警察活動の最前線
信頼関係が紡ぐ少年の未来
警視庁生活安全部少年育成課八王子少年センター
佐藤 麻衣子

私は、心理技術専門職として、少年育成課において、課題を抱えた少年とその保護者のカウンセリングを行うとともに、家庭、学校等と連携した環境調整を担当しています。少年相談では、少年の複雑な心理に寄り添い、時には少年補導を担当する警察官と連携しながら、少年の実情に応じたアプローチを行います。
以前、世界有数の歓楽街である新宿歌舞伎町地区で、友人と飲酒していた少女が補導されたことをきっかけに、その少女と定期的なカウンセリングを行うことになりました。信頼関係の構築に努める中で、少女が「援助交際をした。明日もするかもしれない」旨を打ち明けてくれました。当時、少女が補導された地区は、児童買春等の福祉犯の温床となっていました。少年センターでは、このような情報を警察官に引き継ぎ、福祉犯捜査の端緒としています。その少女には、私から援助交際の危険性を説き、もう援助交際はしないと約束してくれました。
後日、その少女から、「少年センターは、私を救ってくれた第二の親だ」というような声を聞いて、少年相談のやりがいを感じることができました。
少年相談は、一度きりでは終わらず、長い時間をかけて関係を構築しながら行う必要がありますが、長い道程の先にある少年達の希望に満ちた未来のために、今後も、警察組織で一致協力し、少年達に手を差し伸べていきたいと思います。

車種を推定する画像分析手法による捜査支援
福岡県警察本部刑事部刑事総務課犯罪捜査支援室
宮野 達也

私は、防犯カメラ画像に写り込んだ車両の車名や型式等を見分ける、「車種推定」という画像分析手法による捜査支援業務を担当しています。実は、車種推定は、私のプラモデル製作の趣味が高じて独自に編み出した手法です。プラモデルにも車両と同様に型式があり、各パーツを見れば、その型式を識別できるという点に着目し、車種推定を編み出しました。
ある殺人事件で、防犯カメラ画像の分析を担当しました。夜間で写りの悪い画像もありましたが、現場の捜査員が、県民の協力を得て入手した防犯カメラ画像を数時間をかけて確認し、僅かに写し出された車両のライトの形から、犯人のものと思われる車両の車種を推定しました。その後も、膨大な量の防犯カメラ画像に写し出された数千台もの車両の中から、同一と思われる車両を抽出して、犯人の車両を特定し、その逃走ルートを絞り込みました。数日後には当該車両が発見され、犯人の逮捕に至ることができました。
画像から車種を推定することは、根気の要る作業ですが、車種の推定を誤ると捜査の方向性に大きな影響を及ぼします。車種推定の決め手となる一瞬の写り込みを見逃すことがないように丹念に画像を分析し、確度の高い推定結果を捜査員に還元すること、それが事件解決の一助となるとの矜恃(きょうじ)を持って、日々の画像分析を通じて現場の捜査を支援します。
