第6章 公安の維持と災害対策

2 極左暴力集団の動向と対策

(1)極左暴力集団の動向

暴力革命による共産主義社会の実現を目指す極左暴力集団は、依然として「テロ、ゲリラ」の実行部隊である非公然組織を擁するとともに、組織の維持・拡大をもくろみ、暴力性・党派性を隠して大衆運動や労働運動に取り組んでいる。

令和5年中、極左暴力集団は、G7広島サミット等の開催を捉え、機関紙において「G7広島サミット粉砕」等と主張し、抗議行動を行った。また、反戦・反基地運動や反原発運動に取り組み、これらを通じて同調者や支持者の獲得を図った。

革マル派(注1)は、令和5年中、同派創始者である黒田寛一前議長の著作集等を活用した学習を機関紙で呼び掛けるなど、黒田前議長が提唱した理論の継承に引き続き取り組んだほか、令和2年に同派の活動家の一部が「革共同革マル派(探究派)を結成した」と表明した動きに対して、令和5年中も、引き続き、相互に批判を繰り返した。また、革マル派が相当浸透しているとみられる全日本鉄道労働組合総連合会(JR総連)及び東日本旅客鉄道労働組合(JR東労組)は、令和5年6月の定期大会において、引き続き、同派設立時の副議長であった松嵜明元JR東労組会長が提唱した労働運動理論に基づき組合活動を進めていく方針を決定した。

中核派(注2)は、同年8月、第31回全国委員会総会を開催した。同集会では、「帝国主義そのものを打倒する革命に向かって労働運動=反戦闘争を闘わなければならない。反戦闘争=反帝国主義闘争が党の第一の任務である」と提起するとともに、清水丈夫議長が反戦闘争を捉え「最後的には内乱に勝利するまで発展する。革命に勝利するところにまで行き着くような闘いを、われわれは今から始める」と発言するなど、反戦闘争を「最大の基本的政治的任務」に据え、各種闘争に取り組んでいくことを確認した。

革労協主流派(注3)及び革労協反主流派(注4)は、同年の年頭の機関紙において、非公然組織「革命軍」のアピール文をそれぞれ発し、「武装闘争の飛躍」を主張した。

注1:正式名称を日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派という。

注2:正式名称を革命的共産主義者同盟全国委員会という。

注3:正式名称を革命的労働者協会(社会党社青同解放派)という。

注4:正式名称を革命的労働者協会(解放派)という。

 
「労働者・学生統一行動」(6月、東京)
「労働者・学生統一行動」(6月、東京)

(2)極左暴力集団対策の推進

警察では、極左暴力集団による「テロ、ゲリラ」を未然に防止するための諸対策を推進しており、その過程で明らかになった違法行為は、厳正に取り締まっている。令和5年4月には、警察署で事情聴取を受けた際に偽名で上申書を作成するなどした革労協主流派非公然活動家1人を有印私文書偽造・同行使罪で逮捕するとともに、同派非公然アジトを摘発した(警視庁)。



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