第2章 生活安全の確保と犯罪捜査活動

4 国民の財産を狙う事犯への対策

(1)財産犯(注)の被害額の罪種別状況

財産犯の被害額の推移は、図表2-30のとおりである。

令和4年の財産犯の被害額の罪種別状況は、図表2-31のとおりである。

注:強盗、恐喝、窃盗、詐欺、横領及び占有離脱物横領

 
図表2-30 財産犯の被害額の推移(平成25年~令和4年)
図表2-30 財産犯の被害額の推移(平成25年~令和4年)
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図表2-31 財産犯の被害額の罪種別状況(令和4年)
図表2-31 財産犯の被害額の罪種別状況(令和4年)
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(2)特殊詐欺への対策

① 特殊詐欺の情勢等

令和4年中の特殊詐欺(注1)の認知件数及び被害額は、いずれも前年より増加し、高齢者を中心に多額の被害が生じており、依然として高い水準にある。

令和4年中の認知件数は、手口別にみると、還付金詐欺(注2)が4,679件と最も多く、次いでオレオレ詐欺(注3)が4,287件となっている。

警察では、職務質問等による「受け子」等の検挙、架け場等の摘発、悪質な犯行ツール提供事業者に対する取締り、犯行グループ及びその背後にいるとみられる組織の実態等に関する情報の収集・集約・分析を徹底することにより、特殊詐欺の根絶に向けた取組を推進している。

注1:被害者に電話をかけるなどして対面することなく信頼させ、指定した預貯金口座への振込みその他の方法により、不特定多数の者から現金等をだまし取る犯罪(現金等を脅し取る恐喝及びキャッシュカード詐欺盗を含む。)の総称

注2:市区町村の職員等を装い、医療費の還付等に必要な手続を装って現金自動預払機(ATM)を操作させて口座間送金により振り込ませる手口による電子計算機使用詐欺

注3:親族等を装って電話をかけ、会社における横領金の補填金等の様々な名目で現金が至急必要であるかのように信じ込ませ、指定した預貯金口座に現金を振り込ませるなどの手口による詐欺

 
図表2-32 特殊詐欺の認知件数・被害額の推移(平成25年~令和4年)
図表2-32 特殊詐欺の認知件数・被害額の推移(平成25年~令和4年)
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図表2-33 特殊詐欺の検挙状況の推移(平成25年~令和4年)
図表2-33 特殊詐欺の検挙状況の推移(平成25年~令和4年)
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② 「オレオレ詐欺等対策プラン」等に基づく対策の推進

令和元年6月に開催された犯罪対策閣僚会議において、特殊詐欺等から高齢者を守るための総合対策として「オレオレ詐欺等対策プラン」が決定され、これに基づき、国民、各地方公共団体、各種団体、民間事業者等の協力を得ながら、各府省庁において施策を推進していくこととされた。警察では、増加傾向にある還付金詐欺への対策として、「ATMでの携帯電話はしない、させない」ことを社会の常識として定着させるための「ストップ!ATMでの携帯電話」運動を引き続き推進するなど、金融機関やコンビニエンスストア等と連携した各種被害防止対策、特殊詐欺に悪用される電話への対策等の犯行ツール対策及び効果的な取締り等を推進している。また、幅広い世代に対して高い発信力を有する著名な方々で構成される「ストップ・オレオレ詐欺47~家族の絆作戦~」プロジェクトチーム(略称:SOS47)では、全国各地における広報イベントを実施するとともに、各種メディアを通じて被害防止に向けたメッセージを継続的に発信している。

このほか、警察庁では、令和5年4月、特殊詐欺に用いられる通信手段等の手口を分析し、「特殊詐欺の手口と対策」を取りまとめ、今後の特殊詐欺対策の推進に役立てることとしている。

MEMO 子・孫世代からのアプローチ!「家族の絆」作戦で特殊詐欺被害防止を!

