警察活動の最前線
銃器事犯の根絶に向けて
香川県警察本部刑事部組織犯罪対策課薬物・銃器犯罪特別捜査係(現 香川県警察本部生活安全部通信指令課通信指令係)
鎌田 英樹(かまだ ひでき)

現在も、分裂した暴力団組織による対立状態が続いており、公共の場所で拳銃等を使った凶悪事件が発生するなど、日常生活の安全が脅かされている現状にあります。
ただ、そうした事件に遭遇するケースは稀であり、銃器を身近に感じる人は少ないのではないかと思います。
私は、銃器と薬物の捜査を担当していました。
以前、とある施設に滞在中であった薬物事件の被疑者の部屋を捜索した時のことです。
令状を示した途端、被疑者が慌てた様子で机の上に置いたバックを抱え込んで抵抗を始めたのです。
なんとかバックを取り上げて、その中身を確認すると、そこには覚醒剤のほか、実弾入りの拳銃1丁が入れられていました。拳銃は、いつでも実弾が発射できる状態でした。
「何を持っとんや!」
危険な場面に遭遇することは常に想定していますが、騒然とする現場で、思わず大きな声が出てしまいました。
その部屋を一歩出れば、そこは多くの人が行き来している公共の場所であるのですが、そんな身近な場所にでも拳銃を所持した危険な被疑者が潜んでいるのです。
銃器に関係する犯罪は減少傾向にありますが、拳銃等の銃器は、毎年のように押収されています。
危険な銃器事犯を徹底的に取り締まり、安全で安心な社会を実現することが私たちの使命です。
今後も地域の方の協力を得ながら、1丁でも多くの銃器を押収して、銃器事犯の根絶に取り組んでいきたいと思います。

「国際犯罪捜査はワンチーム」
山口県警察本部刑事部組織犯罪対策課国際組織犯罪第三係
竹島 啓悟(たけしま けいご)

「被疑者が航空券を買った。母国に逃げるぞ」
この班長の言葉に捜査員全員が「絶対に捕まえてやる」と一致団結し、空港に急いだことを昨日のことのように思い出します。
これは、私が他都県警察との合同捜査において、ベトナム人犯罪組織による国際的な地下銀行事件の捜査に従事した時のことです。
捜査員が血眼になって捜査しても、全く居所が掴めなかった現金引き出し役のベトナム人被疑者が、母国に逃亡するための航空券を購入したことが判明。出発空港を管轄する県警察や出入国在留管理局等が部門の垣根を越えて連携し、約20人がワンチームとなって、国外逃亡直前の被疑者を正にテレビドラマのように検挙することができ、国際捜査の醍醐味を味わえた事案でした。
私たち国際捜査係の使命は、部門の垣根を越え、他の都道府県警察や関係機関と連携しながら、ワンチームで外国人犯罪者を検挙し続けることだと思います。
そして、私自身も「犯罪は絶対に許さない」、「逃げ得はさせない」という強い気持ちを持ち続けながら、外国人犯罪から県民を守るため、これからも国際捜査に全力で取り組んでいきます。
