第2章 生活安全の確保と犯罪捜査活動

警察活動の最前線

営業秘密保護対策官として日本の企業を守る


神奈川県警察本部生活安全部生活経済課営業秘密保護対策官

笹森 雄悦

 
ピーガルくん

私は、警察本部生活経済課において、営業秘密侵害事犯に関する相談対応や事件指導を担当しています。

神奈川県では、これまでに複数の営業秘密侵害事犯を検挙しており、過去には営業秘密を海外で使用した事犯を検挙したこともあります。最近では、多数の従業員らが関与して転職先に顧客情報を持ち出した事犯も発生し、営業秘密の持ち出しに際して、コンピュータへの接続の形跡を残さないように情報を窃取するなど巧妙な手口も見受けられます。

こうした犯罪による被害を防止するためには、営業秘密を守るための企業による対策が重要です。私は、営業秘密保護対策官として、警察本部の窓口等で被害相談を受けるだけではなく、企業等に対して被害防止のための啓発活動を行うことも、非常に効果的であると考えています。

特に、様々な企業が集まる場での啓発活動は効果的であり、令和6年1月には、INPIT(独立行政法人工業所有権情報・研修館)神奈川県知財総合支援窓口と連携し、企業等が研究開発や学習の成果等を発表するイベントで、企業の経営者等を対象に講義を実施しました。

また、営業秘密侵害事犯の取締りのためには、若手捜査員に対する教育も大切です。

日本経済を揺るがしかねない営業秘密侵害事犯を一件でも減少させるため、営業秘密保護対策官として、引き続き警察内外での幅広い活動を行ってまいります。

 
神奈川県警察本部生活安全部生活経済課営業秘密保護対策官 笹森 雄悦

いち鑑定人として


青森県警察本部刑事部科学捜査研究所心理科兼捜査支援分析課

花山 愛子

 
青森県警察シンボルマスコット「レピーちゃん・アピーくん」
青森県警察シンボルマスコット「レピーちゃん・アピーくん」

私は、科学捜査研究所心理科で仕事をしている、いわゆる「科捜研の女」です。テレビドラマのような華やかさはありませんが、科学で捜査を支えるとてもやりがいのある仕事です。

心理科は、「ポリグラフ検査」を主な業務としています。ポリグラフ検査とは、被検査者の生理反応を測定し、質問に対する反応を見ることによって、事件に関する記憶があるかどうかを確かめる検査です。検査結果は、その後の捜査に役立てられたり、証拠として活用されたりします。最近は特に、密室で行われることの多い性犯罪や虐待事案で、検査結果が立証に役立てられることが多くあります。

17年前に拝命してから数多くの検査を実施してきましたが、これまで一度として同じ検査はありません。また、検査を受ける方はほとんどが一生に一度のことですし、慣れない状況に戸惑っている方もいますので、真摯な気持ちで接することを心掛けています。警察組織に属してはいますが、立場は、いち鑑定人。あくまで中立の立場で、科学的見地から被検査者やデータと向き合っています。

ポリグラフ検査は、これからまだまだ発展していく分野ですので、今後も、一回一回の検査を大事にしつつ、心理学の知見を活かした警察活動の発展のために、日々研究にも邁進していきたいと思います。

 
青森県警察本部刑事部科学捜査研究所心理科兼捜査支援分析課 花山 愛子


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