令和4年10月、2日間にわたって、SOS47のメンバーが2チームに分かれて山形県内の中学校・高校を訪問し、生徒らと特殊詐欺被害防止対策について意見交換を行うとともに、自身の家族に向けて特殊詐欺に気を付けるようメールで呼び掛ける「家族にメール大作戦!」を行った。警察では、こうした発信力の高い著名人の方々の協力も得つつ、被害に遭いやすい高齢者に直接訴え掛けるだけでなく、その子や孫世代の「家族の絆」による被害防止に向けた取組を推進している。

 
山形県での学校訪問状況
山形県での学校訪問状況

MEMO SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プラン

SNSで実行犯を募集する手口による強盗等事件が広域で発生したほか、特殊詐欺について依然として深刻な情勢が続いていることを踏まえ、令和5年3月、犯罪対策閣僚会議において、「SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プラン」が決定された。警察では、この種の犯罪から国民を守るため、関係省庁・事業者等と連携し、同プランに基づく対策を推進することとしている。

 
犯罪対策閣僚会議において発言する岸田首相(首相官邸)
犯罪対策閣僚会議において発言する岸田首相(首相官邸)

(3)侵入窃盗対策

侵入窃盗の認知・検挙状況の推移は、図表2-34のとおりである。侵入窃盗の認知件数は、ピーク時である平成14年(33万8,294件)以降減少傾向にあり、同年から令和4年にかけて、30万1,706件(89.2%)減少した。

警察庁、経済産業省、国土交通省及び建物部品関連の民間団体から構成される「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」では、平成16年4月から、侵入までに5分以上の時間を要するなど一定の防犯性能があると評価した建物部品(CP部品)を掲載した「防犯性能の高い建物部品目録」をウェブサイトで公表するなどして、CP部品の普及に努めており、目録には令和5年3月末現在で17種類3,461品目が掲載されている。また、警察庁のウェブサイトに「住まいる防犯110番」(注)を開設し、侵入犯罪対策の広報啓発を推進している。

注:https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki26/top.html
QRコード 住まいる110番

 
CPマーク CP部品だけが表示できる共通標章でCrime Prevention(防犯)の頭文字を図案化したもの
CPマーク CP部品だけが表示できる共通標章でCrime Prevention(防犯)の頭文字を図案化したもの
 
図表2-34 侵入窃盗の認知・検挙状況の推移(平成25年~令和4年)
図表2-34 侵入窃盗の認知・検挙状況の推移(平成25年~令和4年)
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(4)侵入強盗対策

侵入強盗の認知・検挙状況の推移は、図表2-35のとおりである。侵入強盗の認知件数は、ピーク時である平成15年(2,865件)以降減少傾向にあり、同年から令和4年にかけて、2,575件(89.9%)減少した。

警察では、コンビニエンスストアや金融機関等を対象とした強盗対策として、防犯体制、現金管理の方法、店舗等の構造、防犯設備等について基準を定め、警察官の巡回や機会を捉えた防犯訓練等を実施している。

 
図表2-35 侵入強盗の認知・検挙状況の推移(平成25年~令和4年)
図表2-35 侵入強盗の認知・検挙状況の推移(平成25年~令和4年)
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(5)自動車盗対策

自動車盗の認知・検挙状況の推移は、図表2-36のとおりである。

警察庁、財務省、経済産業省、国土交通省及び民間19団体から構成される「自動車盗難等の防止に関する官民合同プロジェクトチーム」では、「自動車盗難等防止行動計画」(平成14年1月策定、令和4年12月改定)に基づき、イモビライザ(注)等の盗難防止装置やナンバープレート盗難防止ネジ等の普及促進、自動車の使用者に対する防犯指導、広報啓発等を推進している。

こうした取組等の結果、ピーク時である平成15年(6万4,223件)以降、自動車盗の認知件数は減少傾向にあったが、令和4年中は5,734件と、前年より増加した。

注:エンジンキーに埋め込まれた送信機から発するIDコードと、車両本体の電子制御装置にあらかじめ登録されたIDコードが一致しなければ、エンジンが始動しない電子式盗難防止装置

 
自動車盗難防止の広報ポスター
自動車盗難防止の広報ポスター
 
図表2-36 自動車盗の認知・検挙状況の推移(平成25年~令和4年)
図表2-36 自動車盗の認知・検挙状況の推移(平成25年~令和4年)
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(6)自転車盗対策

自転車盗の認知・検挙状況の推移は、図表2-37のとおりである。

警察庁の要請を踏まえ、平成12年以降、業界団体において、不正開錠に強い錠の普及が促進されたことなどから、平成14年以降自転車盗の認知件数は減少傾向にあったが、令和4年中は12万8,883件と、前年より増加した。

警察では、引き続き関係機関・団体等と連携し、自転車の利用者に対して施錠の励行や防犯登録の呼び掛けを行うなど、自転車の盗難防止及び被害回復に向けた取組を推進している。

