中央イベント:主催者挨拶

国家公安委員会委員長 小此木 八郎

 皆さん、こんにちは。御紹介いただきました小此木八郎と申します。国家公安委員会の委員長をいたしております。本日は、講演者、パネリストの方々を始め、多くの皆様方に御出席いただき、誠にありがとうございます。

 皆様御案内のとおり、13 年前の本日、犯罪被害者等基本法が国会で成立いたしました。そのため政府では、毎年11 月25 日から12 月1日までを犯罪被害者週間として、国民の皆様に犯罪被害者の置かれている状況や支援の必要性について考えていただくことを目的に、このようなシンポジウムを開いております。

 本日は御遺族による講演もございます。また、「途切れることのない支援のために」をテーマに、パネルディスカッションを行うこととしています。今回、ディスカッションのテーマとして途切れることのない支援を取り上げたのは、基本法の基本理念において、「犯罪被害者等が、被害を受けたときから再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、必要な支援等を途切れることなく受けることができるよう、講ぜられるものとする」とされ、第3次犯罪被害者基本計画の4つの基本方針のうちの一つとしても掲げられていることを踏まえたものです。

 私のつたない経験を話しますが、犯罪被害者の話とは違いますけれども、私自身が10 数年前に白血病の患者さんと交流を持つ機会がありました。何回かの検査を通じて、骨髄液を白血病の患者さんに移植するという経験を、提供者として持たせていただいたことがあります。その手術は成功したようですが、その後、数人の白血病の患者さんとのいろいろな交流がありました。気持ちが通じればいいのですが、どのように手を差しのべれば通じるのかと。自分自身では善意の気持ちであっても、それがなかなか患者さんに通じない場合もありました。

 犯罪被害者あるいは家族の方々、遺族の方々と、それを支えていただくいろいろな立場の方々の気持ちの交流も、ただ単に温かい言葉を掛ければいい、行為をすればいいということだけでは、なかなか通じないことも現実だと思います。会場の皆様方には、今日の基調講演やパネルディスカッションの話を聞いていただいた中で、改めて犯罪被害者の置かれている状況や支援の内容について、更に御理解と御関心を深めていただければこれほど有り難いことはないと思っています。

 最後に、今回、犯罪被害者等に関する標語で、最優秀賞に輝きました「あたたかさ 伝わる言葉 あなたから」にありますとおり、本大会を契機として、我々があたたかい言葉を伝えていくことで、犯罪被害者等に寄り添い、支え、再び平穏な暮らしを営むことができる社会の実現の一助になりますように心から祈念いたしまして、私の挨拶に代えさせていただきます。ありがとうございました。

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