トピックスV 皇宮警察本部の活動
(1)皇宮警察本部の任務
警察庁に附置されている皇宮警察本部は、天皇陛下及び上皇陛下並びに皇族方の護衛、皇居、赤坂御所等の警備等を行っている。
① 天皇及び上皇並びに皇族の護衛
天皇陛下及び上皇陛下並びに皇族方の安全を確保するため、皇宮護衛官のうち、側衛官が、皇居、赤坂御所等はもとより、国内外において御身辺の直近で護衛に当たっている。
令和元年(2019年)中は、秋篠宮皇嗣同妃両殿下及び悠仁親王殿下がブータン王国を御訪問になった際等に、海外に側衛官を派遣し、御身辺の安全を確保した。
② 皇居、赤坂御所等の警備
皇居、赤坂御用地、各御用邸、京都御所、正倉院等の安全を確保するため、主に6都府県(注)において警戒警備活動を行っている。令和元年中は、高輪皇族邸の区域における安全を確保するため、派出所を設置するなど、警戒警備体制を構築し、上皇上皇后両陛下の御移居に備えた。
注:栃木、東京、神奈川、静岡、京都及び奈良
③ 国賓等の護衛
国賓として来日した外国要人の皇居参内や、信任状等の捧呈に伴う特命全権大使の皇居参内に際して、騎馬、サイドカー(注)等で護衛に当たっている。
注:側車付大型自動二輪車


騎馬による護衛活動
MEMO 警防勤務
皇宮警察本部における特色ある活動として、警防勤務がある。これは、同本部の管内に御所や宮殿等の国家的・歴史的に極めて重要な建物が多数あることから、平素から火災予防に重点を置きつつ、万一の火災発生時には消火活動に当たる勤務である。各護衛署には、警防車が配備され、管内における火災発生を想定した消火訓練を実施している。

警防車を使用した消火訓練
(2)天皇陛下の御即位に伴う儀式等への対応
天皇の退位等に関する皇室典範特例法に基づき、平成31年(2019年)4月30日に天皇陛下(現上皇陛下)が御退位され、令和元年5月1日に皇太子殿下(現天皇陛下)が御即位されたことに伴い、様々な儀式等が挙行された。皇宮警察本部では、これらの儀式等に係る護衛警備措置の万全を期するため、平成30年10月、本部長を長とする「天皇陛下の御退位及び皇太子殿下の御即位に伴う護衛警備対策委員会」を設置して体制を確立し、総力を挙げて護衛警備を実施した。
① 御即位一般参賀
皇居の宮殿東庭において御即位一般参賀が行われ、約14万人の参賀者が訪れた。皇宮警察本部では、関係機関との連携を強化しつつ、所要の体制を確立し、不法事案及び雑踏事故の未然防止に万全を期した。

② 即位礼正殿の儀・祝賀御列の儀
即位礼正殿の儀においては、多くの国内外要人が参列したことから、皇居内の整理誘導等の警備を実施したほか、儀式において皇宮護衛官が衛門(注)を務めた。
また、祝賀御列の儀においては、天皇皇后両陛下御乗車のオープンカー及び直近のサイドカー等に乗車し、御身辺の安全を確保した。
注:皇居諸門の警備に当たる者
③ 大嘗祭
皇居東御苑に大嘗祭を行うための大嘗宮が設営されたことに伴い、不法事案や火災等による損失を防止するための警備体制を強化した。
また、大嘗祭の中心的儀式である大嘗宮の儀において、皇宮護衛官等が衛門を務めた。
④ 大嘗宮一般参観
大嘗宮の儀終了後、大嘗宮が一般に公開され、18日間で約79万人(秋季皇居乾通り一般公開参入者数を含む。)の参入者が訪れた。皇宮警察本部では、不法事案及び雑踏事故の未然防止に万全を期した。

祝賀御列の儀におけるサイドカーによる護衛活動

大嘗宮一般参観等に伴う警備実施