 
図表2-37 自転車盗の認知・検挙状況の推移(平成25年~令和4年)
図表2-37 自転車盗の認知・検挙状況の推移(平成25年~令和4年)
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(7)万引き対策

万引きの認知・検挙状況の推移は、図表2-38のとおりである。万引きの認知件数は平成22年以降減少傾向にあるものの、刑法犯認知件数に占める万引きの認知件数の割合は高い水準にあり、令和4年中は13.9%に達している。また、万引きの検挙人員全体に占める65歳以上の高齢者の割合は上昇傾向にあり、令和4年中は42.1%であった。

警察では、万引きを許さない社会気運の醸成や規範意識の向上を図るため、関係機関・団体等と連携した広報啓発を行うなど、社会を挙げた万引き防止に向けた取組を推進している。

 
図表2-38 万引きの認知・検挙状況の推移(平成25年~令和4年)
図表2-38 万引きの認知・検挙状況の推移(平成25年~令和4年)
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(8)ひったくり対策

ひったくりの認知・検挙状況の推移は、図表2-39のとおりである。

ひったくりの認知件数は、平成14年(5万2,919件)をピークに減少していたが、令和4年中は716件と、前年より増加した。

一方、ピーク時の平成14年中にひったくりの検挙人員全体の69.3%を占めていた14歳から19歳までの検挙人員は大きく減少している(ひったくりの検挙人員全体の減少数への寄与率(注1)は、72.1%)。これらの要因を一概に断定することは困難であるが、街頭防犯カメラの設置や街頭防犯活動等、官民一体となった取組が効果を上げていることや、少年の人口が減少していることなどが考えられる。

一方で、身近な場所で発生する犯罪であるひったくりは、依然として国民に不安を与えている(注2)ことから、警察では、ひったくり事件の発生状況や手口を分析して、ひったくりの被害防止に効果のあるかばんの携行方法や通行方法等について広報啓発を行っているほか、関係機関・団体等と協力し、自転車用のひったくり防止カバー等の普及を促進するなどしている。

注1:データ全体の変化を100とした場合に、構成要素となるデータの変化の割合を示す指標

注2:内閣府が令和3年に実施した「治安に関する世論調査」(https://survey.gov-online.go.jp/hutai/r03/r03-chian/r03-chian.pdf)によれば、「あなたが、自分や身近な人が被害に遭うかもしれないと不安になる犯罪は何ですか」との問い(複数回答)に対して、「すり、ひったくりなどの携行品を盗む犯罪」と答えた者は24.4%であり、ひったくりに不安を覚えている国民が少なくないことが分かる。
QRコード 世論調査

 
図表2-39 ひったくりの認知・検挙状況の推移(平成25年~令和4年)
図表2-39 ひったくりの認知・検挙状況の推移(平成25年~令和4年)
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(9)悪質商法事犯対策

① 利殖勧誘事犯(注1)

利殖勧誘事犯の検挙状況の推移は、図表2-40のとおりである。令和4年中は、集団投資スキーム(ファンド)に関連した事犯(注2)の検挙が目立った。

利殖勧誘事犯では、被害者が被害に遭ってから気付くまでに時間を要する場合が多いことから、警察では、同事犯の被害拡大防止のため、早期の事件化を図るとともに、犯罪に利用された預貯金口座の金融機関への情報提供等を推進しており、令和4年中は同事犯に関する情報提供を230件実施した。

注1:出資法、金融商品取引法、無限連鎖講の防止に関する法律等の違反に係る事犯。捜査の結果、詐欺に当たるものも含まれる。

注2:出資者から集めた資金を有価証券や事業への投資等で運用し、生じる利益を配分する仕組みを商材とする事犯

 
図表2-40 利殖勧誘事犯の検挙状況の推移(平成25年~令和4年)
図表2-40 利殖勧誘事犯の検挙状況の推移(平成25年~令和4年)
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図表2-41 利殖勧誘事犯の類型別検挙状況(令和4年)
図表2-41 利殖勧誘事犯の類型別検挙状況(令和4年)
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CASE

会社役員の男(58)らは、食品販売を仮装して無限連鎖講(いわゆるねずみ講)を運営しようと考え、入会金を支払わせて会員として登録させた上、月額料金を支払わせるとともに、新たに後順位者を勧誘させるなどして、先順位の登録者が後順位の登録者の支払から毎月最大約160万円を受け取ることができる金銭配当組織を構築し、令和3年10月から令和4年5月にかけて、全国各地でセミナーを開催して新規加入者を勧誘し、又は登録者に勧誘させ、全国延べ約1万人を会員として登録させて、合計約3億円を支払わせた。令和5年1月までに、同男ら3人を無限連鎖講の防止に関する法律違反(講の運営)で検挙した(警視庁、福岡)。

