第3章 サイバー空間の安全の確保

第3章 サイバー空間の安全の確保

第1節 サイバー空間における脅威

インターネットが国民生活や社会経済活動に不可欠な社会基盤として定着する中、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、行政手続のオンライン化やテレワークの積極的な実施が進められ、業務や取引に関するデータをオンラインで取り扱う機会が増加したことで、今やサイバー空間は、全国民が参画し、重要な社会経済活動を営む公共空間となっている。こうした中で、国内では、キャッシュレス決済サービスの普及等を背景として、令和3年(2021年)中にサイバー犯罪の検挙件数が1万2,209件と過去最多を記録しており、インターネットバンキングに係る不正送金事犯による被害は前年に比べて減少したものの、ランサムウェアによる被害が拡大するなど、その手口を深刻化・巧妙化させたサイバー事案が多数発生している。また、不正アクセスによる情報流出や、国家を背景に持つサイバー攻撃集団によるサイバー攻撃も明らかになるなど、サイバー空間における脅威は極めて深刻な情勢が続いている。

1 サイバー事案の検挙状況

(1)不正アクセス禁止法違反

令和3年中の不正アクセス禁止法違反の検挙件数は429件と、前年より180件(29.6%)減少し、検挙人員は235人と、前年より5人(2.2%)増加した。不正アクセス禁止法違反として検挙した不正アクセス行為の類型別内訳をみると、他人の識別符号を無断で入力する「識別符号窃用型」が398件(92.8%)と最多であった。

また、令和3年中の不正アクセス行為の認知件数(注)は1,516件であり、これを不正アクセス行為後の行為別にみると、「インターネットバンキングでの不正送金等」が693件(45.7%)と最多であった。

注:不正アクセス被害の届出を受理した場合のほか、余罪として新たな不正アクセス行為の事実を認知した場合、報道を踏まえて事業者等に不正アクセス行為の事実を確認した場合その他関係資料により不正アクセス行為の事実を確認することができた場合において、被疑者が行った犯罪構成要件に該当する行為の数

(2)コンピュータ・電磁的記録対象犯罪(注)

令和3年中のコンピュータ・電磁的記録対象犯罪の検挙件数は729件と、前年より166件(29.5%)増加した。

注:刑法に規定されているコンピュータ又は電磁的記録を対象とした犯罪

(3)サイバー犯罪(注)の検挙件数の推移

最近5年間のサイバー犯罪の検挙状況は、図表3-1のとおりである。

サイバー犯罪の検挙件数は増加傾向にあり、令和3年中の検挙件数は1万2,209件と、前年より2,334件(23.6%)増加し、過去最多を記録した。

注:不正アクセス禁止法違反、コンピュータ・電磁的記録対象犯罪その他犯罪の実行に不可欠な手段として高度情報通信ネットワークを利用する犯罪

 
図表3-1 サイバー犯罪の検挙件数の推移(平成29年(2017年)~令和3年)
図表3-1 サイバー犯罪の検挙件数の推移(平成29年(2017年)~令和3年)
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