2 警備実施(注)
(1)警衛
警察では、皇室と国民との親和に配意した警衛を実施し、御身辺の安全確保と歓送迎者の雑踏等による事故防止を図っている。
令和4年中の国内での主な行幸啓は図表6-10、主なお成りは図表6-11のとおりである。海外へは、同年9月、天皇皇后両陛下が、英国女王エリザベス二世陛下御葬儀御参列のため同国を御訪問になった。
注:警護については24頁参照(トピックスI)

第77回国民体育大会総合開会式御臨席に伴う警衛(10月、栃木県)


(2)機動隊の活動
都道府県警察には、集団警備力によって有事即応体制を保持する常設部隊として機動隊が設置されているほか、管区機動隊、第二機動隊等が設置されている。
また、専門的な知見・能力が求められる様々な事案に対応するための専門部隊が設置されており、その能力を生かして第一線で活動している。

機動隊の訓練


(3)雑踏警備
祭礼等の行事に際して多数の人が集まることにより事故が発生するおそれがある場合には、雑踏事故の未然防止を図るため、警察ではあらかじめ行事の主催者や施設の管理者等に対して必要な安全対策をとるよう指導・助言等をしているほか、警察部隊の投入が必要と判断される場合には、所要の体制を確立し、雑踏警備を行っている。


ハロウィーンの際の渋谷駅前交差点における雑踏警備の状況(10月、東京)
(4)小型無人機対策
警察では、小型無人機等飛行禁止法等を適切に運用するなど、小型無人機を悪用したテロ等の未然防止に努めている。具体的には、重要施設等の周辺において警戒を実施することにより不審者の発見に努めたり、操縦者が利用するおそれのあるビルの屋上や敷地等の管理者に対して、出入口の施錠の徹底を働き掛けたりするなどの対策を進めている。
また、飛行している小型無人機を早期に発見するため、小型無人機の位置を特定する検知器等も活用しつつ上空に対する警戒を行っているほか、違法に飛行している小型無人機を発見した場合には、ジャミング装置(注1)、ネット発射装置等の資機材を用いるなどして、小型無人機による危害を防止することとしている。
さらに、令和2年の航空法の一部改正により、令和4年6月、無人航空機の登録が義務化されるとともに、リモートID 機能(注2)を備えるなどの無人航空機の登録記号を識別するための措置を講じない無人航空機の飛行が、原則として禁止された。警察では、令和3年12月、リモートID機能により送信された信号等に基づき現場で小型無人機等の所有者等を確認することができる「小型無人機等所有者情報等照会システム」の運用を開始し、重要施設等の警戒警備をはじめとする警察活動に活用している。
小型無人機の更なる普及や性能の向上を見据え、警察では、必要な資機材の整備、訓練の実施等により、小型無人機を悪用したテロ等への対処能力を向上させることとしている。
注1:電波を照射することで小型無人機の飛行を妨害する資機材
注2:無人航空機の登録記号を識別するための信号を、電波を利用して飛行中常時送信させ、当該電波を受信可能な通信端末機器を使用する者が当該無人航空機を識別することができるようにする機能
(5)警察用航空機(ヘリコプター)の活用
警察では、ヘリコプターテレビシステムやホイスト救助装置(注)等の様々な資機材が装備された警察用航空機(ヘリコプター)を全国に配備しており、その機動力を生かしたパトロール、被疑者の追跡、重大事件発生時における情報収集等を行っている。
また、大規模災害をはじめとする緊急事態等への対処を念頭に、警察用航空機の操縦士を計画的に養成するため、操縦資格の取得のための専門的な教養を新たに実施するなど、警察用航空機の運用能力の更なる向上に向けた取組を推進している。
注:航空機の機外に装着した電動装置を用いて、ワイヤーで人や物を昇降させるための装備