警察活動の最前線
ぎふ信長まつりにおける雑踏警備の完遂「皆の者、出陣じゃ!」
前 岐阜県岐阜中警察署地域課地域企画係(現 岐阜県岐阜中警察署刑事第一課強行犯係)
三谷 佳弘

令和4年11月6日に開催された「ぎふ信長まつり」は、メインイベント「信長公騎馬武者行列」の信長役を、全国的に極めて高い知名度を有する俳優が務めるということで、大きな注目を浴びました。
「武者行列」の観覧抽選には約96万人の応募がなされるなど、前例を大きく上回る観客数が見込まれる中、「全ての人を笑顔で帰宅させる」ことを目標に、何度も検討を重ね、雑踏警備計画を作成しました。開催の約1週間前には、海外で多くの死傷者を出す雑踏事故が発生したこともあり、開催直前まで警備体制の見直しを行いました。
万全の体制で迎えたイベント当日、晴れやかな秋空の下、「武者行列」の時間が近づくにつれ、観覧場所ではない歩道や脇道に人が集中し始めました。警備実施本部では、雑踏事故が発生しかねないと判断し、主催者と協議の上、歩道を細かく区分けして人の密度を軽減するなどの対策を講じました。
現場の状況に合わせ柔軟な対応をとった結果、雑踏事故を発生させることはありませんでした。笑顔で帰路に就く観客を見て大きな達成感を感じ、忘れられない一日となりました。

河川氾濫現場での救助活動を通じて
石川県警察本部警備部機動隊
清田 佳介

令和4年8月3日から加賀地方を中心に記録的大雨となり、小松市内で河川氾濫が発生したため、災害警備部隊の小隊長として救出救助活動に従事しました。現場は、河川沿いの町であり、氾濫に伴う濁流により町内の半数に当たる家屋が約2メートル浸水し、濁流に包囲され、歩行での避難誘導及び捜索活動は困難な状況でした。
雨の勢いに変化は見られず、浸水害の危険が更に高まる中、部隊員に指示を出し、救命ボートによる捜索活動を実施した結果、家屋内に取り残されている要救助者が多数確認されました。日頃から多様な場面を想定し、救出救助訓練を実施していたものの、要救助者を目前とした救出救助活動は極度の緊張を要しました。しかし、要救助者の不安と緊張は我々よりはるかに大きいことを部隊員に伝え、必ず救助するという思いを胸に濁流の中を活動し、取り残された16名を無事救助することができました。救助後の「ありがとう」の言葉には胸が熱くなりました。
災害現場における警察の使命は、一人でも多くの人命救助及び被災者の社会復帰です。近年の激甚化・頻発化する災害現場でも使命を全うし、国民の力となれるよう、これからも日頃の訓練に励んでいく所存です。
