3 犯罪収益の剥奪
犯罪収益が、犯罪組織の維持・拡大や将来の犯罪活動への投資等に利用されることを防止するためには、これを剥奪することが重要である。警察では、没収・追徴の判決が裁判所により言い渡される前に犯罪収益の隠匿や費消等が行われることのないよう、組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法に定める起訴前の没収保全措置を積極的に活用し、没収・追徴の実効性を確保している。
(1)没収・追徴の状況
第一審裁判所において行われる通常の公判手続における組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法の没収・追徴規定の適用状況は、図表4-24のとおりである。
図表4-24 組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法の没収・追徴規定の適用状況の推移(平成28年~令和2年)

(2)起訴前の没収保全
令和3年中における起訴前の没収保全命令は、組織的犯罪処罰法で賭博事犯、詐欺、風営適正化法違反、入管法違反等に関して142件(前年比8件(5.3%)減少)発出され、麻薬特例法で24件(前年比6件(33.3%)増加)発出されている。
図表4-25 起訴前の没収保全命令の発出状況の推移(平成29年~令和3年)

CASE
賭博店経営者の男(43)らは、令和3年4月、賭客にトランプカード等を使用する「バカラ」と称する賭博をさせた。同年5月までに、同男ら4人を賭博開張図利罪で逮捕するとともに、同年6月までに、押収した現金合計約5,500万円に対して、組織的犯罪処罰法の規定に基づく起訴前の没収保全命令が発出された(神奈川)。