第5章 安全かつ快適な交通の確保

3 自転車の安全利用の促進

(1)自転車関係交通事故の状況

自転車関係交通事故件数は減少傾向にあり、令和元年中の自転車乗用中死者数(注)も、433人と、前年より20人(4.4%)減少した。しかし、自転車側の約8割に何らかの法令違反があり、中でも安全不確認及び運転操作不適が多い。

注:第1・2当事者以外の当事者を含む。

 
図表5-13 自転車乗用中死者(第1・2当事者)数の推移(平成22~令和元年)
図表5-13 自転車乗用中死者(第1・2当事者)数の推移(平成22~令和元年)
Excel形式のファイルはこちら

(2)良好な自転車交通秩序の実現のための対策

① 自転車通行環境の確立

警察では、歩行者、自転車及び自動車のいずれも安全かつ適切に通行できるよう、道路管理者と連携して、自転車専用の走行空間(自転車専用通行帯(注1)及び自転車道(注2))を整備するとともに、普通自転車(注3)の歩道通行を可能とする交通規制の実施場所の見直し(注4)等を通じて自転車と歩行者の安全確保を図っている。

注1:交通規制により指定された自転車専用の車両通行帯

注2:縁石線や柵等の工作物によって分離された自転車専用の走行空間

注3:車体の大きさと構造が一定の基準に適合する二輪又は三輪の自転車で、他の車両をけん引していないもの

注4:道路交通法では、普通自転車は車道通行が原則とされているところ、道路標識等により歩道通行を可能とする交通規制を実施することができるが、幅員3メートル未満の歩道においては、歩行者の通行量や保育施設等の存在といった沿道環境等を総合的に勘案し、当該交通規制を原則廃止する方針に基づく見直しを実施している。

② 自転車利用者に対するルール等の周知徹底

警察では、地方公共団体、学校、自転車関係事業者等と連携し、「自転車安全利用五則」(注)を活用するなどして、全ての年齢層の自転車利用者に対して、自転車通行ルール等の周知を図っている。

また、ルールを守らなかった場合の罰則や交通事故発生の危険性等を周知するとともに、ヘルメットの着用や幼児を自転車に乗車させる場合のシートベルトの着用促進を図っている。

注:「自転車は、車道が原則、歩道は例外」、「車道は左側を通行」、「歩道は歩行者優先で車道寄りを徐行」、「安全ルールを守る(飲酒運転・二人乗り・並進の禁止、夜間はライトを点灯及び交差点での信号遵守と一時停止・安全確認)」、「子供はヘルメットを着用」を内容とし、平成19年7月に中央交通安全対策会議(交通安全対策基本法により、内閣府に置かれ、内閣総理大臣を会長とし、関係する大臣等を委員とする会議)交通対策本部で決定された「自転車の安全利用の促進について」において、自転車の通行ルールの広報啓発に当たって活用することとされたもの

 
広報啓発ポスター
広報啓発ポスター
③ 自転車安全教育の推進

警察では、関係機関・団体等と連携して、児童・生徒や高齢者等に対する自転車安全教育を推進している。令和元年中、児童・生徒や高齢者等を対象に、自転車シミュレーターを活用するなどした参加・体験・実践型等の自転車教室を全国で約4万1,000回開催し、約441万人が受講した。

④ 自転車利用者に対する指導取締りの推進

警察では、自転車指導啓発重点地区・路線(注)を中心に、自転車利用者の無灯火、二人乗り、信号無視、一時不停止等に対し、指導警告を行うとともに、悪質・危険な交通違反に対しては検挙措置を講じるなど、厳正に対処している。

また、交通の危険を生じさせるおそれのある一定の違反行為を反復して行った自転車の運転者を対象とする自転車運転者講習を実施しており、令和元年中は328人が受講した。

注:自転車が関係する交通事故の発生状況、地域住民の苦情・要望等を踏まえ、全国1,894か所(令和元年末現在)を指定

 
図表5-14 自転車利用者に対する指導取締り状況(令和元年)
図表5-14 自転車利用者に対する指導取締り状況(令和元年)
Excel形式のファイルはこちら


前の項目に戻る     次の項目に進む