通り魔事件における犯罪被害者支援の例

警察では、犯罪被害者が直面する様々な状況に応じた支援の充実を図っている。その支援について警察署及び警察本部における対応の一例を紹介する（被害者は模擬）。

①　事件の認知

「駅から歩いて帰宅する途中、突然背後から知らない人に刃物で刺された」との110番通報を受理した。警察官を現場に派遣するとともに、負傷部位・程度を聴取し、救急要請を行った。

　

②　病院への付添い

重傷を負った被害者が搬送された病院に指定被害者支援要員が向かうとともに、本人に代わって家族への連絡を行った。突然の出来事に混乱する家族に対し、その心情に配意しつつ、被害の状況を説明した。

　

③　被害者の手引の交付

病院に駆けつけた家族に対し、被害者の手引を交付し、今後の刑事手続や各種被害者支援制度の説明を行った。

　

④　被害者連絡の実施

被疑者が逮捕されたことを伝えるため、いまだ入院中の被害者に対し、事件を担当する捜査員から連絡を行った。あわせて、最近の生活状況を聴取すると、被害者が強い精神的ショックを受けていることが判明した。

　

⑤　精神的負担の軽減

被害者は1週間の入院を経て退院したものの、強い精神的ショックにより日常生活に支障が生じていたため、カウンセリングに関する専門知識を有する警察職員によるカウンセリングを実施した。

　

⑥　経済的負担の軽減

退院した被害者に対し、入院や通院費用の自己負担軽減のため犯罪被害者等給付金（重傷病給付金）の申請について教示した。

　

⑦　関係機関・団体との連携

被害者が公判への参加を要望したため、被害者の同意を得て、犯罪被害者等早期援助団体^（注）に対し、犯罪被害の概要に関する情報の提供を行い、被害者への付添いを依頼した。