで、割合も15.8%です。

 それとあと2点お伝えしたいのが、地方公共団体が、どうして犯罪被害者支援に取り組むのかというところで、犯罪被害者等基本法の5条の地方公共団体の責務が言われます。しかし、犯罪被害者等基本法は条文5条だけではなくて、地方公共団体というワードが20か所出てきます。この法律は実は地方公共団体の役割がすごく重く考えられていまして、例えば11条以下に基本的施策、相談であったり、損害賠償への援助であったりとか書かれているのですけれども、全て主語は「国及び地方公共団体は」というふうに国と地方公共団体がセットで主語になっています。例えば13条には「給付金の支給に係る制度の充実等」ということで「必要な施策を講ずるものとする」と書いているのですけれども、これも主語は「国及び地方公共団体」となっています。だから、やはり地方公共団体も給付金の制度をつくる、講じる義務があるのだというのが基本法を見ても分かります。

 もう一点だけ、申し訳ないですけれども、まず条例をつくろうと。条例ができたらそれによって被害者支援の施策をしていこうというのが今大きな流れであるのですけど、よく先進的な取組をされているところで明石市が出てきます。明石市の場合は条例があるから施策をやろう、ではありません。被害者の方、当事者の方や、支援者の方を集めて「こういう施策をしたい」というのを話し合いまして、この施策をするためにこういう条例をつくろうということで、あくまで条例はその施策を実現するための手段として使われています。やっぱり他の自治体もこうあるべきだなと。まず、こういうことを私たち自治体はしたいのです、というのがあって、その手段として条例をつくるということを考えていくというのが正しい考え方なのかなと思っています。以上です。

大岡:ありがとうございます。非常に重要な視点かと思います。「条例は何のためにあるか」を考えたとき、支援を充実していくためということができます。条例で支援を充実していこうとしたときに、近年、専門職の活用・連携ということが一緒に語られることもありますので、その辺も含めて木本様、鶴田様のほうからも御意見をいただけるとありがたいなと思います。専門職の配置や活用に関しての期待などお話できればなと思います。

木本:横浜市は冒頭申し上げたように、昨年12月に条例を制定して今年4月1日に施行しております。まず、条例の意義というか、効果という点ですごく分かりやすい数字で出させていただくと、昨年度の9月時点までの私どもの窓口の件数は実件数で92件、延べ件数300件だったのですね。それが今年度9月末までの件数で言うと実件数が160件、延べが466件ということで、それぞれ約1.7倍に相談が増えているということになります。

 これはどういうことかというと、例えば、見舞金というのがありますよ、というのをリーフレットを配ったりして周知するわけですね。そうすると、被害者の方から「見舞金があるって聞いたんですけど」と御相談があるのですけれども、よくよく聞いてみると残念ながらいろいろ条件があって見舞金の対象にはちょっとならなかったと。ただ、よく聞いてみると「引っ越しの費用についても援助があれば」というお話があって「それだったら条件に合うので出せますよ」とか、それから「自分はいいんだけれども、自分の家族がすごく落ち込んでいるから」という話を聞いて、「だったらカウンセリングが使えますよ」というように、一つのサービスをきっかけに他のニーズに応えるようなことができるというのは実際に経験しております。

 それと、あとやはり役所なので、どうしてもいろいろなサービスを行うためには予算が必要なのですけれども、条例を制定することによってかなり大幅に予算をアップさせることができたというのも実態としてあります。

 あと専門職に関しては、横浜の場合は、もともと専門職が配置されているのですけれども、その中ですごく感じるのは、何度も申し上げたように、目の前にいらっしゃる、被害に遭われた方、あるいはその御家族、御遺族がどんなことにお困りで、どういうことの支援を希望していらっしゃって、そもそも今どういう状態でどういうお気持ちでいらっしゃるのかと。そういったいろいろな心情に配慮しながら、そういったニーズを聞き取っていって支援を調整していくということが窓口として必要なのですが、これはきちんと研修を受ければ、例えば事務職の方とかでもできないことではないと思うのですが、先ほど大岡先生がおっしゃったようなケアマネジメント的な支援の発想をするときにはどうしても対人援助の専門職を配置するのがより効果的だろうと思っております。

 とは言っても、自治体によってはそういう専門職がいっぱいいるわけではなくて、どの自治体でも多分そういう専門職というのは各部署で取り合いになっている状況だと思うので、簡単なことでは勿論ないと思うのですけれども、常勤ではなくて非常勤とか嘱託という形で配置することのほうがむしろ異動が多分常勤よりも少なかったりすると逆にメリットになることもありますので、ぜひそういった専門職の配置というのは各自治体で御検討いただければなと思います。

大岡:ありがとうございます。鶴田さんの方からも専門職の活用というところではいかがでしょうか。

鶴田:専門職の活用というだけではないのですけれども、その窓口に一度なったということで、その後、行政の場合、2、3年で異動になられますけれども、その方が今度他の部署に行ったときに被害者支援の重要性を広めていただけるというような部分もあるのかなと思っています。

