第2章 生活安全の確保と犯罪捜査活動

7 良好な生活環境の保持

(1)風俗営業等の状況

警察では、風営適正化法に基づき、風俗営業等に対して必要な規制を行っている。

① 風俗営業の状況

風俗営業の許可数(営業所数)は、近年、継続的に減少している。

 
図表2-53 風俗営業の許可数の推移(令和元年~令和5年)
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② 性風俗関連特殊営業の状況

性風俗関連特殊営業の状況についてみると、近年、店舗型性風俗特殊営業の届出数は、継続的に減少し、無店舗型性風俗特殊営業及び映像送信型性風俗特殊営業の届出数は、継続的に増加している。

 
図表2-54 性風俗関連特殊営業の届出数の推移(令和元年~令和5年)
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③ 深夜酒類提供飲食店営業の状況

深夜酒類提供飲食店営業の届出数は、近年、継続的に減少している。

 
図表2-55 深夜酒類提供飲食店営業の届出数の推移(令和元年~令和5年)
図表2-55 深夜酒類提供飲食店営業の届出数の推移(令和元年~令和5年)
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④ 特定遊興飲食店営業の状況

特定遊興飲食店営業の許可数(営業所数)は、近年、継続的に増加している。

 
図表2-56 特定遊興飲食店営業の許可数の推移(令和元年~令和5年)
図表2-56 特定遊興飲食店営業の許可数の推移(令和元年~令和5年)
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(2)売春事犯及び風俗関係事犯の現状

① 売春事犯

売春事犯の検挙件数及び検挙人員はいずれも増減を繰り返している。最近では、出会い系サイト(注)を利用して、売春の周旋をする目的で、人を売春の相手方となるように誘引する事犯や、マッサージ店を仮装して、不特定多数の男性客を相手に売春をさせる事犯がみられる。

このほか、売春グループが、海外での売春を女性に勧めるといった事例もみられる。

注:面識のない異性との交際(以下「異性交際」という。)を希望する者(以下「異性交際希望者」という。)の求めに応じ、その異性交際に関する情報をインターネットを利用して公衆が閲覧することができる状態に置いてこれを伝達し、かつ、当該情報の伝達を受けた異性交際希望者が電子メールその他の電気通信を利用して当該情報に係る異性交際希望者と相互に連絡することができるようにする役務を提供するウェブサイト等

 
図表2-57 売春防止法違反の検挙状況の推移(令和元年~令和5年)
図表2-57 売春防止法違反の検挙状況の推移(令和元年~令和5年)
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CASE

売春グループの首魁(かい)の女(37)らは、令和4年9月から令和5年1月にかけて、女性らに対し、出会い系サイト等を利用して募った不特定の男性客を売春の相手方として紹介した。令和5年2月までに、同女らを売春防止法違反(周旋)で逮捕した(愛知)。

MEMO ホストクラブ等の売掛金等に起因する事件について

昨今、ホストクラブ等で高額な料金を請求され、その売掛金等名下で女性客が売春をさせられたり、性風俗店で稼働させられたりするといった事案が問題となっている。

警察では、ホストクラブ等の売掛金等に起因する違法行為について、売春防止法違反、職業安定法違反等で検挙している。また、警察庁では、ウェブサイト上で具体的な検挙事例を紹介し、悪質なケースの実態について周知しているほか、被害に遭う女性が一人で悩むことがないよう、最寄りの警察署への通報や警察相談専用電話の利用を啓発するととともに、関係機関の相談窓口をウェブサイト上で紹介するなどの取組を行っている。

② 風俗関係事犯

風営適正化法による検挙件数及び検挙人員は、近年減少傾向にあったが、令和5年中の検挙件数は882件、検挙人員は1,029人と、いずれも前年より増加した。

また、わいせつ事犯に関しては、インターネットを利用して、わいせつな動画を販売する事犯やわいせつな画像情報が記録されたDVD等を販売する事犯がみられる。

さらに、賭博事犯に関しては、いわゆるオンラインカジノを利用した賭博事犯がみられるほか、店舗の内外に複数の監視カメラを設置する、見張り役の従業員を常時配置する、身分確認を行って常連客以外の客を排除するなど、警察の取締りから逃れるための対策が巧妙化している。

