第2章 生活安全の確保と犯罪捜査活動
第1節 犯罪情勢とその対策
令和6年(2024年)の刑法犯認知件数の総数は、戦後最少を迎えた令和3年以降、3年連続で前年比増となった。
また、犯罪実行者募集情報がインターネット上に氾濫しており、令和6年8月以降、SNS等で実行犯を募集する手口による強盗等の凶悪な事件が相次いで発生したほか、SNS型投資・ロマンス詐欺についても認知件数・被害額共に前年より大きく増加し、さらにSNSに起因して犯罪被害に遭った児童の数も高水準で推移しているなど、SNS等のインターネット上で提供される技術・サービスを悪用した犯罪について、極めて厳しい情勢となっている。
さらに、令和6年中の特殊詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺、インターネットバンキングに係る不正送金事犯、クレジットカードの不正利用事犯の被害額の合計が2,600億円を超えており、匿名・流動型犯罪グループがこのような犯罪により得た収益を有力な資金源としているほか、犯罪によって獲得した資金を新たな資金獲得活動に充てるといった構造がみられ、治安上の課題となっている。
加えて、人身安全関連事案については、ストーカー事案の相談等件数が高水準で推移しているほか、配偶者からの暴力事案等の相談等件数は増加傾向にあり、さらに児童虐待又はその疑いがあるとして警察から児童相談所に通告した児童数が高水準で推移しているなど、注視すべき状況にある。
以上を踏まえれば、我が国の犯罪情勢は、厳しい状況にあると認められる。
1 刑法犯
(1)刑法犯の認知・検挙状況
刑法犯の認知・検挙状況の推移は、図表2-1のとおりである。

(2)重要犯罪(注)の認知・検挙状況
重要犯罪の認知・検挙状況の推移は、図表2-2のとおりである。
注:殺人、強盗、不同意性交等、不同意わいせつ、放火、略取誘拐及び人身売買

① 殺人
殺人の認知・検挙状況の推移は、図表2-3のとおりである。



② 強盗
強盗の認知・検挙状況の推移は、図表2-6のとおりである。



③ 不同意性交等・不同意わいせつ
不同意性交等の認知・検挙状況の推移は、図表2-9のとおりである。

また、不同意わいせつの認知・検挙状況の推移は、図表2-10のとおりである。

④ 放火
放火の認知・検挙状況の推移は、図表2-11のとおりである。

⑤ 略取誘拐・人身売買
略取誘拐・人身売買の認知・検挙状況の推移は、図表2-12のとおりである。略取誘拐・人身売買の認知件数を被害者の男女別でみると、女性が被害者である割合は、令和6年は78.4%であった。

(3)刑法犯による身体的被害の状況
刑法犯により死亡し、又は傷害を受けた者の数の推移は、図表2-13のとおりである。
