5 国際捜査の徹底・外国当局等との更なる連携
近年、一部の匿名・流動型犯罪グループでは、その拠点を小規模化・多様化し、短期間で移転させる傾向を強めている。こうした中、首謀者や指示役のほか、架け子・架け場が海外に所在するなどのケースもみられる。特に海外の架け場等から敢行される特殊詐欺の認知・検挙件数が大きく増加しており、今後も更なる増加が懸念される。
警察庁では、外国で活動する犯罪グループの情報を入手した場合、その摘発に向けて、関係国の捜査機関と積極的に情報交換を行っているほか、被疑者や証拠品の引渡しに向けて、ICPO(注)等を通じた捜査協力、外交ルートや条約・協定を活用した国際捜査共助等を推進している。
また、国際会議の場を通じ、東南アジア諸国等の外国捜査機関等との間で、効果的な予防対策や拠点摘発、被疑者の引渡しに係る捜査協力の在り方等について積極的に情報交換や議論を行うなど、犯罪グループを抑え込むための国際連携を強化している。
令和5年中、海外における架け場等の拠点を外国当局が摘発し、日本に移送して検挙した被疑者の状況は、図表特-16のとおりである。
注:International Criminal Police Organization(国際刑事警察機構)の略

東南アジア諸国との会議

MEMO 組織的な詐欺に対する各国との連携強化の推進
令和5年12月8日から同月10日にかけて、茨城県水戸市で開催されたG7内務・安全担当大臣会合(注)では、「国境を越える組織犯罪」と題するセッションが行われた。
本セッションでの活発な議論を通じ、国境を越える組織的詐欺がG7各国にとって共通の課題であり、各国が結束して闘っていくとの認識で一致し、「国境を越える組織的詐欺との闘いにおける協力強化に関するG7宣言」を含むG7茨城水戸内務・安全担当大臣コミュニケを採択した。
また、令和6年3月、ロンドンにおいて開催された国際詐欺サミットに警察庁次長が出席し、G7諸国を含む各国の関係機関やICPO、国連薬物・犯罪事務所(UNODC)等の国際機関等と組織的詐欺への連携強化等について協議を行った。同サミットにおいては、国際的に協働して詐欺に対処していくことを確認する成果文書が採択された。
注:G7茨城水戸内務・安全担当大臣会合の開催については、32頁参照(トピックスIV)

G7内務・安全担当大臣会合

英国国際詐欺サミット