特集3 新型コロナウイルス感染症をめぐる警察の取組

3 社会経済の変容にも対応した国民の利便性向上のための取組

(1)警察情報管理システムの合理化・高度化による国民の利便性向上

警察では、犯罪捜査活動をはじめとする現場の警察活動の支援、迅速な警察行政への貢献、関係機関との連携の円滑化等を実現して様々な警察活動を支えるため、警察情報管理システムを整備・維持している。警察情報管理システムは、警察庁のシステムと都道府県警察が個別に整備・維持するシステムを接続したものであり、類似のシステムをそれぞれの都道府県警察で整備・維持することでコストが重複してしまうことなどが課題となっている。

この課題を解決するため、警察庁において、共通基盤を整備し、ここに警察庁及び都道府県警察のこれまでのシステムを集約・統合して警察庁及び都道府県警察が共通で活用できるようにするほか、個々のシステム同士の連携を容易にするなど警察情報管理システム全体の合理化・高度化に取り組んでいる。これにより、警察が所管する行政手続のオンライン化等を可能とし、国民の利便性向上や負担軽減を図るとともに、行政手続の処理の効率化や警察情報管理システムの整備・維持に係るコストの大幅な削減を図ることとしている。

(2)運転免許証のデジタル化

運転免許証は、国民生活に密接に関係するものとして広く普及している。新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、運転免許証の交付、更新等の手続に関し、運転及び更新可能期間の延長措置等を既に実施しているところであるが(注)、運転免許証に関する手続については、より一層国民の利便性向上や負担軽減を図っていくことが求められている。

そこで、警察庁では、運転免許証とマイナンバーカードの一体化を実現するために必要な検討を進めており、令和6年度末から運用を開始する予定である。これにより、住所変更手続のワンストップ化、居住地外での迅速な運転免許証の更新手続やオンラインでの更新時講習の受講が可能となり、運転免許証に関する手続を国民にとってより便利なものとすることができる。

注:38頁参照

 
運転免許証とマイナンバーカードの一体化(イメージ)
運転免許証とマイナンバーカードの一体化(イメージ)
 
オンライン講習(イメージ)
オンライン講習(イメージ)
(3)行政手続のオンライン化

警察が所管する手続は多岐にわたっている。「新しい生活様式」の実践等が呼び掛けられる中、こうした手続についてオンラインで申請等ができるシステムを構築することが求められている。

警察庁では、まずはオンライン化の要望が多いいくつかの手続について、メールによる簡易な方法で申請等の手続ができるよう、試行的なウェブサイトとして「警察行政手続サイト」を構築しており、令和3年6月に運用を開始した。

さらに、警察庁では、今後より多くの手続をオンラインで行うことができるシステムを別途構築するための検討を進めており、このシステムが利用者にとってより利便性が高いものとなるよう、各手続で現在求められている添付書類の合理化等、手続自体の見直しについても検討している。

MEMO 警察行政手続サイトの構築

「警察行政手続サイト」は、道路使用許可の申請等のオンライン化の要望が多いいくつかの手続について、メールによる簡易な方法で申請等を受け付けるためのものであり、令和3年6月に運用を開始した。

このウェブサイトは、利用者がサイト上で申請等に必要な事項を入力し、必要なデータを添付して送信すると、各警察署のメールサーバに自動的にこれらの申請等データが送信される仕組みとなっており、利用者は、警察署を訪れなくとも、申請等を行うことができるようになる。

 
警察行政手続サイトの入力画面(イメージ)
警察行政手続サイトの入力画面(イメージ)
 
警察行政手続サイトでの申請手続の流れ(イメージ)
警察行政手続サイトでの申請手続の流れ(イメージ)
(4)遺失物関係手続のオンライン化

令和2年中に提出された遺失届は全国で約365万件であるなど、遺失物に関する手続は国民生活に密接に関係するものであり、早急にオンライン化を進める必要がある。警察庁では、遺失届の提出のほか、特例施設占有者(注)が行う遺失物等に関する届出、施設占有者が拾得した遺失物等の提出時に必要な書類の提出等をオンラインで可能とするシステムの構築を進めており、令和4年度末から一部の府県でシステムの運用を開始し、順次全国へ運用を拡大していくこととしている。

注:119頁参照(第2章)

(5)行政手続等における押印規制の見直し

警察庁では、「規制改革実施計画」(令和2年7月17日閣議決定)において、行政手続における押印規制の抜本的な見直し等が掲げられていることなどを踏まえ、同年12月、申請書等の様式を定める内閣府令及び国家公安委員会規則を改正し、警察が所管する手続の申請書等の様式において、申請者等に署名や押印を求めないこととした。



前の項目に戻る     次の項目に進む