第3節 警戒の空白を生じさせないための組織運営
1 警戒の空白を生じさせないための組織運営の指針
サイバー空間や先端技術の利用の拡大、人口構造の変化等、我が国の社会情勢が大きく変化し、また、我が国を取り巻く国際的な情勢も目まぐるしく変化する中、警察は、こうした変化が国内の治安情勢に与える影響を見極め、直面する治安課題に的確に対処していく必要がある。
そのためには、日々の組織運営に当たり、安易な前例踏襲や部門間の縦割り等を排するとともに、少子化に伴う就職適齢人口の減少、地方の過疎化と都市部への人口集中、人々の働き方の変化等を踏まえつつ、有限である警察組織内部のリソースを一層効果的に活用するための取組を推進する必要がある。
こうした認識の下、令和5年(2023年)7月、警察庁において、①部門を超えたリソースの重点化等、②能率的でメリハリのある組織運営、③先端技術の活用等による警察活動の更なる高度化、④働きやすい職場環境の形成等を柱とする「警戒の空白を生じさせないための組織運営の指針」を策定するとともに、同指針に基づき、「警戒の空白を生じさせないために当面取り組むべき組織運営上の重点」を取りまとめ、当面の最重要課題として「サイバー空間における対処能力の強化」、「匿名・流動型犯罪グループに対する戦略的な取締りの強化」、「特殊詐欺に係る広域的な捜査連携の強化」、「経済安全保障の確保その他の対日有害活動対策の強化」、「要人に対する警護等の強化」、「ローン・オフェンダー等に対する対策の強化」及び「自転車その他の小型モビリティ対策の強化」の7項目を掲げているほか、業務の効率化・合理化のための取組として「警察署の業務見直し」や「交番、駐在所等の在り方の見直し」、「本部執行隊等の在り方の見直し」等を掲げている。
図表7-24 「警戒の空白を生じさせないための組織運営」において当面取り組むべき重点事項
