第3章 サイバー空間の安全の確保

警察活動の最前線

進化する脅威に立ち向かうサイバー犯罪対策を目指して


前 福島県警察本部生活安全部サイバー犯罪対策課サイバー対策係長(現 同課サイバー犯罪捜査第四係長)

五十嵐 貴子

 
福ぼうしくん

私は、育児休暇を取得した後、深刻化するサイバー犯罪を何とかしたいと考え、情報処理安全確保支援士試験に合格し、サイバー犯罪対策課に配属されました。現在はサイバー対策係として、広報や講演、官民連携等を通じてサイバー犯罪の防止に取り組んでいます。

サイバー犯罪は日々巧妙化し、新たな手口が次々と生まれます。そのため、常に最新の知識と技術を学びながら、講演では具体的な事例を交えて分かりやすく伝えることを心掛けています。また、参加者に質問を投げかけ、一緒に考えてもらうといったインタラクティブな方法を取り入れることで、誰もがサイバー犯罪を「自分ごと」として捉えられるよう工夫しています。

サイバー犯罪対策は、新たな手口との攻防戦ですが、犯罪の手口を分析し、対策を考えることで自分の知識や技術を深化させられるところに醍醐(だいご)味があります。対策の効果は目に見えにくいものの、「被害が発生しないことこそが成功の証」であり、犯罪を未然に防ぐことが人々の安心につながると信じています。

今後も新たな脅威に対応できるよう自己研鑽(さん)に努め、関係機関と連携しながら、社会全体でサイバー犯罪に立ち向かう機運を高めていきたいです。

 
前 福島県警察本部生活安全部サイバー犯罪対策課サイバー対策係長(現 同課サイバー犯罪捜査第四係長) 五十嵐 貴子

社会問題化するSNS関連犯罪の早期解決により被害拡大を防止


京都府警察サイバー対策本部サイバー捜査課情報・指導係

亀井 瞭

 
ポリスまろん・ポリスみやこ

令和5年春、京都府警察では、サイバー空間における脅威に的確に対処するため、サイバー事案捜査や技術支援に特化したサイバー捜査課が発足しました。私は、初代課員として捜査係に配置となり、サイバーパトロールや府民から寄せられるサイバー相談等を端緒とした事件捜査に従事しています。

令和5年、「登録するだけで数万円分のポイントが貰える」などとインフルエンサーにSNSで宣伝させてフォロワーをだまし、消費者金融の借入用アカウントを作成させた上、そのアカウントに不正アクセスして借入れを装って金員を窃取する事案が発生し、その被害は全国に及びました。この事案では、当初、不正アクセスについて立件が困難とされていましたが、犯行に使われた消費者金融のアプリの通信状況を疑似的に再現するなどの手法を駆使してこれを打破し、事案解決につながりました。

私は、この事件を通じ、「困難な事件でも創意工夫を凝らし犯人を検挙する」という取組姿勢を学びました。今後もサイバー空間の脅威は深刻な情勢が続くと思われますが、私は京都府警察の取組姿勢を受け継ぐとともに、将来、サイバー捜査をけん引できるようスキルアップに全力を尽くしたいと思っています。

 
京都府警察サイバー対策本部サイバー捜査課情報・指導係 亀井 瞭


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