 ただ、専門職は専門職ならでの支援計画であったり、研修であったり、内部でいろいろなものを広めていくときに、やはり専門職がいたり、あと異動がないというようなことで被害者の方が継続して相談窓口を利用するときの安心感になったり、あとはどんな支援をつくっていくと良いのかというようなときにキーパーソンにはなっていけるとは思います。ただ、予算という部分でどれくらい実現可能かなというところはあるのですけれども、そこのところはやはり期待したいところではあります。

大岡:ありがとうございます。このパネルディスカッションもわずかとなってまいりました。最後に、パネリストの皆様から今回のテーマであります「地域における犯罪被害者等支援とは」ということで、今いろいろな議論の中で出てきたことも踏まえ、お感じになっていることを感想ということでそれぞれちょうだいしたいなと思います。

 では、青木様の方からお願いしてもよろしいですか。

青木:本郷さんのお話になられた言葉の中にも出てきたのですけれども、「地域の目で見守る」という言葉があったと思います。私も話をさせていただくとき、地域の皆さんに、「日ごろ、交通安全の取組をしていただいていると思います。そして、防犯の活動もしていただいていると思います。ぜひ、その活動の中に、身近で犯罪被害に遭って、相談された場合、どうしますか、支援の仕組み、知っておられますか、支援制度があるんですよ、という話をその集まりの場で一度話をしてみてください。知識を共有してください。」というお話もさせていただきます。

 交通安全、防犯、そして被害者支援というのはセットであるべきではないかなと。自治体で取組があるのですけれども、意外に「防ぐ」「守る」というところと「支援」のところが縦ラインが引かれているようなことも感じるわけです。避難訓練をするのと同じように、犯罪被害に遭ったらどうするか、という目線を一般の方々にも持っていただくという取組みをしていただくのが自治体の役目ではないかなということを改めて思っています。

 そして、先ほど少し北條弁護士さんの方からお名前も出たのですけれども、兵庫県の明石市の泉市長さんにも私どもの催し、「いのちかなでる」にお越しいただいてお話をしていただきました。そのときのお話の中で、とても強く心に残っているのが、「被害者支援の条例は被害者のための条例ではありません」とおっしゃいました。「市民、県民のための条例です。なぜなら、誰もが犯罪被害者になり得るから」という言葉が胸に残っています。誰もが安全、安心に暮らすために、そして被害に遭った犯罪被害者を優しく支えるためにセーフティネットとしてあってしかるべきものが条例ではないかと思います。全国、どこでも同じ支援が受けられるように、こうした条例を制定するところから地域の支援が広がるといいなと思っています。

 ただ、一つだけ、隣の市が条例をつくったからうちもしなければという、いわゆる判を押したように条例がつくられるのではなくて、必ずそのつくられる過程に被害者、当事者が関われるように、私自身が検討会に参加させていただいたように、きちんと被害者の声を聞いていただく。見直しの際にも当事者を入れる、ただ、関係者、支援者だけでつくり上げていくのではないようにということを願います。ありがとうございます。

大岡:ありがとうございます。では時間の関係で、本当に一言だけということで御三方にお願いしたいと思います。お願いいたします。

北條:今、やはり地方公共団体による支援ということがすごく盛り上がっているときだと思いますので、私のほうも地方公共団体の方にこんなに被害者の方、支援を必要としているんですよ、というのを働きかけていって、一緒に支援に巻き込み、連携していきたいと思っております。ありがとうございました。

鶴田:地域で生活をしていくときに、誰しもが私たちも被害者になり得ることもある、でも被害者になるかもしれないから、という形で届けようとしたときに、なかなか届かない。というのは、やっぱり自分が被害に遭うかもしれないって、誰も思いたくないのですね。でも、実際には知らないところで被害に遭っているお友達がいたり近所の人がいたりする。そこをどうやって被害者支援の重要性を届けていけるかなということをこれから考えていきたいと改めて思いました。ありがとうございました。

木本:私も自治体の人間なので、自治体のことについて最後ちょっと。いろいろなところで自治体の窓口の方とお話しすると、やっぱりなかなか難しいなとか、被害者の方と話したことないし、というようなことをお聞きします。今日、皆さん、私も含めて、もしかするとちょっとハードルの高いことを申し上げたかなと思って少し反省もしているのですが、とにかくまずできること、今のそれぞれの自治体、まずできることは何かというふうに考えていただきたいなと思っています。それがまず第一歩だろうと。それからあと関係機関の皆様、市民の皆様、被害者等の皆様には自治体の窓口があって、さっき北條弁護士もおっしゃっていましたけれども、自治体の窓口をぜひ使って“使って”という言葉はあまりいい言葉ではないかもしれませんけれども、巻き込んで、支援の一部として活用していただきたい。そこからまず始まるのだろうなというふうに思っております。ありがとうございます。

大岡:時間が押してしまいまして、こちらの不手際で申し訳ありませんでした。しかし、このようにパネリストの皆様方からいろいろなお話を聞き、被害者支援がここまで進んできたということも感じていただくシンポジウムになったのかなというふうにも思っております。しかし、まだまだできることがある、それが私たちのメッセージであり、これから地域で取り組んでいく課題になるのかなというふうにも思っております。

 時間もまいりましたのでこれで終わらせていただきますけれども、いろいろなお話をご提供してくださいましたパネリストの皆様方に拍手でお礼をして終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

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