トピックス

トピックスIII 現場の警察活動を強化する機動警察通信隊の活動

(1)機動警察通信隊の概要

機動警察通信隊は、全国の情報通信部(注1)に設置され、現場の警察活動の基盤となる通信を確保するための様々な活動を行う部隊である。具体的には、災害又は事故が発生した場合、警衛・警護警備や雑踏警備等を実施する場合、犯罪の捜査を行う場合等に、警察本部と現場警察官との間の指揮命令や連絡等が円滑に行われるよう、無線の不感地帯対策(注2)のほか現場映像の撮影・伝送等の情報通信対策を講じている。

これらの活動により、現場の警察活動を強化することで、国民の安全・安心の確保に貢献している。

注1:27頁参照(特集2)

注2:臨時の無線中継所の設置・運用を行い、警察無線が届かない地域等での無線通話を可能にすること

① 災害・事故発生時における活動

地震、台風、大雨等の災害や航空機、鉄道等による大規模な事故が発生した場合、機動警察通信隊は直ちに現場に出動し、現場映像の撮影・伝送や通信手段の確保を行っている。

 
路線バス事故現場映像の撮影・伝送
路線バス事故現場映像の撮影・伝送

CASE

令和2年(2020年)7月豪雨による災害においては、九州管区警察局熊本県情報通信部等の機動警察通信隊が出動し、ヘリコプターテレビシステム(注1)、デジタル映像モバイル伝送システム(注2)、無人航空機型映像撮影伝送システム(注3)等を用いて、撮影した被災状況や警察部隊の活動状況等の映像を警察本部、警察庁、首相官邸等にリアルタイムで伝送したほか、被災地を管轄する警察署に設置された警備本部に臨時の通信機器を設置するなどの活動を行った。

注1:警察用航空機から撮影された上空からの現場映像を地上の受信設備に伝送するシステム

注2:撮影した高解像度のデジタル映像を伝送するシステム

注3:無人航空機(ドローン)を用いて上空からの映像を低高度から撮影し、その映像をリアルタイムで伝送するシステム

 
デジタル映像モバイル伝送システムを用いた 警察部隊の活動状況の撮影・伝送
デジタル映像モバイル伝送システムを用いた
警察部隊の活動状況の撮影・伝送
 
無人航空機型映像撮影伝送システムを用いた 河川の氾濫状況の撮影・伝送
無人航空機型映像撮影伝送システムを用いた
河川の氾濫状況の撮影・伝送
 
無人航空機型映像撮影伝送システムにより 撮影・伝送された河川の氾濫状況
無人航空機型映像撮影伝送システムにより
撮影・伝送された河川の氾濫状況
② 警衛・警護警備等における活動

警衛・警護警備や雑踏警備等に当たっては、固定カメラやヘリコプターテレビシステムにより撮影された現場状況等の映像を、衛星通信車等により映像センターに集約し、テロップ挿入等の編集や警備実施状況に合わせた映像切替等を行い、警備本部等に伝送している。また、警備本部等から現場警察官への指揮命令や連絡等を円滑に行うための通信系統を迅速・的確に確保するほか、警察無線が届かない場合には臨時無線中継所を設置している。

 
G20大阪サミットにおける映像センターでの映像編集等の状況
G20大阪サミットにおける映像センターでの映像編集等の状況
 
臨時無線中継所の設置状況
臨時無線中継所の設置状況
 
ヘリコプターテレビシステム可搬型受信設備の設置状況
ヘリコプターテレビシステム可搬型受信設備の設置状況
③ 重大事件発生時の活動

重大事件が発生した場合には、必要に応じて機動警察通信隊が直ちに現場に出動し、固定カメラ、デジタル映像モバイル伝送システム等により撮影した現場映像を捜査本部等に伝送するほか、捜査本部等から現場警察官への指揮命令や連絡等を円滑に行うための通信系統を迅速・的確に確保している。

(2)各種訓練

各種事案への対応力強化のため、機動警察通信隊は、都道府県警察と共に、各種災害、事故、重大事件等を想定した合同の実戦的な訓練を継続的に実施している。

また、犯罪の広域化、大規模災害等に対応するため、複数の都道府県等の機動警察通信隊による合同の実戦的な訓練や他機関との共同訓練を実施している。

 
衛星通信車(応急通信対策車)の立ち上げ訓練
衛星通信車(応急通信対策車)の立ち上げ訓練
 
自衛隊との共同訓練(現場活動状況の撮影・伝送)
自衛隊との共同訓練(現場活動状況の撮影・伝送)


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