第3章 組織犯罪対策

2 薬物対策

(1)供給の遮断

我が国で乱用されている薬物の大半が海外から流入していることから、警察では、これを水際で阻止するため、税関、海上保安庁等の関係機関との連携を強化するとともに、国際捜査共助等の積極的な実施や国際会議への参加を通じた情報交換等による国際捜査協力を推進している。令和2年中は、国連麻薬委員会(CND)(注1)や国連薬物・犯罪事務所(UNODC)(注2)主催の会議等に参加した。

また、薬物犯罪組織の壊滅を図るため、通信傍受等の組織犯罪の取締りに有効な捜査手法を積極的に活用し、組織の中枢に迫る捜査を推進している。さらに、薬物犯罪組織に資金面から打撃を与えるため、麻薬特例法の規定に基づき、業として行う密輸・密売等(注3)やマネー・ローンダリング事犯の検挙、薬物犯罪収益の没収(注4)・追徴(注5)等の対策を推進している。

このほか、インターネットを利用した薬物密売事犯対策として、サイバーパトロールやインターネット・ホットラインセンター(IHC)(注6)からの通報等により薬物密売情報の収集を強化し、密売人の取締りを推進している。

注1:Commission on Narcotic Drugsの略。国連経済社会理事会の下部機関として昭和21年(1946年)に設立された機関であり、53か国が構成員となっている。薬物関連諸条約履行の監視、薬物統制の強化に関する勧告等薬物規制に係る政策を決定している。

注2:United Nations Office on Drugs and Crimeの略。平成9年(1997年)に設立された、国連において薬物問題を包括的かつ一体的に取り扱う機関

注3:通常の密輸・密売等より重く処罰することができ、また、一連の行為を集合犯として捉え、その間の薬物犯罪収益総体が没収・追徴の対象となる。

注4:財産を剥奪して国庫に帰属させる処分を内容とする財産刑

注5:財産の全部又は一部を没収することができない場合に、その価額の納付を強制する処分

注6:22頁参照(特集2)

(2)需要の根絶

警察では、薬物乱用者を厳しく取り締まるとともに、広報啓発活動を行い、社会全体から薬物乱用を排除する気運の醸成を図っている。

また、薬物事犯で検挙された者やその家族等の希望に応じて、薬物乱用防止のための相談先等を記載した資料を配付するなど、薬物再乱用防止に向けた相談活動の充実を図っている。

 
薬物再乱用防止のための広報資料
薬物再乱用防止のための広報資料


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