第4章 組織犯罪対策

4 国際連携

国境を越えて敢行されるマネー・ローンダリングやテロ資金供与を防止するためには、各国が連携して対策を講ずることが不可欠である。このため、国際社会においては、FATF、APG(注)、エグモント・グループ等の枠組みの下、マネー・ローンダリング対策及びテロ資金供与対策の国際的基準の策定、普及等が行われており、警察庁もこれらの活動に積極的に参画している。

注:Asia/Pacific Group on Money Laundering(アジア・太平洋マネー・ローンダリング対策グループ)の略

(1)FATFの活動と警察庁の参画状況

FATFは、マネー・ローンダリング対策及びテロ資金供与対策に関する国際協力を推進するため設置されている政府間会合であり、令和元年末現在、我が国を含む37の国・地域及び2国際機関が参加している。FATFは、マネー・ローンダリング対策及びテロ資金供与対策として、各国が法執行、刑事司法及び金融規制の各分野において講ずるべき措置を、「FATF勧告」として示している。また、参加国における勧告の遵守の徹底のため、順次、各国に審査団を派遣して相互審査を実施しており、我が国に対しても過去に3回にわたって審査が実施された。4回目の審査については、令和元年10月から同年11月にかけて、審査団による現地調査が行われたところであり、令和2年10月の全体会合において審査結果報告書の討議・採択が実施される予定である。

警察庁では、全体会合等に職員を派遣し、マネー・ローンダリング対策等のための新たな枠組みづくりに向けた議論に積極的に参画している。

(2)APGの活動と警察庁の参画状況

APGは、アジア・太平洋地域のFATF非参加国・地域におけるマネー・ローンダリング対策等を強化・促進するために設置された機関であり、マネー・ローンダリング対策等に取り組む国・地域に対する支援等を行っている。令和元年末現在、我が国を含む41の国・地域が参加している。警察庁では、年次会合に職員を派遣し、最新のマネー・ローンダリングの手口・傾向等についての議論に参画している。

(3)エグモント・グループの活動と警察庁の参画状況

エグモント・グループは、各国のFIU間の情報交換、研修、専門知識に関する協力等を目的として設置された機関であり、令和元年末現在、我が国を含む164の国・地域のFIUが参加している。警察庁では、年次会合及び作業部会にそれぞれ職員を派遣し、FIU間の情報交換に係る行動規範等に関する議論に参画している。

(4)外国のFIUとの情報交換

国境を越えて行われるマネー・ローンダリングやテロ資金供与を発見するためには、各国のFIUが保有する情報の積極的な交換が必要であることから、国家公安委員会は、外国のFIUとの連携を強化し、活発な情報交換を実施している。

また、令和元年末現在、107の国・地域のFIUとの間で情報交換のための枠組みを設定している。

 
アンゴラFIUとの情報交換枠組みの設定
アンゴラFIUとの情報交換枠組みの設定


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