警察活動の最前線
初代サイバー特別捜査隊長として
関東管区警察局サイバー特別捜査隊長
佐藤 快孝(さとう よしたか)

令和4年4月1日に改正警察法が施行され、重要インフラへの攻撃や海外のサイバー攻撃集団による攻撃といった「重大サイバー事案」について、国の警察機関である警察庁が直接、捜査等を行うことができるようになりました。私たちサイバー特別捜査隊は、その重大サイバー事案の捜査等を担う組織であり、日々重大サイバー事案の解決に向けた取組を進めています。
新型コロナウイルス感染症を契機とした社会のデジタル化の進展に伴い、サイバー空間は誰もが参加するいわば「公共空間」となっており、サイバー空間の安全・安心を確保することは、警察にとって極めて重要なことです。特に、最近では人の生命に重大な危険を及ぼしかねない病院を標的としたランサムウェアを用いたサイバー事案も発生しており、かけがえのない命を守るためにも、事案を解決し、被害者を少しでも減らす必要があります。サイバー特別捜査隊は、国の警察機関であるという特性を生かし、外国捜査機関との緊密な連携を行い、重大サイバー事案の取締りを積極的に行っていきたいと考えてます。
私は、初代サイバー特別捜査隊長として、重大サイバー事案の捜査等に加え、将来にわたり活躍できる組織となるよう、隊の運営や捜査の方針の決定等を行っています。極めて責任の大きい立場ではありますが、国民の安全・安心を確保するため、今後も重大サイバー事案の脅威に立ち向かってまいります。

先端技術による警察業務の高度化・合理化を目指して
警察庁長官官房技術企画課
先端技術導入企画室技術総括係
一期﨑 翔(いちござき しょう)

「警察にもAIに詳しい人材が必要だ」
こうして、警察庁に入り6年目の私は、先端技術を活用した警察業務の高度化・効率化を目指すために、人事院の「行政官国内研究員制度」により電気通信大学大学院に派遣されることとなり、機械学習等の情報学を学び、修士号を取得しました。30歳を超えてのチャレンジは非常に不安な面もありましたが、研究室の先生や学生の皆さんに恵まれ、しっかりと鍛えていただきました。時には、日付を越えてもホワイトボードに向き合い活発に議論するなど、有意義な2年間を過ごすことができました。
現在は、警察庁先端技術導入企画室において、大学院への派遣を通じて得られた知見を生かしながら、先端技術の活用による警察業務の高度化・効率化に取り組んでいます。具体的には、対象とする警察業務について、技術的に実現可能なボーダーラインを見極めつつ、最大限高い目標を設定し、事業者と共に実証実験を行い、先端技術の警察業務への実装を目指しています。
一言に先端技術といっても分野は広く、現場の技術ニーズに即した先端技術を提案できるように、常に新たな技術シーズを把握するように心がけています。室員も個性豊かな人材が多く、それぞれの長所を生かして切磋琢磨し、先輩も後輩も関係なく忌憚(たん)のない意見を出し合い業務の質を向上させています。
先端技術によって警察業務の高度化・合理化を実現することにより、国民の安全・安心の確保と治安の維持に大きく寄与すると信じ、誇りと使命感を持って日々業務に臨んでいます。
