佐賀大会:主催者挨拶

警察庁長官官房審議官(犯罪被害者等施策担当) 小島 隆雄

 ただいま御紹介いただきました、警察庁で犯罪被害者等施策を担当しております小島です。よろしくお願いいたします。

 本日は大変お忙しい中多くの方々に御参加いただき、また、基調講演やパネルディスカッションを行っていただきます有識者の方々につきましても、御出席いただきまして誠にありがとうございます。

 「犯罪被害者週間佐賀大会」の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。政府におきましては、平成17 年に施行された「犯罪被害者等基本法」、そしてそれに基づきます「犯罪被害者等基本計画」によりまして、内閣府を中心として、犯罪の被害に遭われた方々、そしてその御家族・御遺族の方々の権利・自由・利益の保護が図られる社会を実現するために、各種の施策を総合的かつ計画的に行ってまいりました。そして、この国の犯罪被害者等施策の推進に関する事務が、昨年4月に内閣府から、より現場に近いところで犯罪被害者の方々に接し、密接に関わっております国家公安委員会・警察庁に移管されました。

 そのため、現在は、警察庁におきまして、関係府省庁と地方公共団体の協力をいただきながら、より積極的に各種施策の推進を図っているところです。

 ここ佐賀県におかれましても、佐賀県、佐賀県警察、被害者支援ネットワーク佐賀VOISS等が密接に相互に連携していただき、犯罪被害者等施策の実施の推進をしていただいていると承知しているところです。また、全ての市町におきまして、犯罪被害者のための総合的対応窓口を設置していただいているほか、本年度10 月までに、全ての市町におきまして、見舞金の支給を盛り込んだ「犯罪被害者等支援条例」が制定されたと伺っております。全国的に見ましても非常に充実した、先進的な取組をされている県でございまして、私どもから見ますと、犯罪被害者に大変優しい県であります。これまでの皆様方の支援活動に対しまして、心から敬意を表したいと考えております。

 しかしながら、このような犯罪被害者等のための各種施策がより実効性を保ち、犯罪被害者や、その御家族・御遺族の方々が、一日も早く平穏な生活が送れるようにするためには、国や地方自治体の施策の推進もさることながら、周囲の方々の御理解や御配慮、それに基づく御協力が必要不可欠です。

 そのような観点から、政府におきましては、毎年11 月25 日から12 月1日までを「犯罪被害者週間」としまして、その期間を中心として、犯罪被害者やその御家族・御遺族の方々が置かれている状況などにつきまして、国民の皆様方に理解を深めていただくことを目的とし、このようなシンポジウムを各地で開催しております。

 この佐賀大会は、警察庁が行います「犯罪被害者週間」事業の一つとしまして、佐賀県と佐賀県警察、被害者支援ネットワーク佐賀VOISSの共催で開催しています。

 本日は「子供の安全を守る ~悲劇を繰り返さないために~」というテーマで、平成13 年に起きた大阪教育大学附属池田小学校児童殺傷事件の被害者御遺族でございます、本郷紀宏様から御講演をいただくことになっております。御静聴のほどよろしくお願い申し上げます。

 また、その後に、「私たちにできる犯罪被害者支援」をテーマとして、有識者の皆様方から御意見を頂くことになっています。犯罪被害に遭われた方々がどのような支援を必要としているのか、また、どのような支援ができるかなどにつきまして、考えていただくきっかけとなれば大変幸いです。

 犯罪被害に遭われた方々の支援につきましては、本日御来場の皆様のみならず、社会全体で関心を高めていくことが必要であると考えております。犯罪被害は決して他人事ではありません。犯罪被害者等が置かれている状況を、御自身の問題として御理解いただき、併せて、ここでお聞きになったお話を、一人でも多くの方々にお伝えいただきまして、犯罪被害者に対する理解を広げていただければ、大変有り難いと考えております。

 最後になりましたけれども、この大会が多くの方々の御協力により開催できますことを、心から感謝申し上げますとともに、犯罪被害者やその御家族・御遺族の方々を、地域全体で支えていく取組がつながっていくことを祈念申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。

佐賀県知事 山口 祥義

 皆様こんにちは。佐賀県知事の山口祥義です。本日は、「犯罪被害者週間佐賀大会」の開催に当たり、佐賀県を代表して一言御挨拶申し上げます。

 本日お集まりの皆様におかれましては、心ならずも犯罪被害者となられた方々への支援に力を尽くしていただいており、心から感謝申し上げます。

 不幸にして犯罪被害に遭われた御本人やその御家族、御遺族の皆様は、心身ともに深い傷を負われています。そうした方々が、再び平穏な生活を取り戻すためには、気が遠くなるほどの長い時間と周りの人々の思いやりや支援が不可欠です。

