トピックス

警察活動の最前線

国際共同捜査の「最前線」から


警察庁サイバー警察局サイバー捜査課国際捜査係

大川 豊

 
警察庁ワッペン

古くからの国際都市、オランダ・ハーグにあるEUROPOLでは、今日も、世界中の捜査員が机を並べ、様々な国際犯罪の情報共有や分析に取り組んでいます。特に、サイバー事案については、ここでの情報共有を通じた国際共同捜査の成否が捜査全体の行く末を左右すると言っても過言ではなく、正にここがサイバー捜査の「最前線」です。

私は、警察庁サイバー警察局が発足した令和4年度から、連絡要員の一人としてEUROPOLで勤務していました。ギブアンドテイクで情報が交わされる中、国際連携の実績が乏しかった日本が、いきなり国際共同捜査に参加できるほど世界は甘くはありません。当初は手探りの状態でしたが、各国のニーズを見極め、日本の強みを武器に粘り強く活動した結果、徐々にプレゼンスを発揮できるようになり、今では多くの国際共同捜査で、日本がその一翼を担っています。

例えば、ランサムウェア攻撃グループLockBitに係る国際共同捜査(注)は、EUROPOLでの情報共有からスタートしたものですが、日本は、高い技術力、とりわけ復号ツールを武器に存在感を示し、被疑者の逮捕や多くの被害回復に貢献しました。

このように、サイバー事案をめぐる日本を交えた国際連携は、着実に発展していますが、犯罪者たちもまた、変化し続けています。現状に満足せず、日本のプレゼンスを高め、世界中の仲間と共にサイバー空間の脅威に挑み続けたいと思います。

注:ランサムウェア攻撃グループLockBitに係る国際共同捜査については、31頁参照(トピックスIII)

 
警察庁サイバー警察局サイバー捜査課国際捜査係 大川 豊

国際会議の舞台裏


警察庁長官官房企画課G7ロジ係

皆川 宏平

 
警察庁ワッペン

G7茨城水戸内務・安全担当大臣会合の3日間の日程が、好天に恵まれる中、成功裏に閉幕しました。

私は、同会合の進行管理や会場の運営、スケジュールの調整等を担う「G7ロジ係」として、準備の初期段階から従事しました。

主要国の閣僚が未来をより良くするための世界的重要案件を議論する、華やかな国際会議の舞台裏では、想像をはるかに超える多くの人の支え、想(おも)い、そして苦労がありました。

警察庁が初めて単独でG7関係閣僚会合の開催事務を担うというプレッシャーの中、私たちは、各国閣僚の入国から出国まで、おもてなしの心を持ちつつ、安全で円滑に行事日程が進むよう、多くの関係者の方々と、あらゆる事態を想定した議論を、これでもかというほど細部まで尽くし、直前までとことん突き詰めました。

緊張の中迎えた本番では、運営に携わる職員全体への無線指示役を任され、錯綜するやりとりの統制や迅速な判断等の難しい局面や、時には肝を冷やす場面もあり、冷や汗の止まらない3日間でした。これらの難局を乗り切り、皆と成功を分かち合った瞬間や各国から称賛の声が届いた際の喜びは、何ものにも代え難いものとなりました。

警察がイベント等に関わる際の役割は、通常、警備対策等が主となる中、主催者側として携われたことは大変貴重な経験となりました。今回得られた知見や肌で感じた教訓を、今後のあらゆる警察活動に応用して活かせるよう、邁(まい)進したいと思います。

 
警察庁長官官房企画課G7ロジ係 皆川 宏平


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