② 特定商取引等事犯(注)

特定商取引等事犯の検挙状況の推移は、図表2-42のとおりである。令和4年中の検挙事件を類型別にみると、訪問販売に関連した事犯の検挙が目立った。

特定商取引等事犯では、被害者が被害に遭っていることに気付いても、被害者自身で解決しようとして届出までに時間を要する場合もみられることから、警察では、ウェブサイト等を通じて警察や関係機関への早期の相談を呼び掛けている。

注:訪問販売、電話勧誘販売等で事実と異なることを告げるなどして商品の販売や役務の提供を行う悪質商法。具体的には、訪問販売等の特定商取引を規制する特定商取引に関する法律違反及び特定商取引に関連する詐欺、恐喝等に係る事犯

 
図表2-42 特定商取引等事犯の検挙状況の推移(平成25年~令和4年)
図表2-42 特定商取引等事犯の検挙状況の推移(平成25年~令和4年)
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図表2-43 特定商取引等事犯の類型別検挙状況(令和4年)
図表2-43 特定商取引等事犯の類型別検挙状況(令和4年)
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CASE

会社役員の男(35)らは、令和3年6月頃から令和4年6月頃にかけて、マッチングアプリ等で知り合った20歳代の若者を対象に、オンラインカジノサイトの利用者獲得によってアフィリエイト広告収入等を得ることができるとうたった連鎖販売取引について契約締結の勧誘を行うに当たり、報酬を得るためには契約者が同サイトで一定額を支払う必要があることを告げず、また、クーリング・オフの適用に関して不実のことを告げるなどした。同年12月までに、同男ら27人を特定商取引に関する法律違反(事実の不告知等)等で検挙した(大阪、福岡)。

(10)通貨偽造犯罪対策

① 発見状況

偽造日本銀行券の発見枚数(注)の推移は図表2-44のとおりである。

注:届出等により警察が押収した枚数

 
図表2-44 偽造日本銀行券の発見枚数の推移(平成25年~令和4年)
図表2-44 偽造日本銀行券の発見枚数の推移(平成25年~令和4年)
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② 特徴的傾向と対策

近年は、高性能のプリンタ等で印刷された偽造日本銀行券が多数発見されているほか、精巧に偽造された日本銀行券が海外から日本国内へ大量に持ち込まれる事案が発生している。

警察庁では、財務省、日本銀行等と連携して、ポスターやウェブサイトで偽造日本銀行券が行使された事例や偽造通貨を見破る方法を紹介するなどして、国民の注意を喚起している。

CASE

自称専門学校生の男(23)は、令和4年7月、熊本県内の飲食店において、飲食代金の支払として偽造一万円券を手渡し、行使した。同月、同男を偽造通貨行使罪で逮捕した(熊本)。

(11)カード犯罪(注)対策

カード犯罪の認知・検挙状況の推移は、図表2-45のとおりである。

警察では、早期検挙のため捜査を徹底するほか、口座名義人からキャッシュカード等の盗難・紛失等の届出があった場合にカードの利用停止を促すなど、被害の拡大防止に努めている。

注:クレジットカード、キャッシュカード、プリペイドカード及び消費者金融カードを悪用した犯罪

 
図表2-45 カード犯罪の認知・検挙状況の推移(平成25年~令和4年)
図表2-45 カード犯罪の認知・検挙状況の推移(平成25年~令和4年)
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(12)ヤミ金融事犯対策

ヤミ金融事犯の検挙状況の推移は、図表2-46のとおりであり、無登録・高金利事犯(注1)の検挙事件数及び検挙人員は減少傾向にあるが、給与ファクタリング(注2)や後払い現金化(注3)等の巧妙な手口による犯罪が発生している。また、貸金業に関連した犯罪収益移転防止法違反、詐欺、携帯電話不正利用防止法違反等に係る事犯(ヤミ金融関連事犯)については前年より増加している。

なお、無登録・高金利事犯のうち、携帯電話や預貯金口座を利用して非対面で敢行されるものについては、令和4年中は、検挙事件数の31.7%、検挙人員の47.7%を占めている。また、令和4年中に検挙した無登録・高金利事犯に占める暴力団が関与した事犯の割合は、25.0%であった。