 本年4月に施行された「佐賀県犯罪被害者等支援条例」の制定には、実に多くの方々の思いが込められています。警察本部・逢阪本部長の被害者支援への熱い思いや支援者の皆様の貴重な御意見。こうした様々な声を聴きながら、つらい思いを抱えておられる犯罪被害者の気持ちに寄り添った、本気で支援に取り組む条例を作りたいと考え、議論を重ねてまいりました。

 お互いを思いやる佐賀県の気風からか、いざ議論を始めると、市町や関係者の皆様は「よし、やろう」とスクラムを組み、活発な意見を交わされました。それは、これから実効性のある取組を行っていく上で、とても意味のあるプロセスだったのではないかと思っています。

 江戸時代、佐賀藩士の心得についてまとめられた『葉隠』に、「すべて人の不仕合せ時別けて立ち入り、見舞・附届仕るべきなり」と書かれています。人が不幸せな時にこそ、寄り添う気持ちを伝えるべきだというこの教えは、連綿と佐賀県民の中に受け継がれてきているように思います。だからこそ、私は県政の基本理念に、「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり」を掲げ、人づくりにも積極的に取り組んできました。

 この「人づくり」は、犯罪被害者の支援においても、とても大事であると感じています。思いやる気持ちがあれば、きっと苦しんでおられる方々が次へ進む一歩を踏み出せるようになる。経済的な支援はもとより、そうした人の気持ちを大切にする「人づくり」に、これからも一生懸命取り組んでまいります。

 本日お集まりいただいた、様々な現場で活躍されている皆様の声にしっかりと耳を傾け、また知恵をお借りしながら、私も同じ目線で犯罪被害者の支援に取り組んでまいります。今後ともお力添えをいただきますよう、よろしくお願いいたします。

 この佐賀大会を通じて、犯罪被害者の方々への県民の皆様の理解と支援の輪がさらに広がることを祈念しますとともに、佐賀県の取組が全国に広がるよう努めることをお誓い申し上げ、私の挨拶といたします。

佐賀県警察本部長 逢阪 貴士

 警察本部長の逢阪でございます。「犯罪被害者週間佐賀大会」の開催に当たり、一言御挨拶を申し上げます。

 本日は御多用中にもかかわらず、たくさんの方々にお越しいただきまして、誠にありがとうございます。また、この大会で御講演をお願いしております本郷様、そしてパネルディスカッションに参加していただく姫野様、大岡様、白濵様、髙尾様を始め、御参加の皆様には日頃から被害者支援をはじめとする警察業務の各般にわたり、格別の御理解と御協力を賜っていることに対しまして、心から感謝を申し上げます。

 皆様、御承知のとおり、全国的に殺人事件等の凶悪事件や、悪質な交通違反による死亡事故等が後を絶たず、本県におきましても、刑法犯認知件数や交通死亡事故件数は減少傾向にあるものの、子供や女性が被害者となる犯罪が依然として発生しています。

 このような事件や事故により、何の前触れもなく、突然被害者や御遺族となられた方々は、一生癒えない傷を抱えながら生活をされている現状にあります。佐賀県警察におきましては、このような方々の権利利益の回復を図るため、「佐賀県警察犯罪被害者支援基本計画」を策定し、この計画に基づきまして、犯罪発生後速やかに刑事手続の流れや相談窓口を記載した「被害者の手引き」を交付するなど、各種手続に関する情報の提供や、御要望に応じた支援活動を行い、あるいは病院における診断書料を公費で負担する、経済的支援制度の積極的な運用を行うなど、様々な支援活動を推進しているところです。

 しかしながら、被害者や御遺族の方が必要とする支援の内容は、生活上の支援を始め、医療や裁判に関することなど、多岐にわたっていますので、これらのニーズにきめ細やかに対応していくためには、警察を含め、関係する機関や団体、そして地域の方々が力を合わせていくことが必要不可欠です。

 先ほど山口知事からもお話がありましたとおり、本県では本年4月に「佐賀県犯罪被害者等支援条例」が施行され、10 月までに全ての市町において、実質的な見舞金制度を盛り込んだ「犯罪被害者等支援条例」が施行されました。このような取組は全国の先駆けといえるものであり、県と市町が一体となって、犯罪の被害に遭われた被害者や御遺族が、元の平穏な生活を取り戻すための支援を始めているところです。

 本日の「犯罪被害者週間佐賀大会」は、県民一人一人が犯罪被害に遭われた方々の声に耳を傾け、被害者の置かれた状況、心の痛み、命の大切さ、支援の必要性等について理解を深め、社会全体で被害者を支える気運を醸成するという趣旨の下に開催しました。

 本日の佐賀大会を契機としまして、本日御参加いただきました皆様から、被害者や御遺族への支援の輪が更に広がりますことを心から祈念いたしまして、私の挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

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