5 精神健康状態に影響を及ぼす要因

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【要旨】

重症精神障害相当の状態にある被害者を類型別に見ると、性犯罪及び殺人・傷害等で多くなっている。また、重症精神障害相当にある人と、加害者との関係を見ると、加害者が判明している人のうち、最も割合が低いのが「全く無関係な人」となっており、被害者との関係性が密接になっていることが、K6の数値を高める要因の一つとして考えられる。

身体的状況、精神的状況、経済的状況ともに「事件に関連する問題によって状況が悪化した」という回答では、重症精神障害相当にある人の割合が高くなっている。また、重症精神障害相当にある人は、事件から回復していないという回答割合も多くなっており、現在でもなお不安定な状況に悩んでいる様子がうかがえる。

K6の値と事件後の経済状況の変化を見ると、「事件に関連する問題によって経済的な状況が悪化した」という回答では、重症精神障害相当にある人が半数以上となっており、他の経済的状況の変化と比較して、圧倒的に割合が高い。また、K6値と現在の自分の生活状況を見ると、「生活に困っている」、「生活にとても困っている」という回答では、重症精神障害相当にある人の割合が非常に高い。このことから、犯罪被害の影響が身体状態や精神状態を変化させることだけにとどまらず、経済状況までにも影響を及ぼしているということがわかる。

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