特集 匿名・流動型犯罪グループに対する警察の取組

4 繁華街・歓楽街における匿名・流動型犯罪グループに対する対策

匿名・流動型犯罪グループは、繁華街・歓楽街における違法な風俗店、性風俗店、賭博店の経営やスカウト行為等に関わり、その収益を有力な資金源としている実態がうかがわれる。こうした状況を踏まえ、警察では、大規模な繁華街・歓楽街を管轄する都道府県警察において、部門横断的な専従体制を構築するなど、風俗営業等に絡んで多様な資金獲得活動を行う匿名・流動型犯罪グループの実態解明・取締りを徹底している(注)ほか、繁華街・歓楽街を対象とした以下のような対策を推進している。

注:10頁参照

(1)繁華街・歓楽街における匿名・流動型犯罪グループの排除及び犯罪インフラの解体

警察では、違法風俗店等の取締りにより生じた空きビル・空き店舗等が再び違法風俗店等に利用されることを防止するため、宅地建物取引業者、ビルオーナー、管理会社等に対して、不動産賃貸借契約時における犯罪組織のメンバーや違法風俗店等の排除等の措置を指導するとともに、空きビル・空き店舗等に速やかに適正な用途の入居等が行われるよう、商店街等や自治体による対策を促している。

また、飲食業組合等と連携して、繁華街・歓楽街において営業する飲食店等が匿名・流動型犯罪グループをはじめとする犯罪組織からの不当な要求を拒否する活動を支援するとともに、警察として対応を要する行為を認めた場合には、厳正に対処することとしている。

さらに、風俗情報誌、風俗情報サイト、来日外国人向けフリーペーパー等について、犯罪組織の関与、在留資格や住居の不正な仲介、斡旋等が行われないよう、関係業界等に対して働き掛けを行っている。

(2)スカウト等の迷惑行為の防止

経済的困窮を抱えた女性や若年層につけ込み、性風俗店での勤務やアダルトビデオへの出演を斡旋することなどを目的として、主要な駅や繁華街の路上等において悪質なスカウト行為等がなされる例がある。この種のスカウト行為等が女性や若年層に対する性的搾取や労働搾取につながり、匿名・流動型犯罪グループをはじめとする犯罪組織の不法な利益となる。

警察では、こうした悪質なスカウト行為等、特定の地域で常態的に行われる売春目的の勧誘、風俗店等における客からの不当な料金の取立て、客引き等の迷惑行為に対して、風営適正化法、売春防止法等の関係法令を適用し、検挙、行政処分、警告、指導、街頭補導を行うなど、積極的な指導取締りを推進している。

CASE

千葉県警察では、令和5年12月、千葉市(千葉市客引き行為等防止指導員等)や防犯ボランティア団体等と連携して、千葉市中央区における合同パトロールを実施した。パトロールでは、店側に対し、その区域が千葉市の条例に基づき指定された「客引き行為禁止区域」であることを呼び掛けるとともに、通行人に対し、客引きを利用しないよう呼び掛けるなどした。このように、警察では、官民一体となって、風俗環境の浄化及び安全で安心なまちづくりを推進している。

 
合同パトロールの状況
合同パトロールの状況

(3)非行少年対策

少年らが繁華街・歓楽街にい集することにより、犯罪組織等との集団的不良交友関係が形成される実態があり、こうした少年らが匿名・流動型犯罪グループによる犯罪に加担してしまうことが懸念されていることから、警察では、少年事件の捜査・調査、街頭補導活動、商店街等との情報交換等により集団的不良交友関係の実態を解明するとともに、これを解消し、又は形成させないための取組を推進している。



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