トピックス

トピックスII G7広島サミット等の開催に伴う警備

G7広島サミットが、令和5年(2023年)5月19日から同月21日までの間、広島県において開催され、バイデン・米国大統領、ゼレンスキー・ウクライナ大統領等、16の国及び8国際機関から多数の要人が参加(注1)した。また、同年7月末までに、長野県で開催された外務大臣会合や新潟県で開催された財務大臣・中央銀行総裁会議を含む13の関係閣僚会合が全国各地で開催された。

警察では、G7広島サミット及び関係閣僚会合並びにこれらの関係行事(注2)(以下「G7広島サミット等」という。)において(注3)、国民の理解と協力を得つつ、全国警察の総力を挙げて、総合的な警備諸対策を推進し、国内外要人の身辺の安全と行事の円滑な進行を確保した。

注1:オンライン参加を含む。

注2:今後、令和5年10月に大阪府で貿易大臣会合が、同年12月に茨城県で内務・安全担当大臣会合が、それぞれ開催される予定であり、警察では、これらの会合の警備にも万全を期すこととしている。

注3:警察庁では、G7広島サミット等の開催に伴う警備を的確に行うための諸対策を推進するため、令和4年7月に警察庁次長を長とする「G7広島サミット等警備対策推進室」を設置したほか、都道府県警察では、広島、長野、新潟及び長崎の4県警察がサミット対策課を、これら以外の都道府県警察が警備対策室等を、それぞれ設置した。

(1)G7広島サミット等をめぐる情勢

我が国を取り巻く国際情勢は、米中関係の緊張が高まる中で、北朝鮮はかつてない高い頻度で、新たな態様での弾道ミサイルの発射等を繰り返し、ロシアはウクライナ侵略により国際秩序の根幹を揺るがすなど、厳しい状況にある。

こうした情勢において世界から注目を浴びる中で開催されたG7広島サミット等では、我が国に対する国際テロの脅威が存在するほか、極左暴力集団や右翼に加えて、いわゆるローン・オフェンダーが、テロ等違法行為を敢行することが懸念された。

また、近年、サイバー空間における脅威も、極めて深刻な情勢にある。過去の大規模な国際的行事においては、行事に関連するシステムに対するサイバー攻撃や、行事に関連するかのようなおとり文書を用いた標的型メール攻撃等が発生しており、G7広島サミット等の妨害、我が国の信用失墜、情報の窃取等を目的としたサイバー攻撃の発生が懸念された。

(2)警察の総力を挙げた取組

① テロ等違法行為への対策

警察では、外国治安情報機関等との緊密な情報交換や総合的なテロ関連情報の収集・分析を推進するとともに、関係機関と連携して、国内外要人の警護、G7広島サミット等関係施設の周辺における小型無人機対策や海上の警戒等に取り組んだ。

また、施設管理者や地域住民等を含む社会全体でのテロ対策が重要であることから、関係機関、民間事業者等と連携したテロ対処訓練を実施するなど、官民一体となったテロ対策を推進した。

さらに、警察では、従前から、テロリスト等による爆発物の原料等の入手を阻止するため、過去に国内外の事案で爆発物の原料に悪用されたことがある化学物質11品目を指定し、これらの化学物質を販売する事業者に対し、関係省庁と協力して、販売時の本人確認や使用目的等の確認を要請するなどしてきたところ、G7広島サミット等に向け、これらの化学物質を含有する家庭用品についても、購入者に不審点が認められる場合には本人確認や使用目的等の確認を行うことなどを新たに要請するとともに、これらの要請が確実に実施されるよう、都道府県警察において、販売事業者への訪問による働き掛けを実施した。

その結果、G7広島サミット等の進行に影響を及ぼすようなテロ等違法行為の発生はなかった。

 
ウクライナ大統領の警護
ウクライナ大統領の警護
② サイバー攻撃対策

警察では、関係機関・団体等と連携して、G7広島サミット等をめぐるサイバー攻撃及び攻撃者に係る情報収集・分析等を推進した。また、G7広島サミット等の開催決定直後から、関係施設の管理者、電力、ガス、空港等の重要インフラ事業者等に対するサイバーセキュリティ対策状況の確認及び助言を実施するとともに、G7広島サミット等の主催府省庁、関係施設の管理者等とサイバー攻撃の発生を想定した共同対処訓練を実施するなど、官民が連携したサイバー攻撃対策を推進した。G7広島サミット等の開催期間中には、関係機関・団体等との緊密な連携の下、24時間対応の即応体制を整え、事案発生時の対応に備えた。

その結果、G7広島サミット等の進行に影響を及ぼすようなサイバー攻撃の発生はなかった。

③ 交通対策

警察では、各国首脳等の安全かつ円滑な通行を確保するとともに、交通規制による一般交通への影響を最小限にとどめるという観点から、関係機関・団体等と連携しながら、各種交通対策に取り組んだ。

具体的には、経済・物流団体等への協力要請を行うなどの交通総量抑制対策を推進したほか、会場の周辺等における車両通行禁止等の交通規制を実施した。

 
一般道路の交通規制の状況(©中国新聞社)
一般道路の交通規制の状況(©中国新聞社)
 
交通総量抑制対策に関する広報チラシ
交通総量抑制対策に関する広報チラシ

(3)大規模行事の開催に伴う総合的警備対策に関する今後の展望

令和7年には、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)が我が国で開催される予定である。警察では、G7広島サミット等における経験を生かしつつ、引き続き、大規模行事における安全の確保に万全を期すこととしている。



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