第4章 安全かつ快適な交通の確保

第2節 交通安全意識の醸成

1 交通安全教育と交通安全活動

(1)交通安全教育

国家公安委員会は、地方公共団体、民間団体等が適切かつ効果的に交通安全教育を行うことができるようにするとともに、都道府県公安委員会が行う交通安全教育の基準とするため、交通安全教育指針を作成し、公表している。

警察では、関係機関・団体等と連携し、同指針を基準として、教育を受ける者の年齢、心身の発達段階や通行の態様に応じた体系的な交通安全教育を実施している。

(2)交通安全活動

① 全国交通安全運動

広く国民に交通安全思想の普及・浸透を図り、交通ルールの遵守と正しい交通マナーの実践を習慣付けるとともに、国民自身による道路交通環境の改善に向けた取組を推進することにより、交通事故防止の徹底を図ることを目的として、全国交通安全運動を毎年春と秋の2回実施している。

MEMO 交通事故死者ゼロの達成

令和3年春の全国交通安全運動の期間(令和3年(2021年)4月6日から同月15日まで)中には、警察庁に1日ごとの交通事故統計が残る昭和43年(1968年)以降、初めて、交通事故による死者がゼロとなる日があった。

② 歩行者の交通ルール遵守の徹底

警察では、歩行者に対し、横断歩道を渡ること、信号機のあるところではその信号に従うことなどの基本的な交通ルールの周知に加え、運転者に対して横断する意思を明確に伝えて安全を確認してから横断を始めること、横断中も周りに気を付けることなど、自らの安全を守るための交通行動を促す交通安全教育等を推進している。

また、薄暮時・夜間に歩行者等が被害に遭う交通事故を防止するため、反射材用品等の視認効果、使用方法等について理解を深める参加・体験・実践型の交通安全教育や関係機関・団体等と連携した広報啓発活動を実施するなど、反射材用品等の着用促進を図っている。

③ 運転者の交通ルール遵守の徹底

警察では、運転者に対し、交通ルールの遵守のみならず、歩行者や他の車両に対する「思いやり・譲り合い」の気持ちを持って通行するといった交通マナーの実践を呼び掛けている。また、横断歩道等における歩行者等の優先義務(注)を再認識させるための交通安全教育を推進している。

このほか、関係機関・団体等と連携し、衝突実験映像等を用いたシートベルトの着用効果を実感できる参加・体験型の交通安全教育を行ったり、保護者に対し、国の安全基準への適合が確認されたチャイルドシート使用や正しい取付方法の指導をしたりすることにより、後部座席を含めた全ての座席におけるシートベルトの着用とチャイルドシートの正しい使用の徹底を図っている。

注:車両等が横断歩道等に接近する場合には、歩行者等がないことが明らかな場合を除き、直前で停止することができるような速度で進行するとともに、横断中又は横断しようとする歩行者等があるときは、一時停止等をしなければならない義務

MEMO 地域に根ざした交通安全活動(三原交通安全協会会長 田中 綜一)

三原交通安全協会は、昭和27年の創立以来、広島県三原警察署等と連携して、子供を対象とした交通安全ポスター・作文コンクール等を実施しているほか、全国交通安全運動期間中には、関係団体と連携して「交通安全車両パレード」を実施するなど、地域に根ざした交通安全活動に努めています。

被害者やその家族のみならず加害者も不幸に見舞われる痛ましい交通事故が1件でもなくなるよう、今後も精力的に交通安全活動を続けていきたいと考えています。

 
「交通安全ポスター・作文コンクール表彰状伝達式」の様子
「交通安全ポスター・作文コンクール表彰状伝達式」の様子

MEMO 交通安全対策における新たな目標~第11次交通安全基本計画の作成

交通安全基本計画は、我が国における交通の安全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱等について定めたものであり、昭和46年以降5年ごとに、内閣総理大臣を会長とする中央交通安全対策会議において作成されている。令和3年3月、令和3年度から令和7年度までの間を計画期間とする第11次交通安全基本計画が図表4-9のとおり作成され、令和7年までに死者数を2,000人以下にするとともに、重傷者数を2万2,000人以下にすることを目指すこととされた。

 
図表4-9 第11次交通安全基本計画の概要
図表4-9 第11次交通安全基本計画の概要


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