オンラインカジノを利用した賭博事犯のうち、自宅のパソコン等からアクセスして賭博を行うものについては、アクセス数の大幅な増加及びこれに伴う依存症の問題が強く指摘されており、警察では、取締りを推進するとともに、広報啓発用ポスターや警察庁ウェブサイト等を活用して、オンラインカジノを利用した賭博を行わないよう周知している。

 
図表2-58 風営適正化法違反の検挙状況の推移(令和元年~令和5年)
図表2-58 風営適正化法違反の検挙状況の推移(令和元年~令和5年)
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図表2-59 わいせつ事犯の検挙状況の推移(令和元年~令和5年)
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オンラインカジノ違法性の広報啓発ポスター
オンラインカジノ違法性の広報啓発ポスター

CASE

動画配信業の男(30)は、令和4年9月から令和5年4月にかけて、日本国内の自宅に設置したパソコンを使用して、海外のオンラインカジノサイトにインターネット接続して賭博を行った。同男は、賭博の状況をインターネット上の動画配信サイトを利用してライブ配信していたところ、警察がサイバーパトロールにより当該状況を認知し、捜査の結果、令和5年9月、同男を常習賭博罪で逮捕した(千葉)。

(3)人身取引事犯等への対策

① 人身取引事犯の検挙・保護の状況

警察では、令和4年に政府が策定した「人身取引対策行動計画2022」等に基づき、出入国在留管理庁等の関係機関と連携し、水際での取締りや悪質な雇用主、ブローカー等の取締りを強化し、被害者の早期保護及び国内外の人身取引(性的サービスや労働の強要等)の実態解明を図っている。また、関係国の大使館、被害者を支援する民間団体等と緊密な情報交換を行っているほか、被害者の早期保護のため、警察等に情報提供や被害申告をするよう呼び掛けるリーフレットを複数の言語で作成し、これをウェブサイトに掲示するとともに、関係機関等を通じて周知するなどの取組を行っている。

さらに、人身取引事犯の被害者等による警察への通報を促すため、SNSの広告配信を活用した広報を実施している。

令和5年中の人身取引事犯の検挙人員は55人であった。また、警察で保護した人身取引事犯の被害者は57人で、その国籍については、日本が約9割を占めており、日本人被害者の年齢は、18歳未満が約7割を占めていた。

 
図表2-60 人身取引事犯の検挙状況の推移(令和元年~令和5年)
図表2-60 人身取引事犯の検挙状況の推移(令和元年~令和5年)
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図表2-61 人身取引事犯の被害者の保護状況の推移(令和元年~令和5年)
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人身取引事犯の被害者向けリーフレット
人身取引事犯の被害者向けリーフレット
 
SNSの広告配信を活用した人身取引対策の広報
SNSの広告配信を活用した人身取引対策の広報

CASE

無職の男(29)は、令和5年9月、知人女性に暴行や脅迫を加えた上、同女性をホテルに居住させ、ホテル客室等において不特定多数の客を相手に対償を受けて売春させることを業とした。同年11月までに、同男を売春防止法違反(売春をさせる業)等で逮捕した(大阪)。

② アダルトビデオ出演被害問題への対策

アダルトビデオ出演被害問題に対し、警察では、各都道府県警察で指定された統括責任者を中核として、各種法令を適用した厳正な取締り、被害防止のための広報啓発、相談体制の充実等を推進している。

CASE

アダルトビデオ制作販売業の男(41)らは、令和4年11月から令和5年5月にかけて、出演者の女性との間で性行為映像制作物の出演契約を締結しようとするに際し、あらかじめ、説明書面等を交付等しなかった。同年8月、同男らをAV出演被害防止・救済法違反(説明書面等の不交付等)等で逮捕した(静岡)。

