特集 高齢化の進展と警察活動

警察活動の最前線

特殊詐欺の撲滅のために


山形県警察本部生活安全部生活安全企画課

犯罪抑止対策係

(現 山形県寒河江警察署地域課長)

荒井 厚詞(あらい あつし)

 
カモンくん

山形県における特殊詐欺被害者の多くは高齢者となっており、このうちの約7割が、自宅の固定電話にかかってきた犯人からの電話に出たことでだまされています。

山形県警察では、なぜ特殊詐欺の被害に遭ったのかを分析するため、被害者へのアンケートを実施しました。その結果、多くの被害者が特殊詐欺の手口を知っているにもかかわらず、「自分はだまされない」とのバイアスから、何ら対策を講じないままに電話に出てだまされているという実態が明らかになりました。

このことから、山形県警察では、平成30年12月から、「犯人からの電話に出ない」ための対策として「在宅時も常時留守番電話設定とすること」が有効と捉え、一般的な広報に加えて、巡回連絡時の一人一人への呼び掛けを行っております。

令和元年には、全高齢者世帯約21万世帯への働き掛けや留守番電話未設定世帯への再度の呼び掛けを実施した結果、高齢者世帯の約7割が留守番電話に設定し、固定電話に起因する被害が減少、留守番電話機能を適切に設定していた世帯で被害に遭った人はいないという成果につながりました。

また、県民のディフェンス力向上を図るため、アポ電の発生や脅威情報等の最新情報をリアルタイムにメールで配信するシステム「やまがた110ネットワーク」のメール会員の登録拡大も進めております。

特殊詐欺は、人の不安や弱みに付け込み、人生までも狂わせる卑劣な犯罪です。特殊詐欺の根絶に向け、被害防止に邁進していきたいと思います。

 
山形県警察本部生活安全部生活安全企画課犯罪抑止対策係(現 山形県寒河江警察署地域課長) 荒井 厚詞

必ず被害者の無念を晴らす


兵庫県警察本部交通部交通捜査課交通鑑識係

松田 敏昭(まつだ としあき)

 
こうへいくん・まもりちゃん

交通鑑識係の業務は、主にひき逃げ事件現場に残された塗膜片や部品等から容疑車両を特定し、被疑者の検挙につなげることです。また、その他重大事故においては、現場に残された痕跡や車両の損傷状況、車両の電子データの解析、物理的現象等から、速度鑑定や事故に至った真実の解明に尽力しています。

「行ってきます」と元気に出かけていった大切な家族が、数時間後には、言葉を交わすこともなくお別れをしなければならない。それが交通事故です。

残念ながら、私たちの活動で被害者の尊い命を取り戻すことはできませんが、早期に被疑者を検挙することで、被害者やその御遺族の無念を少しでも晴らすことができると信じ、いついかなる時でも、即座に対応できるように備えています。

近年、高齢運転者による暴走事故や、子供等の交通弱者が被害に遭う事故等、社会的反響が大きく悲惨な事故が多発傾向にあることから、私たちの役割も大きくなりつつあります。

また、自動運転車両や運転支援システムの開発等、交通社会は日々進歩しており、新たな時代に突入しています。私たちも技術の進歩に後れを取らないよう進化していくとともに、これまで先輩方から脈々と伝承されてきた確かな技術と捜査手法を確実に伝承し、新たな時代を担う後継者の育成に努めてまいります。

 
兵庫県警察本部交通部交通捜査課交通鑑識係 松田 敏昭

注:掲載されているキャラクターは、都道府県警察のマスコットキャラクターです。



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