第4章 安全かつ快適な交通の確保

2 高齢者の交通安全の確保

(1)高齢者が関係する交通事故の特徴

令和2年中の高齢者の交通事故による死者数は1,596人と、死者数全体の56.2%を占める。これを状態別にみると、歩行中が46.6%、自動車乗車中が28.6%、自転車乗用中が18.4%を占めている。また、歩行中死者数については、高齢者が全体の約7割を占めており、高齢者はおおむね年齢層が高いほど人口10万人当たり歩行中死者数が多い傾向にある。

また、平成28年(2016年)から令和2年までの期間における人口10万人当たりの歩行中死者数を年齢別にみると、88歳が最も多い。

 
図表4-10 高齢者の状態別死者数の推移(平成23年~令和2年)
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図表4-11 歩行中死者数の推移(平成23年~令和2年)
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図表4-12 年齢別人口10万人当たり歩行中死者数(平成28年~令和2年平均)
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(2)高齢者の交通事故防止対策

警察では、運転免許を保有していない高齢者を含め、高齢者が加齢に伴う身体機能の変化が行動に及ぼす影響等を理解し、自ら納得して安全な交通行動を実践できるよう、関係機関・団体等と連携し、シミュレーター等の各種教育機材を積極的に活用した参加・体験・実践型の交通安全教育を実施している。

特に、最近では、自動車と高齢歩行者との死亡事故の大半が歩行者の横断中に発生していることを踏まえ、横断歩道以外の場所や走行車両の直前直後等を横断することの危険性について広報啓発等を強化している。

また、関係機関・団体等と連携し、交通安全教育を受ける機会の少ない高齢者に対する地域ぐるみの交通安全指導を促進するなど、きめ細かな対策を推進している。

このほか、自動車メーカーをはじめとする関係機関・団体等と連携し、安全運転サポート車の普及啓発を進めるとともに、その機能の限界や使用上の注意点を正しく理解し、同機能を過信せずに責任を持って安全運転を行わなければならない旨についても、周知を図っている。

 
参加・体験・実践型の交通安全教育
参加・体験・実践型の交通安全教育


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