(4)銃砲等及び刀剣類の適正管理と危険物対策

① 銃砲等及び刀剣類の適正管理

令和5年末現在、銃刀法に基づき、都道府県公安委員会から8万4,679人が、16万9,489丁の猟銃及び空気銃の所持許可を受けている。令和5年中、申請を不許可等とした件数は42件、所持許可を取り消した件数は41件であった。また、クロスボウにあっては、令和5年末現在、114人(前年比+7人)が179本(前年比+27本)の所持許可を受けている。令和5年中、申請を不許可等とした件数は2件、所持許可を取り消した件数は0件であった。さらに、猟銃等の事故及び盗難を防止するため、毎年一斉検査を行うとともに、講習会等を通じて適正な取扱いや保管管理の徹底について指導を行っている。

警察では、銃刀法を厳正に運用し、銃砲等及び刀剣類の所持許可の審査と行政処分を的確に行って不適格者の排除に努めるなど、銃砲等及び刀剣類による事件・事故の未然防止に努めている。

 
図表2-62 猟銃及び空気銃の許可所持者の推移(令和元年~令和5年)
図表2-62 猟銃及び空気銃の許可所持者の推移(令和元年~令和5年)
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図表2-63 猟銃及び空気銃の許可丁数の推移(令和元年~令和5年)
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図表2-64 猟銃等所持不適格者の排除状況の推移(令和元年~令和5年)
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② 危険物対策

火薬類や特定病原体等、放射性物質といった危険物の運搬に当たっては、火薬類取締法、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律、放射性同位元素等の規制に関する法律、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律等の規定に基づき、都道府県公安委員会にその旨を届け出ることとされている。

警察では、これらの危険物が安全に運搬されるよう、関係事業者に対して事前指導や指示等を行うとともに、これらの危険物の取扱場所への立入検査等により、その盗難、不正流出等の防止に努めている。

 
図表2-65 運搬届出・立入検査の状況(令和5年)
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(5)環境事犯対策

① 廃棄物事犯(注)

令和5年中の廃棄物事犯の検挙事件数の約5割を、廃棄物の不法投棄事犯が占めている。

警察では、環境行政部局との人的な交流や情報交換を引き続き行うなどし、廃棄物事犯の早期発見・早期検挙に努めている。

注:廃棄物処理法違反に係る事犯

 
図表2-66 廃棄物事犯の検挙状況の推移(平成26年~令和5年)
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CASE

会社役員の男(76)らは、令和4年4月、民家敷地内において、産業廃棄物であるコンクリート片約1万3,540キログラムを土中に埋めて、投棄するなどした。令和5年2月までに、同男ら1法人2人を廃棄物処理法違反(不法投棄等)で検挙した(鳥取)。

② 動物・鳥獣関係事犯(注1)

令和5年中の動物・鳥獣関係事犯の検挙事件数のうち、犬、猫等を殺傷するなどの動物虐待事犯(注2)は181事件(前年比+15事件(9.0%)増加)であり、前年と比べて増加した。また、違法に捕獲等した鳥獣を飼養するなどの鳥獣保護管理法違反や、希少動物を違法に取引するなどの種の保存法違反等も、引き続き検挙されている。

注1:動物愛護管理法、鳥獣保護管理法違反等に係る事犯

注2:動物愛護管理法第44条違反に係る事犯

 
図表2-67 動物・鳥獣関係事犯の検挙状況の推移(平成26年~令和5年)
図表2-67 動物・鳥獣関係事犯の検挙状況の推移(平成26年~令和5年)
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CASE

無職の男(64)は、令和5年4月、河川敷において、猫1匹に対し、吹き筒を使用して吹き矢を放ち、傷害を負わせた。同年5月、同男を動物愛護管理法違反(愛護動物の殺傷)で逮捕した(埼玉)。

(6)探偵業の状況

令和5年中の探偵業法での検挙件数は3件、行政処分件数は30件(営業廃止0件、営業停止1件及び指示処分29件)であった。警察では、探偵業法に基づき、探偵業者(注)の業務実態を把握し、違法行為に対しては厳正に対処するとともに、業界団体と連携の下、研修会等を通じて、探偵業務の運営の適正化を図っている。

注:探偵業の届出数(営業所数)は7,027件(令和5年末現在)



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