警察では、ヤミ金融に利用された預貯金口座の金融機関への情報提供、レンタル携帯電話等の解約に関する事業者への要請等の総合的な対策を行っており、令和4年中の金融機関への情報提供件数は9,009件、レンタル携帯電話事業者への解約要請件数は743件であった。

注1:貸金業法違反(無登録営業)及び出資法違反(高金利等)に係る事犯

注2:個人(労働者)が使用者に対して有する賃金債権を買い取って金銭を交付し、当該個人を通じて当該債権に係る資金の回収を行うこと。

注3:形式的には後払いによる商品売買であるが、商品代金の支払に先立ち、商品の購入者が金銭を受け取り、後日、給料日等に商品代金を支払うこと。商品代金と先に受け取った金銭との差額が高額となる傾向がある。

 
図表2-46 ヤミ金融事犯の検挙状況の推移(平成25年~令和4年)
図表2-46 ヤミ金融事犯の検挙状況の推移(平成25年~令和4年)
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CASE

飲食店経営者の男(45)らは、令和2年9月から令和3年11月にかけて、融資を申し込んできた全国の顧客約7,400人に対し、ウェブサイト上における情報商材の販売等を仮装し、販売した商材の宣伝広告協力報酬の支払の名目で顧客に金銭を貸し付けて商材代金を後払いさせる手法により、法定利息の約34倍から約139倍で金銭を貸し付け、約8億円の元利金を受領した。令和4年10月までに、同男ら13人を出資法違反(超高金利・脱法行為)等で検挙した(警視庁、広島)。

(13)知的財産権侵害事犯対策

① 商標権侵害事犯(注1)及び著作権侵害事犯(注2)

知的財産権侵害事犯の検挙状況の推移は、図表2-47のとおりである。偽ブランド事犯等の商標権侵害事犯及び海賊版事犯等の著作権侵害事犯においては、インターネットを利用して侵害行為が行われる場合が多いことから、警察では、サイバーパトロール等による端緒情報の把握に努めている。

また、不正商品対策協議会(注3)の活動への参加をはじめ、権利者等と連携した知的財産権の保護及び不正商品の排除に向けた広報啓発活動を推進している。

注1:商標法違反に係る事犯

注2:著作権法違反に係る事犯

注3:不正商品の排除及び知的財産権の保護を目的として、知的財産権侵害に悩む各種業界団体により設立された任意団体。警察庁等の関係機関と連携し、シンポジウムの主催や各種催物への参加を通じて、広報啓発活動、海外における不正商品販売の実態調査、海外の捜査機関や税関等に対する働き掛け等を行っている。

 
図表2-47 知的財産権侵害事犯の検挙状況の推移(平成30年~令和4年)
図表2-47 知的財産権侵害事犯の検挙状況の推移(平成30年~令和4年)
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図表2-48 押収した偽ブランド品のうち、仕出国・地域が判明したものの国・地域別押収状況の推移(平成25年~令和4年)
図表2-48 押収した偽ブランド品のうち、仕出国・地域が判明したものの国・地域別押収状況の推移(平成25年~令和4年)
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② 営業秘密侵害事犯(注)

営業秘密侵害事犯については、令和4年中、29事件45人を検挙した。

警察では、各都道府県警察で指定された営業秘密保護対策官が、警察署における営業秘密侵害事犯の相談対応について指導を行うなどにより捜査能力の一層の向上を図っているほか、被害の早期届出の必要性について企業に啓発するための取組を推進している。

注:不正競争防止法第21条第1項及び第3項に係る事犯

CASE

大手回転ずしチェーン店経営会社(A社)の代表取締役の男(46)らは、不正の利益を得る目的で、令和2年9月、前勤務先(B社)傘下の会社社員に、同男がB社から貸与を受けて使用していたパソコンに記録されていたB社の子会社(C社)の原価関連情報のデータをファイル転送サービスを利用してサーバ上にアップロードさせて、その複製を作成して領得し、A社に転職後の同年11月にA社社員に開示するなどした。同年12月、同男及びA社社員は、同データの一部を用いてA社の情報と比較する資料を作成して、C社の営業秘密を使用した。令和4年11月までに、同男ら1法人4人を不正競争防止法違反(営業秘密の領得・開示・使用)で検挙した(警視庁)。



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